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子どもの幸せを育てる力 幼児期から育つ「感情コンピテンス」とは?

子どもの幸せを育てる力 幼児期から育つ「感情コンピテンス」とは?

今日は少し聞きなれない言葉かもしれません。「感情コンピテンス」についてです。
子どもが泣いたり、怒ったり、嬉しそうに笑ったりする姿は、日常の中でごく自然なものです。
けれどその一つひとつの感情の裏側には、「心を理解し、相手と関わる力」が育つ大切な芽が隠れています。

最近注目されている「感情コンピテンス(Emotional Competence)」とは、この“感情の扱い方”に関するスキルのこと。
単に「我慢させる」でも「自由にさせる」でもなく、子ども自身が感情を理解し、表現し、他者と共感できるようになる──そんな力が、将来の人間関係や自己肯定感、さらには社会的成功にまでつながっていくのです。大人でもこのしっかりと感情をコントロールできる力は、人との良好な関係を作る、冷静に状況を見つめ、対応策を考えるなどあらゆる場面で役に立つ力です。


感情コンピテンスとは何か

「感情コンピテンス」とは、自分や他人の感情を理解し、適切に表現・調整できる能力のことです。
これは心理学者デニーらによって体系的に整理された概念で、欧米では「Emotional Competence」や「Emotional Literacy(エモーショナルリテラシー)」として早期教育に導入されています。

感情コンピテンスは、単なる情緒の安定やEQ(Emotional Intelligence)とは少し異なります。
EQが“感情をうまく使う力”だとすれば、感情コンピテンスは感情そのものを理解し、言語化し、他者と共有できる力のことを言います。
つまり、社会で「心をもって生きる」ための基礎スキルといえます。

子どもの感情教育について

感情教育が注目される理由

現代の教育現場では、学力偏重から「非認知能力」重視の流れが広がっています。
中でも「感情教育」はその中心にあります。

AIが進化し、情報処理は機械が得意になった今、私たち人間に求められているのは「感情を扱う知性」です。
怒りや悲しみをうまく受け止め、他人の気持ちに共感し、自分の思いを言葉で伝える。
この力が、人間関係のトラブルを減らし、ストレス耐性を高め、協働できる人を育てます。

幼児期の感情教育は、将来の「社会的コンピテンス(社会での適応力)」の基礎を作るともいわれています。
感情をうまく扱える子どもは、友だち関係が安定し、学習への集中力も高くなるという研究もあります。


感情コンピテンスと社会的コンピテンスの関係

感情コンピテンスは、社会的コンピテンス(社会的適応能力)と密接に関わっています。

例えば──

  • 自分の怒りを理解し、落ち着いて伝えられる子は、ケンカを避ける方法を学びます。
  • 友だちが悲しんでいるときに気づき、声をかけられる子は、信頼関係を築きます。

こうした力の積み重ねが、「社会の中で自分らしく生きる力」につながるのです。

ピアジェやヴィゴツキーの理論で言えば、感情コンピテンスは「社会的相互作用を通じた発達」の中核です。
人は他者とのやりとりを通して、自分と他人の“心の地図”を少しずつ描いていくのです。

※ピアジェについては何度も触れています。子どもの心の発達においてとても重要な人物です。
子どもは“小さな科学者” ピアジェの発達段階理論と幼児教育の関係
※久しぶりにヴィゴツキーが出てきたので、関連記事を張っておきます。
【個別教育の力】「最近接領域」に働きかけるベビーシッターの強み
※子どもの「規範意識」についての記事です。参考にしてください。
子どもの「規範意識」をどう育てる?自由とルールのバランスが大事


