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教員の長時間労働と教育の未来ー教師・保育士の専門性を再評価する

教員の長時間労働と教育の未来ー教師・保育士の専門性を再評価する

本日は少し気になった記事があったので、少しだけ幼児教育とはずれるのかもしれませんが、取り上げます。私は昨日の記事で、教員の盗撮事件を取り上げ批判しましたが、ほとんどの教師の方々がしっかりと子どもに向き合って教育に励んでくれています。だからこそ、あの事件はそんな先生方の足を大きく引っ張るという意味でも許しがたい事件です。

今回取り上げるのはこの記事です。消えるかもしれませんので、下記に簡単にまとめます。
やはり日本の先生方はとても忙しい・・・世界的にも見ても長時間労働のようです。
日本の小中学校 教員“世界で最も長時間労働”(NHKニュース)

しかし、子どもが学校に通う保護者の方なら、一度はそう感じたことがあるのではないでしょうか。
部活動の指導、保護者対応、行事の準備、教材作り…。子どもが帰宅した後も、職員室の明かりは遅くまで消えません。

今回はまず、この“世界一”という言葉を冷静に分析しつつ、かつどうすればいいかを私なりに考えてみたいと思います。
本記事では、統計の背景を丁寧にひもときつつ、現場の先生たちが抱える課題と、それをどう支えるべきかを考えます。

※昨日の記事です。「日本版DBS」と教育現場の安心─リコポ幼児教育の取り組み


ニュースの概要:「世界最長の労働時間」という現実

上記のニュースを簡単な概要です。OECD(経済協力開発機構)が実施した「国際教員指導環境調査(TALIS 2024)」によると、
日本の小中学校教員の週あたり労働時間は以下の通りです。

  • 小学校:52.1時間
  • 中学校:55.1時間

これは調査対象48か国・地域の中で最も長い水準でした。
授業以外の業務、特に「部活動」「事務作業」「保護者対応」「学校行事の準備」などに多くの時間を割いている点が特徴です。

前回調査(2018年)よりは約4時間減少していますが、それでも依然として世界トップクラスの長さ。
“改善の兆しはあるが、まだ出口は遠い”というのが現状です。


統計の読み方:数字の裏にある注意点

一方で、少しこの数字を冷静に見てみましょう。報道を見ると、「世界最長」という言葉が一人歩きしています。
しかし、統計にはいくつかの注意点があります。

① 国ごとの「業務範囲」が違う

海外では部活動の指導や学校行事の運営は「教員の仕事」ではなく、地域団体や専門職員が担うことが多いのです。
日本では、これらを先生が兼任しているため、勤務時間が自然に長くなります。
※もちろんこれ自体が大きな問題です。私は部活動は地域のやりたい人に任せるべきとも考えます。実際私は小中と剣道部でしたが、熱心な若い先生が顧問の先生とは別に指導してくれていました。

② 「自己申告」方式の限界

TALISの調査は教員本人の申告に基づいています。
日本では「真面目に書く」傾向が強い一方、海外では「勤務時間外はカウントしない」文化もあるため、実感の差が数値にも反映されやすいのです。

③ 「長い=悪い」ではないが…

熱意ある先生が多いのは確かです。
ただし、長時間労働が「教育の質」を高めるとは限りません。
むしろ疲弊による離職、精神的負担、若手教員の減少が教育現場を揺るがしています。

※これもこれ自体に問題があります。つまり、労働時間が長いのがいいとは思っていないけど、なかなか帰りづらい、若い先生が部活動を押し付けられる、休日に部活動の試合に拘束されるなど、従わざるをえない状況にあること自体問題と言えます。


それでも教師は大変だ──現場の“無理ゲー”構造

統計の分析をしても、数字を割り引いても、教員の大変さはやはり変わりません。
まとめると、特に小中学校では、次のような構造的な問題が重なっています。

  • 業務量が多すぎる:授業・評価・行事・部活動・保護者対応が並行。
  • 人員が足りない:非正規教員が増え、現場の負担が集中。
  • IT化が遅れている:デジタル化が進まず、書類仕事が手作業。
  • 「サービス精神」が求められる文化:教育=奉仕、という価値観が根強い。

