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ピアジェの発達段階理論「前操作期」:言葉と想像力が花開く時期とは

ピアジェの発達段階理論「前操作期」:言葉と想像力が花開く時期とは

今回もピアジェの発達段階理論についてです。今回は感覚運動期に引き続き、2~7歳にあたる「前操作期」についてです。
子どもの言葉が増え、まるで“小さな哲学者”のように「なんで?どうして?」を繰り返す時期——皆さんも覚えがあると思います。それがピアジェのいう「前操作期」です。
この時期の子どもは、見るもの、感じるもの、聞くものすべてを吸収し、自分なりの“世界のルール”をつくり始めます。
しかしその理解はまだ不完全で、大人とはまったく異なる論理で動いています。
幼児教育では、この前操作期の特徴を正しく理解することが、子どもの成長を支えるうえでとても重要です。今回は、前回の「感覚運動期」をおさらいしながら、「前操作期」の発達と教育的意義をやさしく解説します。

※ピアジェの発達段階理論についての記事です。発達段階理論(発達心理学)は子どもの心の成長にせまります。 子どもは“小さな科学者” ピアジェの発達段階理論と幼児教育の関係

ピアジェの発達段階のイメージイラスト

ピアジェの発達段階理論のおさらい:「感覚運動期」とは

昨日のピアジェの発達段階理論の中の、感覚運動についての復習です。ピアジェは、知能の発達を次の4段階で説明しました。

ピアジェの発達段階理論
段階年齢の目安特徴
感覚運動期0〜2歳感覚と運動を通じて世界を理解する。対象の永続性を獲得。
前操作期2〜7歳言語やイメージで思考するが、論理的操作はまだできない。
具体的操作期7〜11歳論理的思考が可能になり、他者視点も理解し始める。
形式的操作期12歳〜抽象的・仮説的思考が可能になる。

前回扱った「感覚運動期」では、子どもは五感と体の動きを通して「世界のしくみ」を少しずつ理解していきます。たとえば、物が隠れても存在し続けることを理解する「対象の永続性」は、この時期の代表的な発見です。
そして、2歳を過ぎるころから、子どもは言葉を使い始め、自分の頭の中に“イメージの世界”を築き上げていきます。
ここからが「前操作期」の始まりです。


前操作期とは:言葉と想像力の時代

前操作期(2〜7歳)は、感覚的な体験をもとに、子どもが“象徴”や“ことば”を使って世界を理解しようとする時期です。ピアジェが言う「操作」とは、頭の中で物事を論理的に扱うことを言います。
この時期の子どもは、まだその“操作”を十分に行えないため「前操作期」と呼ばれます。

しかし、できないことばかりではありません。
むしろこの時期こそ、言葉の発達・想像力の爆発的成長・ごっこ遊びなど、創造性の芽がぐんぐん伸びる黄金期でもあります。


前操作期の子どもの特徴

1. 自己中心性

ピアジェの有名な実験「三つ山課題」では、子どもが自分の視点からしか世界を見られないことを示しました。
たとえば、相手がどんな位置に立っているかを理解せず、「自分が見ているもの=相手も見ているもの」と考えます。
これは“わがまま”ではなく、認知の発達段階による自然な特徴です。

2. アニミズム思考

この時期の子どもは「お月さまがついてくる」「人形が泣いてる」といった“ものに心がある”と信じる傾向があります。
想像力が豊かで、世界を生命的に感じる感受性の高さが見られます。

3. 見た目に左右される思考

水を細いコップに移すと「増えた」と感じるなど、外見に影響されてしまいます。
これは「保存の概念」がまだ形成されていないためです。

4. 象徴遊び・ごっこ遊びの発達

ごっこ遊び(ままごと、ヒーローごっこなど)は、象徴的思考の表れです。
子どもは「これはお母さんの役」「ぬいぐるみは赤ちゃん」といった想像の世界を楽しみながら、社会的ルールを学びます。

