子どもの「行きたくない!」をどうするかー幼児教育と親の関わり方

「保育園・幼稚園に行きたくない」「習い事をやめたい」――子どもがそう口にしたとき、親としてどう対応すればよいか迷うことはありませんか?
今の時代無理やり行かせることにもためらいがあるし、かといって簡単に子どもの言うことを聞いたら「行かなくてもいいんだ」と子どもが勘違いし、休むことが癖にならないか・・・。
この“行き渋り”は、成長の証である一方、環境や心理的要因のサインでもあります。大切なのは、親が共感しながらも冷静に見極め、子どもにとって安心できる行動指針を示すことです。今回は、保育園・幼稚園・習い事での「行きたくない」にどう向き合えばよいのかを具体的に解説します。ちなみに今回もわが社のアドバイザーであるアトム先生を、私が取材したうえで記事にしています。
保育園と幼稚園・習い事の違い
まず保育園、幼稚園、習い事は異なる空間ですので、対応の仕方も違ってきます。整理しておきましょう。
保育園というのは福祉施設であって「行ってもらわないと困る」場所です。そして、幼稚園・習い事はある種家庭での代替が可能な(休もうと思えば休める)場所です。
保育園は「福祉施設」、幼稚園や習い事は「教育・体験の場」という点で、対処の仕方も大きく異なります。
施設・活動 | 性質 | 欠席の柔軟性 | 主な目的 |
---|---|---|---|
保育園 | 福祉施設 | 低い(親の就労支援目的)※行ってもらわないと困る | 生活の場・保育 |
幼稚園 | 学校教育法に基づく教育施設 | 比較的高い | 就学前教育 |
習い事 | 民間サービス | 高い(家庭判断で可) | 特技習得・自己表現 |
つまり、保育園は「行かないと家庭や仕事が回らない」場合が多いのに対し、幼稚園や習い事はある程度の柔軟性があります。
「行きたくない」という気持ちの意味
どちらにも言えるのは「なぜ行きたくないのか」を見極める必要性があるということです。
「行きたくない」という意思表示ができることは発達過程のうちで重要な成長と捉えることもできます。一方、園内の虐待やいじめなど決して容認できないものである可能性もあります。
以下の要因を確認しましょう。
- 心理的要因:友達とのトラブル、不安感
- 環境的要因:先生との相性、集団の雰囲気
- 発達的要因:新しい挑戦への抵抗、体力の不足
「行きたくない」というシグナルを軽視せず、背景を丁寧に探る必要があります。
※ちなみに小学生以上になりますが、政府公式の調査資料で、不登校児童生徒の数が「過去最多:約34万6,482人」にのぼることを明らかにしています。https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00005.htm?

親ができる第一歩 「共感と傾聴」
行き渋りに直面したときに大切なのは、まず 「共感」 です。
- 「そうなんだね、行きたくない気持ちなんだね」
- 「今日はちょっと疲れたのかな?」
こうした声かけが、子どもに安心感を与えます。
園や習い事が「行きたくなる場所」になるために
親ができる工夫の一例です。
- 「〇〇ちゃんに会えるね!」と友達関係を強調
- 「昨日の絵を先生に見てもらおう」と成果を共有
- 「今日はこの曲が弾けたら帰ろう」と小さな目標を設定
☆ 子どもが楽しいと思える具体的な状況が想像できるような声かけができるといいと思います。
行き渋り対応のチェックリスト
チェック項目 | 対応のヒント |
---|---|
体調は悪くないか | 発熱や疲労を確認 |
友達関係に問題はないか | 家で会話を引き出す |
習い事が合っていないのでは? | 子どもの表情・態度を観察 |
家庭で親が不安を出していないか | 明るい態度で送り出す |
行き渋りを成長につなげる親の姿勢
ソーシャル・リファレンシング
ソーシャル・リファレンシングという言葉があります。これは「子どもは大人の感情を手がかりに自分の行動を決める」みたいなことで、簡単に言えば大人がある場所を見て楽しそうな表情をしていればその場所を楽しい場所だと思い、不安そうな顔をしていたらその場所に恐怖心が生まれるというものです。
