【幼児教育で注目】遊びと人との関わり──パーテンの6分類
子どもの遊びは子どもの学びや、成長につながります。今日のその遊びについて発達心理学の観点からご説明します。この時期に最適な遊び(学び)を行うことによって子どもの成長をとても効果的にすることができます。
「遊び」は子どもにとって単なる娯楽ではなく、心と社会性を育てる“学び”の舞台です。
大人が何気なく見ているおままごとやブロック遊びの中にも、
実は他者と関わる力、感情を調整する力、協力する力などが芽生えています。
アメリカの社会学者・ミルドレッド・パーテンは、子どもの遊び方を観察し、「人との関わり方によって遊びには段階がある」ことを発見しました。
この理論は、今日の幼児教育にも深く影響しています。
本記事では、パーテンの遊び分類をわかりやすく解説し、
子どもの社会的発達を見守るために、親や保育者ができることを紹介します。
遊びは「社会で生きる力」を育てる学び
発達心理学では、遊びは「子どもの心と脳の発達を促す自然な学習行動」と考えられています。
特に幼児期の遊びは、以下のような3つの側面で重要です。
- ① 認知的発達:ブロックや絵本などを通して思考力や想像力を育てる
- ② 情緒的発達:感情を表現したり、安心感を得たりする
- ③ 社会的発達:人との関わり方やルールを学ぶ
遊びの中で、子どもは「自分」と「他人」を少しずつ意識し始め、
共感したり、譲り合ったりといった社会性の土台を築いていきます。
幼児教育の専門家たちは、遊びを「社会で生きる力を育てる訓練場」と呼ぶほど。
その中でも特に、人との関わり方に焦点を当てたのが、社会学者パーテンの研究でした。
社会学者パーテンとは?──子どもの社会的発達を観察した先駆者
ミルドレッド・B・パーテンは、アメリカの社会学者であり、
ミネソタ大学の研究室で幼児の社会的行動の発達を詳細に観察しました。
彼女は、保育園児を長期的に観察する中で、
「子どもは他者との関わりをどのように変化させていくのか」に注目しました。
その結果、1932年に発表された研究で、
子どもの遊びには6つの発達段階があることを体系的に整理しました。
この理論は今もなお、幼児教育・保育・発達心理学の基本理論として引用されています。
ミルドレッド・パーテンと彼女の遊びの6つの段階
※英語ですが、パーテンの6つの遊び段階を分かりやすく解説した記事です(日本語訳も使えます)。
パーテンの遊びの6分類とは?──「個」から「社会」への成長ステップ
| 段階 | 名称 | 特徴 | 関わりの特徴 |
|---|---|---|---|
| ① | 非社会的行動 | 周囲を見回したり体を動かしたりする、目的のない行動。 | 他者への関心は薄い。環境に慣れる段階。 |
| ② | 一人遊び | 他の子とは関わらず、自分の興味に集中して遊ぶ。 | 自己探求の段階。集中力や創造力が育つ。 |
| ③ | 傍観遊び | 他の子の遊びを観察するが、自分は参加しない。 | 他者への関心が芽生え、社会的理解の準備期。 |
| ④ | 並行遊び | 隣で同じような遊びをするが、協力や会話は少ない。 | 安心できる距離で他者と共に過ごす。 |
| ⑤ | 連合遊び | 会話や物の貸し借りはあるが、共通の目的はない。 | 相手意識が芽生え、コミュニケーション力が育つ。 |
| ⑥ | 協同遊び | 役割やルールを共有し、協力して遊ぶ。 | 社会的関係が形成され、協調性・共感性が発達。 |
この6段階は、直線的に進むわけではなく、子どもの気分・環境・相手によって行き来します。
重要なのは、「どの段階も成長のために必要な経験」であるということです。
※子どもの規範意識(ルールの教育)に関しての記事です。参考にしてください。
子どもの「規範意識」をどう育てる?自由とルールのバランスが大事
パーテンの研究が持つ意義
パーテンの研究が高く評価されている理由は、
遊びを「社会的発達の鏡」として体系的に捉えた点にあります。
主な意義は3つ
- 社会性発達の道筋を明確化した
子どもが“他者とどう関わるか”の進化を科学的に整理しました。 - 保育・教育現場での観察基準を提供した
子どもの遊び方を観察することで、発達段階を見極められるようになりました。 - 親の「見守る姿勢」を肯定した
どの段階も意味があることを示し、早期の“協調性強要”を防ぐ視点を与えました。
この研究は、現代の保育現場・幼児教育プログラムにも活かされています。
パーテンの研究は、「遊び=社会性の発達過程」であることを明らかにしました。
子どもが遊びを通して育てているのは、単なるスキルではなく、人を理解し、協力し、共に生きる力です。
幼児教育とパーテン理論──「関わり方を育てる教育」
現代の幼児教育や保育では、パーテンの理論を踏まえ、
子どもの“今の段階”に合わせた支援を行うことが重視されています。
各段階での教育・支援のポイント
- 一人遊び期:安心して集中できる環境を整える
- 傍観・並行遊び期:無理に関わらせず、他者への関心を温める
- 連合・協同遊び期:ごっこ遊びやチーム遊びを通じて社会的スキルを育てる
例えば、私たちは、おままごとやブロック遊びなどを通して「協同遊び」に発展できるようにするなど、時期や子どもの性質に適した教育プランを作成するようにしています。
大人ができることは、子どものペースに寄り添い、遊びの質を豊かにすることです。
「遊び=教育」と捉えた支援が、子どもの自立と社会性を伸ばします。
リコポ幼児教育では、子どもの発達段階を丁寧に観察し、その子に合った“遊びと関わりのプラン”を提案しています。「遊びと学びを重視し、学ぶことを好きにさせる」――これが、私たちの教育の原点です。
下記の発達のピラミッドを下から積み重ねていき、将来の本格的な学習いわゆる勉強につなげていきます。
幼児期に大切な感覚統合と発達ピラミッド〜小学校受験にも役立つ力〜

パパママからよくある質問3つ
Q1. 並行遊びばかりしているのは心配ですか?
いいえ。並行遊びは協同遊びへ移る大切なプロセスです。焦らず安心できる環境を保ちましょう。
Q2. 友だちとのケンカが増えました。どう接すれば?
ケンカも社会性の一部。気持ちを言葉にできるようサポートしてあげてください。
Q3. 家で社会的遊びを促すには?
役割を決めた「ごっこ遊び」や、「一緒に作る」活動(料理や工作)が効果的です。
☆リコポ幼児教育では、子どもの成長に寄り添うために会員様には365日いつでも子育て相談を受け付けています。また、子どもの資質に合った今しかできない教育プランを作成し、お子様の学びを支援しています。