マイナビ保育「ピアジェの発達段階を分かりやすく解説!保育での活かし方と注意 とは」
 前操作期の認知的特徴(保存性、中心化など)も丁寧に解説してくれています。


前操作期と幼児教育:学びの基礎をつくる

この時期の教育で大切なのは、「体験を言葉で結びつけること」です。
言葉の理解とともに、子どもの世界はぐんと広がります。

1. 体験+言葉のセット学習

たとえば、「お花がきれいね」と言いながら実際に花を触る、「重たいね」と言いながら荷物を持つ。
こうした体験が、言葉と感覚をつなぎ、概念の形成につながります。

2. 物語とごっこ遊びの活用

絵本の読み聞かせやごっこ遊びを通して、子どもは「他者の気持ち」や「因果関係」を自然に学びます。
これは後の論理的思考や社会性の基盤になります。

3. 感情と言葉を結ぶ練習

前操作期は感情表現が豊かになる時期でもあります。
「悲しい」「嬉しい」「怖い」などの感情を言葉にする練習を通して、情緒の安定と共感性が育ちます。

4. 教育現場・ベビーシッター現場での支援

幼児教育やベビーシッターの場では、子どもの“想像の世界”を尊重しながら、
「こう思ったんだね」「どうしてそう思ったの?」と共感的に寄り添うことが重要です。
この対話が、メタ認知(自分の考えを客観視する力)の萌芽を育てます。

※メタ認知に関しての記事です。
子どもの未来を変える「メタ認知」とは?幼児期から育む最強の学習力


☆リコポではこういった教育理論に基づいた遊びや学びを教育プランに取り入れて、子どもの学びを効果的にします。
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ピアジェの前操作期は、単なる「かわいい時期」ではなく、知的・感情的発達の大きな分岐点です。
この時期に、豊かな体験と言葉の結びつきをサポートすることが、将来の論理的思考・社会的理解・自己表現の力へとつながります。幼児教育やベビーシッターの現場では、「教える」よりも「感じさせる」「考えさせる」関わりが大切です。子どもが自分の世界をことばで紡ぎ出す瞬間を、大人が温かく見守る——それこそが、この時期の最高の教育です。


親が気を付けるべきこと

1. 論理で叱らない

前操作期の子どもに「なんでそんなことしたの!」と理屈で問い詰めても通じません。
彼らの世界では、「結果」より「今の気持ち」が中心。
感情を受け止めた上で、「こうしたらどうなるかな?」と優しく導くことが大切です。

2. “空想”を否定しない

「そんなの嘘でしょ」と現実を押し付けるのはNG。
想像力は思考の原動力です。子どもの「心の遊び場」を奪わないようにしましょう。

3. 比較せず、プロセスを褒める

この時期は「できる・できない」よりも「考えようとする」「話そうとする」ことを認めてあげることが重要です。
結果よりも「成長の過程」に注目することで、自己肯定感が育ちます。

4. “見守る教育”を意識

大人が先回りして教えすぎると、子どもの思考の芽を摘んでしまうことも。
考える時間、間違える経験こそが「思考の筋力」をつくります。


Q&A(まとめ)

Q1. 「前操作期」の子どもは、なぜ“自分の考え”を押し通そうとするの?

A: ピアジェのいう「自己中心性」が理由です。
まだ他者の視点で物事を考える力(脱中心化)が発達していないため、「自分が見ている世界=みんなの世界」と思い込んでしまいます。しかしこれは発達の通過点であり、悪いことではありません。ごっこ遊びや絵本の読み聞かせなど、他者の立場を感じられる体験を積むことで、自然に理解が広がります。

Q2. どうすれば“空想”と“現実”をうまく区別できるようになりますか?

A: 前操作期の子どもは、想像の世界と現実の境界があいまいです。
それを無理に正そうとせず、「そう思ったんだね」「本当にいたら面白いね」と共感を示すことで、安心感と想像力を両立させられます。成長とともに、現実との違いを自分で整理できるようになります。
“否定ではなく共感”がカギです。

Q3. 前操作期の子どもに「勉強的なこと」を教えるのは早い?

A: 教えること自体は悪くありませんが、「体験」と結びついていることが大切です。
たとえば数字なら、実際にお菓子を数える、文字なら絵本や歌で触れるなど、「意味を伴った学び」が効果的です。抽象的な学習はまだ早い段階なので、手・目・耳・感情を使った遊び中心の教育が望ましいです。

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