1歳から1歳半くらいが一番顕著に出ますが、小学生くらいまでは形を変えて観測できます。つまり、親が園に対してポジティブな感情を表情として出すと子どもは園に行きやすくなるということです。送り出す際には迷ったり不安になったりすると余計子どもは行き渋るので明るく送り出してあげてください。
大切なのは線引き
- 「癇癪を起こして泣くから休ませる」などは「大声で泣く→成功体験」として行動が強化されてしまうのでしっかり線引を引くことが必要です。
- 昨日は発表会頑張ったから特別に家でお母さんと一緒におやつ食べようか」など理由をはっきり伝えるとよいです。
- 「午前中だけ行く」「園までは一緒に行って入り口でどうするか決める」など段階的な参加も選択肢に入れ、子ども自身が決められる機会を持つのもおすすめです。
→ 子どもに「自己決定の機会」を与えることが、自立心を育てます。
習い事は「やめ時」と向き合う
幼稚園や習い事など「多少行かなくても問題ない」場合は休むという選択肢もあっていいと思います。
〇やめ時も大事
習い事に関してはやめ時も大事ではないでしょうか。
1つのことを続けることは大切ですが、ピアノを習ったからといってみんながピアニストになるわけでも、水泳を習ったからといってみんなが水泳選手になるわけでもありません。
(※アトム先生自身自身12年野球をやっていたそうで、振り返るとピアノや絵画、格闘技なんかも興味があったようで、色々手を出すことも悪いことではないのでは、とのことです。私⦅中山⦆も同意です。私も10年剣道をやっていましたが、もっと球技やダンスなどもやっておけばよかったなと思うことがあります。欧米では季節ごとに異なるスポーツをすることは普通に行われていることですし、メジャーリーガーがハイスクールや大学時代にアメフトやホッケーをやっていたりすることもめずらしくありません。)
「ピアノを習ったからといって全員がピアニストになるわけではない」これは多くの親御さんが共感できるポイントではないでしょうか。
〇一緒に目標を決める
その子の発達段階や性格・個性に合わないこともあるでしょう。かといって「行かない」「やめる」にすぐ賛同するのも違う気がしますよね。
そんな時は「この曲が弾けるようになったらピアノをやめる」「クロールができるようになったら水泳をやめる」のように子どもと一緒に目標を決めるのをおすすめします。
習い事で得て欲しいスキルをみにつけつつ、達成感は感じられます。新しいことに前向きにチャレンジできるきっかけにもなりますし、いざ目標をクリアしてしまえば「もう少しやってみようかな」という気持ちが出てくることもあるでしょう。
「行かない」「やめる」とネガティブな言葉のように思えても前向きに捉えられると気持ちも楽になりますし、「目標を決めて新しいことに挑戦するチャンス」と受け止めることもできると思います。
〇習い事の継続・終了の目安
- その子の発達段階や興味に合っているか
- 習い事で得た経験が自信につながっているか
- 「この曲が弾けたらやめる」など明確な区切りを設けられるか
習い事をやめる=失敗ではなく、新しい挑戦への入口と捉えることが重要です。
※ 今回の記事もほとんどアトム先生の受け売りです。豊富な経験と学術的な知識にもとづく冷静かつ多角的な視点で子育て・教育相談を行ってくれます。
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よくある質問(まとめ)
Q1. 子どもが毎日のように「行きたくない」と言います。どうすればいいですか?
A1. まずは「行きたくない気持ち」に共感し、理由を探ることが大切です。体調不良や友達関係、先生との相性など背景を確認してください。小さな行き渋りの段階で対応することで、不登校など深刻な状況を防ぐことにつながります。
Q2. 習い事をやめたいと言ったら、すぐにやめさせたほうがいいですか?
A2. すぐにやめるよりも「この曲が弾けたら」「クロールができたら」といった目標を一緒に決めるのがおすすめです。達成感を得ながら区切りをつけると、ポジティブに次のチャレンジへ進むきっかけになります。
Q3. 保育園や幼稚園での行き渋りと、不登校の兆候はどう違いますか?
A3. 幼児期の行き渋りは一時的なことが多く、共感や声かけで解決できる場合がほとんどです。一方で小学生以降も長期間続く場合は「不登校の兆候」と考えられます。文部科学省の調査でも不登校は年々増加しており、早期の対応が重要です。