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子どもの力を伸ばすカギ「精緻化」とは?幼児教育との関係

子どもの力を伸ばすカギ「精緻化」とは?幼児教育との関係

本日は「精緻化」について書きます。聞きなれない言葉かもしれませんが、幼児教育にいて重要な言葉です。子どもは日々、遊びや会話、絵本や体験を通じて世界を理解しようとしています。ところが、その理解が「ぼんやり」したままでは、せっかくの経験も効果が薄いものとなってしまいます。ここで大切になるのが「精緻化(せいちか)」という考え方です。精緻化とは、物事をより細かく整理し、深く理解し、自分の中で意味づけをしていくことです。実は、幼児期の遊びや言葉のやり取りの中で、この「精緻化」をうまく促すと、子どもの集中力・言語力・非認知能力(※知識以外の生きる力)まで豊かに育っていきます。本記事では、「精緻化」の意味や種類、幼児教育との関係、家庭でできる工夫をわかりやすく解説します。


精緻化とは何か

「精緻化(せいちか)」とは、物事を より詳しく、関連づけて、深く理解すること を意味します。
教育心理学では「エラボレーション(elaboration)」とも呼ばれ、単なる暗記や表面的な理解ではなく、自分の知識や体験とつなげながら学習内容を整理するプロセスを指します。

例を挙げると:

  • 「りんご」という言葉を覚えるときに、「赤い」「甘い」「かじったときのシャリッとした音」といったイメージを結びつける。
  • 「大きい」という概念を「ゾウは大きい」「パパの靴は大きい」と具体例で広げる。

このように、情報を多角的に結びつけることで理解が深まり、記憶にも残りやすくなります。


精緻化の種類

精緻化にはいくつかの形があります。特に幼児教育に関連するものをまとめると、以下のように分けられます。

1. 言語的精緻化

言葉を使って説明したり、言い換えたりすること。
例:「これは車だよ」→「赤い車だよ。タイヤが4つあるね。」

2. 視覚的精緻化

絵や図、イメージを使って理解を深めること。
例:動物図鑑で「ゾウ」を見ながら、「鼻が長いね。耳も大きいね。」と特徴を強調する。

3. 感覚的精緻化

五感(見る・聞く・触る・嗅ぐ・味わう)を通して情報を結びつけること。
例:料理を一緒にするときに「にんじんはオレンジ色で甘い匂いがするね」と体験を伴わせる。

4. 社会的精緻化

人とのやり取りを通して理解を整理すること。
例:絵本を読んだあと「どう思った?」「うさぎさんはなぜ泣いたのかな?」と会話を深める。

※新しい情報を既存の知識や記憶とつなげて(「精緻化」を通じて)記憶を強める手法について詳しく書いています。「精緻な符号化(精緻化)」について


精緻化と言語化の関係

大人の世界でも自分の考えていることを言語化することがうまい人や、言い換えや例え話のうまい方がいらっしゃいます。よくそういう方は「言語化のうまい人」「頭のいい人」と言われますが、そんな人をイメージしていただければよいかもしれません。彼らは言葉の抽象化と具体化の行き来がうまく、比喩や例えもうまい人たちです。そんな人はまさに「精緻化」の力が育っていると言えます。

子どもの精緻化

  • 子どもは頭の中に「ぼんやりしたイメージ」や「感情」を持っていても、うまく言葉にできないことが多いです。
  • 大人が「どんな色だった?」「どんな気持ち?」と問いかけることで、子どもは自分の体験や心を言葉に変換しようとします。
  • このプロセスこそが 精緻化=イメージを整理し、具体的な言葉で表すこと に直結します。

幼児教育における効果

  • 感情の言語化:「悲しい」「うれしい」だけでなく「ちょっとドキドキする」など細やかな表現を獲得。
  • 想像力の言語化:絵本やごっこ遊びで「もし◯◯だったら?」と考えを広げる力が養われる。
  • 思考の整理:言葉にする過程で、自分の考えを順序立ててまとめられるようになる。

つまり、精緻化は「知識の理解」だけでなく 心の中の世界を言葉に変える架け橋 でもあり、自己表現力や自己肯定感にもつながります。

言語は、精緻化を進めるうえでとても重要なツールです。
なぜなら、言葉は自分の考えを整理し、他人と共有するための手段だからです。

※子どもの会話方法の一つとして「オープンクエスチョン」という会話法を紹介しています。こちらの記事も関連しますので参考にしてください。
(子どもの考える力を伸ばすーオープン・クエスチョンを意識する)