結果、心身の限界に達する先生が少なくありません。
教員志望者の減少も加速し、「先生になりたい人がいない」という教育崩壊の前兆が見え始めています。


対策:業務の“選別”と社会の理解

本質的な解決には、「先生の仕事を減らす」だけでなく、「何を先生が担うべきか」を明確にする必要があります。

① 部活動の地域移行

国や自治体は、部活動の運営を地域クラブや外部コーチへ移行する方針を進めています。
完全移行は2026年度を目標としており、これにより教員の週末負担を大きく減らすことが期待されます。
☆私はこれを本当に推奨してほしいと思います。はっきり言いますが、地域が支えられないならもう部活動はなくしてもいいとも思います。そもそもスポーツなら、リトルリーグやサッカークラブなど外部で本格的に行える場所がありますし(もちろんその分費用やレベルは高いですが)、文科系も工夫すればそのようなコミュニティを築けることは大人の協力があればできると思います。少なくとも、学校や教師にだけ責任を押し付けることには疑問が残ります。

② 教員以外のサポートスタッフ配置

事務職員、カウンセラー、ICT支援員などを配置し、授業に集中できる環境づくりを推進。
「学校はチーム」という発想が少しずつ広がっています。

③ 働き方改革と“定時退勤”の文化

自治体によっては「ノー部活デー」「定時退勤日」の設定も進行中。
ただし形骸化しているケースもあり、実効性を高める仕組みが求められています。


行政の動き:「学校BPR」としての改革

文部科学省は近年、学校の業務改革を「BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)」と位置づけ、
業務の見直しとデジタル化を一体的に進める施策を発表しています。

  • GIGAスクール構想により、児童生徒1人1台の端末が整備
  • 校務支援システムによる出欠・成績管理の自動化
  • 外部委託による事務・用務業務の削減
  • 教員採用倍率の低下を踏まえた処遇改善(給与・研修制度の再構築)

こうした行政の動きは評価できますが、**「改革が現場に届いていない」**という声も根強い。
制度を整えるだけでなく、現場が使いやすい形に落とし込むことが鍵です。


先生の“やりがい”を取り戻すために

やりがいで人は動かないと思う方もいるかと思います。実際「教師のバトン」という教員が若年層に仕事の魅力を伝えることで、教員志望者の増加を目指したプロジェクトがありましたが、労働環境の実態の訴えが目立ち、冷ややかな目で見られました。
それでは、今の教職において月給に5万円~10万円多くの給料が追加されたとして、教師になりたいと思う方が劇的に増え、優秀な方が採用できるかというと決してそんなことはないかと思います。
教師より楽で、稼げる職業はいくらでもあります。
私は教職が人気のあった時期というのは、やはり教師は「かっこよくて尊いもの」というイメージがあったと思います。熱血な教師にスポットが当たり、高評価高視聴率をたたき出すドラマはいくらでもありました。
待遇の改善はもちろんですが、私はやはり「やりがい」はとても大事だと考えます。同時に、先生の信頼される、教職がしっかりリスペクトされることも必要でしょう。

そもそも多くの先生は「子どもたちの成長を支えたい」という純粋な想いで働いているにもかかわらず、膨大な業務に埋もれ、本来の教育的喜びを感じにくくなっているのが現実です。

やりがいを高めるには、次のような視点が必要です。

  • 成果よりプロセスを評価する仕組み(学習過程を重視)
  • 教員の「学び直し」を支援(専門性を高めるリカレント教育)
  • 教育成果を社会が正当に評価する文化

私はこの中でも、先生の専門性を再評価するべきなのではと考えています。
まずは先生方の現在の状況をしっかり把握して、次に専門性をしっかりと評価することが先生たちの「やりがい」につながり、教職のすばらしさにもつながってくるかとも思います。