感情コンピテンスの8つのスキル

感情コンピテンスには、主に以下の8つのスキルがあるとされています。

スキル内容の概要
①感情の認識自分の感情を感じ取り、気づく力
②感情の言語化感情を言葉で表現できる力(例:「悲しい」「悔しい」)
③感情の理解感情の原因や変化を理解する力
④他者の感情認知相手の表情や声から気持ちを読み取る力
⑤感情の調整強い感情を落ち着かせる力(セルフコントロール)
⑥共感他者の気持ちに寄り添い、共感する力
⑦感情の表現適切な方法で感情を外に出す力(言葉・態度・行動)
⑧感情の活用感情をモチベーションに変える力(「悔しい→次はがんばろう」)

これらは一気に身につくものではなく、家庭や保育の中で繰り返しの経験によって少しずつ育まれていきます。

青少年の肯定的な発達概念としての感情的コンピテンス(PMC)
参考外部リンクです。青年期の発達視点から、感情コンピテンスの概念や教育的意味を整理したレビュー論文になります。


感情コンピテンスを育てるためにできること

1. 感情を「否定しない」

「泣かないの」「怒らないの」と感情を抑え込むのではなく、
「悲しかったね」「悔しいよね」とまず共感的に受け止めることが大切です。
これにより、子どもは「感情を表に出していいんだ」と安心します。

2. 言葉で感情を整理する練習をする

感情カードや絵本を使って、「今の気持ちはどれかな?」と尋ねるのも効果的です。
言語化が進むと、衝動的な行動が減り、冷静に考える習慣がつきます。

3. ロールプレイやごっこ遊びを通じて学ぶ

ごっこ遊びは、他人の視点を理解する最高の訓練。
「どうして○○ちゃんは怒ったのかな?」と一緒に考えることで、他者理解と共感力が伸びます。

4. 安心できる大人の存在

どんなに優れた教育プログラムよりも、「安心できる大人のまなざし」が感情発達の基礎になります。
失敗したとき、泣いたときに「大丈夫だよ」と寄り添ってくれる存在こそ、感情の安全基地です。

感情を扱う力は、将来の成功よりも、日々を幸せに生きる力です。
怒っても、泣いても、笑ってもいい。
その感情を受け止め、理解し、表現できることこそが、子どもたちの「生きる自信」につながります。

幼児期にこそ、この感情の学びを丁寧に支えることが、豊かな人生の第一歩となるのです。


親ができるサポート

  • 感情のモデルになる:親自身がイライラしたとき、「今ちょっと疲れているから落ち着くね」と言葉にする。
  • 家庭の中で感情を共有する:「今日はうれしかったね」「少し心配だったね」と話し合う習慣をつくる。
  • 感情に名前をつける:感情語彙を増やすことで、子どもはより豊かに心を表現できるようになります。
  • 叱るより“理解する”:行動の裏にある感情に焦点を当てると、問題解決がスムーズになります。

リコポ幼児教育でも、シッティングの中で「感情の言葉かけ」「共感的な対話」「遊びを通じた感情理解」を重視しています。
これは単なる情緒教育ではなく、「心をもって他人とつながる力」を育てる教育です。
会員様には質問も365日いつでも受け付けておりますので、遠慮なく相談してください。


パパママからよくある質問3つ

Q1. 感情を我慢させたほうが社会で通用するのでは?

我慢ではなく「調整」が大切です。感情を理解し、適切に表現することで他者と円滑に関わる力が育ちます。

Q2. すぐ泣く・怒る子は感情コンピテンスが低いのですか?

いいえ。むしろ「感情を表に出せる」ことは第一歩です。表現を通して少しずつ整理・調整の力を学んでいきます。

Q3. 家でできる簡単な感情教育はありますか?

絵本の読み聞かせや、日常会話の中で「どんな気持ち?」と尋ねるだけでも効果的です。大人の共感が最大の教材です。

リコポ幼児教育では、子どもの成長に寄り添うために、会員様には365日いつでも子育て相談を受け付けています。
心の成長や、子どもの教育においても気になる点はぜひご相談ください。
ご家庭に合った解決策を一緒に考えましょう。

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