オープンクエスチョンを意識した会話

幼児教育と精緻化

幼児教育の現場では、精緻化は特に重視されます。なぜなら、幼児期は 感覚と体験が言語や思考に変換される基盤 をつくる時期だからです。

  • 絵本の読み聞かせ
     ただ読むだけでなく、「どうしてこうなったのかな?」と問いかけることで物語の理解が精緻化される。
  • ごっこ遊び
     「お医者さん役」「患者さん役」など役割を通じて、社会的関係や言葉のやりとりが精緻化される。
  • 工作や制作活動
     「これは三角だから屋根にしよう」「ここに赤を塗るとリンゴになるね」と、形や色の概念が精緻化される。

このように、精緻化は「遊びながら学ぶ」幼児教育の核となっています。
幼児期の子どもは、まだ語彙が少なく、言葉に頼らず「体感」で世界を理解しています。そこで、親や保育者が 言葉を添えることで体験を「精緻化」 できます。


精緻化と関連する能力

精緻化を通じて育まれる能力は多岐にわたります。

  • 言語能力
     語彙の増加、表現力、文章理解力が向上する。
    ☆ 実は英語など他言語の勉強にも重要です。単語を「音」だけで覚えるより、「意味」「イメージ」「体験」と結びつけると忘れにくくなります。
    例えば「apple」 をただ暗記するのではなく、赤いリンゴを思い浮かべて「シャリッと音がする」「甘い香りがする」と関連づけて、イメージして覚えれば、記憶の定着が強まります。
  • 非認知能力(自制心、協調性、集中力など)
     自分の体験や気持ちを整理し、他人と共有する力につながる。
  • 記憶力
     関連づけが多いほど、記憶が長期的に保持される。
  • 論理的思考力
     「なぜ?」「どうして?」を考える習慣が、筋道立てて考える力につながる。
  • 自己肯定感
     「説明できた!」「わかった!」という経験が自信になる。

精緻化を促すためにできること

家庭やベビーシッターの場で、保護者や大人ができる工夫を紹介します。

1. 絵本の読み聞かせで「問いかけ」を加える

ただ読むのではなく、「次はどうなると思う?」「この子はどんな気持ちかな?」と声をかける。

2. 体験に言葉を添える

「雨が降ってきたね。ポツポツって音がするね。」と五感を言葉に変換する。

3. 子どもの発言を広げる

「りんご!」と言ったら「そうだね、赤いりんごだね。甘い匂いもするね。」と返す。

4. 遊びを生活と結びつける

おままごとで「野菜を切る」遊びをしたら、実際の料理にも参加させる。

5. 質問にすぐ答えすぎない

「どうして?」にすぐ正解を教えるのではなく、「どう思う?」と返して考えを引き出す。

「精緻化」とは、情報を整理し、関連づけ、深く理解することです。幼児期においては、言葉・遊び・体験を通じて精緻化を促すことで、言語能力や非認知能力、自己肯定感までバランスよく育ちます。
子どもの「わかった!」を増やすには、親や周囲の大人がちょっとした声かけや問いかけを意識することが大切です。毎日の生活の中で、小さな工夫が大きな成長につながるーそれが「精緻化」の力です。


Q&A(まとめ)

Q1. 精緻化って難しそうですが、家庭で意識するにはどうすればいいですか?

A. 難しく考えなくて大丈夫です。日常の「声かけ」を少し工夫するだけで、精緻化は自然に促せます。たとえば、子どもが「バナナ!」と言ったら「黄色くて甘いバナナだね。皮をむいたらどんな匂いかな?」と返す。これだけで子どもの言葉と体験がつながり、理解が深まります。

Q2. 精緻化を意識すると、子どもにどんなメリットがありますか?

A. 精緻化は「記憶力」や「言語力」を伸ばすだけでなく、集中力や想像力、そして「自分の気持ちを言葉にする力」まで育てます。これはいわゆる 非認知能力(テストの点数では測れない生きる力) にも直結します。つまり、学習の基礎だけでなく、将来の人間関係や自己肯定感にも良い影響を与えるのです。

Q3. 幼児教育の場面で、精緻化を促すために大人は何をすればいいですか?

A. ポイントは「具体的な体験を言葉でつなげる」ことです。たとえば積み木遊びでは「高い塔ができたね。どうして倒れちゃったのかな?」と声をかける。食事では「にんじんは甘い匂いがするね。どんな形かな?」と五感を言葉に置き換える。こうしたやりとりが 子どもの体験を学びに変える精緻化 を支えます。短時間でも効果があるので、忙しい日常でも取り入れやすいです。

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