専門性へのリスペクト──教師も保育士も「教育の専門家」

私は予備校や塾でも教えていたことがありますが、はっきりいうと英数国理社に関して、予備校の先生の方が圧倒的に教えるのが上手です。私だけではなく、この評価をされる方は一定数いると思います。

ただ、この評価は極めて一面的です。
この評価はあくまで「受験合格に向けての指導」は塾の先生の方がうまいにすぎません。
そもそも学校の先生は学習指導以外にやらなければならないことがたくさんあります。もちろん、塾の先生も教室の管理業務など教える以外にやらなければならないことは多くありますが、それでも学習指導のみに費やせる時間は圧倒的に塾の先生の方が多いです(塾はそもそも学習するだけの場なので当たり前ですが)。学校の先生は学習指導以外にもやることが多く、塾の先生の方が教えるのがうまいと評価するのはあまりに一方的です。

本来、学校の先生は教職課程を経て、子どもの発達や教育に関して専門的な教育を受けてきた方たちです。子どものこの時期には、心理的にこんな教え方をすれば成長を促せる。今は言語においてここまでの理解があるから、この読解が効果的だなど、教育心理学や教育社会学などの学問を交えた授業を行っています。決して受験に向けてのみの科目指導を行っているわけではありません。

これは保育士の先生にも言えます。本来、保育士の先生はこの時期には発達教育学上、子どもはこんな反応、態度をするから、このように接することが子どもの成長に効果的だーというような専門知識を学んできています。そして、それを子育てに活かせるのがよい保育士の先生だと思います。彼女ら、彼らはただ子育てのお手伝いをしているわけではありません。子育てに関しての専門知識を持った人たちなのです。

日本では、「教育・保育は誰でもできる」と誤解されがちです。そして、「経験」に重きが置かれ「理論」が軽視されがちです。

しかし、教員も保育士も、子どもの発達段階を理解し、学びをデザインする専門家のはずです。教育の専門性をしっかり評価する必要があります。とくに幼児期・児童期の教育は人格形成の土台であり、単なる“世話”ではなく“教育”そのものといえます。

私は、意識の高い教師や保育士の先生ばかりであるというつもりはありません。だからこそ、それができる教師や保育士の先生をしっかり評価すべき、もしくはしっかり「注目してあげるべき」と考えています。
彼女らの仕事を「専門職」として再定義し、社会全体でその価値を支える仕組みを作ることが、教育の未来を左右します。

☆ちなみにうちの専門アドバイザーの鈴木アトム先生は経験も理論も豊かです。何より、理論もまた大事であるということで、しっかり勉強し続けています。そこが私の信頼する理由です。
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Q&A(まとめ)

Q1. なぜ日本の先生は「世界で最も忙しい」と言われるのですか?

OECDの国際調査(TALIS)によると、日本の小中学校教員の労働時間は週50時間を超え、参加国中トップクラスです。
原因は、授業以外の業務が多すぎること。部活動、保護者対応、行事、校務分掌など、他国では専門職員や地域ボランティアが担う仕事まで先生が引き受けています。
「教育のすべてを学校に委ねる」社会構造が、先生たちの時間を奪っているのです。

Q2. 教員の働き方改革は本当に進んでいるのでしょうか?

部分的には進んでいます。
部活動の地域移行や、校務支援システムの導入、定時退勤日の設定など、行政の取り組みは増えています。しかし現場では、「結局、書類仕事は減っていない」「保護者対応がオンライン化しても夜に届く」などの声も。
改革が“実際の働き方”に反映されるには、校長や教育委員会のマネジメント改革も不可欠です。

Q3. 教師や保育士の「専門性」をどう高めればよいですか?

教育の専門性とは、子どもの発達を理解し、学びの環境をデザインできる力のことです。
これを高めるには、現場経験に加えて「学び直し(リカレント教育)」が重要です。
最新の発達心理学や教育工学を学び続ける仕組みがあれば、先生たちはより科学的で、創造的な教育を実践できます。社会全体が教師や保育士を「教育の専門職」として尊重することこそ、真の教育改革の第一歩です。

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