子どもは丸暗記の天才? 幼児特有の記憶力を活かした教育

「うちの子、好きな歌の歌詞を全部覚えていて驚いた!」——そんな経験はありませんか? 私も子どもの頃に見ていたアニメ『ドラゴンボール』の歌やセリフ、子どもにとっては難しいはずの技の名前を叫んでいた記憶があります。歌も英語の歌詞が入っていましたが、なんとなく歌っていました。私だけではなく、皆さんにも何かしらの経験があるのではないでしょうか。
幼児期の子どもは、大人では考えられないほどの「丸暗記力」を発揮します。これは一時的な偶然ではなく、科学的にも裏付けられた「幼児特有の記憶力」です。では、この特別な時期にどんな教育をしておくべきなのでしょうか。本記事では、子どもがなぜ丸暗記に強いのか、その研究データ、さらに記憶力が最も発達する時期に親が意識すべき教育方法についてわかりやすく解説します。
子どもはなぜ丸暗記が得意なのか?
幼児特有の脳の柔軟性
子どもの脳は「可塑性(かそせい)」が非常に高く、新しい情報をそのまま吸収しやすい状態にあります。例えば言葉を聞いたまま真似する「エコラリア(反響言語)」も、記憶力の高さを示す特徴の一つです。大人は理解や文脈を意識して覚えますが、子どもは意味が完全にわからなくても音やリズムをそのまま保存する力を持っています。
ちなみに、私自身は本当に丸暗記が苦手です。「平家物語」の丸暗記もとても苦労しました。英単語を覚えることも苦手でした。ですので、私は大学受験の時にはひたすら過去問の英語の長文を読むということを繰り返し、分からない単語は単語帳にどんどん記入していくという方法を取りました。つまり、あの「○○大学のあのテーマのあの場面に出てきた単語」という「意味づけ」をしていき何とか英単語を覚えることができました。今でも意味が通じないと、全く覚えられません。
しかし、子どもは、この「文脈からの理解」ではなく、まさに意味も分からず、どんどんと丸暗記していきます。
※子どもの「脳の可塑性」については今までも出てきますし、今後も幼児教育において重要な言葉ですので、頭の片隅に置いていただければと思います。
実際のエピソード
- アニメのセリフを一字一句間違えずに言える
- 英語の歌を聞き流しただけでスラスラ歌える
- 九九をリズムで覚えられる
これらはすべて「丸暗記が得意」という証拠であり、成長段階ならではの力です。
研究が示す「幼児の記憶力」の凄さ
言語習得のスピード
アメリカの心理学者エリック・レネバーグは「臨界期仮説」を提唱しました。これは言語習得には決まった時期(おおよそ12歳まで)があるという理論で、特に未就学期は語彙の吸収スピードが大人の数倍と言われています。
☆ただし、幼少期の本格的な「英語教育」、正確には日本語(普段使用している言葉)のほかの「母国語以外の第2言語の習得」については慎重にすべきと思っています。
臨界期仮説は「幼児期の音声習得に有利」ということを示しますが、それを「本格的な英語教育を幼児期から行うべきだ」とイコールで結びつけるのは早計です。
幼児期は母語の土台を固めつつ、英語は「歌や遊びを楽しむ感覚」で取り入れるのが安心で、教育心理学的にも推奨されています。
私もこの幼児期の英語教育に関しては、自分なりの意見をそれなりに持っていまのでまたあらためてお伝えしようと思っています。
臨界期仮説の基本的な定義、歴史、支持・反証の議論などがまとまっています。
(Critical Period Hypothesis – Wikipedia)
短期記憶と長期記憶
研究によれば、3〜6歳の子どもは短期的な暗記力が非常に高く、繰り返しやイメージと結びつけることで長期記憶へ移行しやすいとされています。
丸暗記だけでは不十分?「理解」との組み合わせが大切
丸暗記の落とし穴
子どもは音や形を覚えるのは得意ですが、意味を理解していないと応用ができないという弱点もあります。九九を暗記しても、実際の算数の文章題になると使えないケースがこれにあたります。
効果的なステップ
- まずは楽しく丸暗記(歌やリズム、絵本の暗唱)
- 意味を説明する(「3×2は2が3つあることだよ」など)
- 応用につなげる(実際にリンゴやおもちゃを使って計算)
この流れで、暗記した知識を「使える知識」へ変換できます。
私自身「暗記」は苦手ですが、まずは暗記や詰め込み教育から入るという学習手段はそれなりの有効性があるものと思っています。
幼児特有の記憶力がある時期にしておきたい教育
① 歌やリズムを取り入れる
子どもはリズムや韻を持つ情報を特に覚えやすいです。九九、英語の単語、季節の行事も歌や手遊びで覚えると定着します。
② 絵本の暗唱・読み聞かせ
同じ絵本を繰り返し読むと、セリフを覚えたり、自分で声に出したりします。これは言語能力+記憶力+表現力を育てる一石三鳥の方法です。
③ 外国語のインプット
英語や第二言語の習得は、臨界期を意識すると未就学期が理想です。丸暗記の得意な時期に「音のシャワー」を浴びせることで、発音やリズムを自然に身につけます。ただし、前述しましたが「慣れ親しむ」程度のものにするべきかと思います。
ただし、普段家庭や周囲で使用している言語が日本語以外の言語であるならば、本格的な教育も行ってよいかと思います。
④ 身近な生活習慣やルールの暗記
- 「いただきます・ごちそうさま」
- 「手を洗う → 食事 → 歯磨き」
こうした生活の流れも、歌や絵で覚えさせると習慣化につながります。
親ができるサポートとベビーシッターの役割
家庭でできる工夫
- 毎日の生活に「暗記遊び」を取り入れる
- ただ覚えさせるだけでなく、「これってどういうこと?」と問いかける
- 絵や体験とつなげて記憶を補強する
教育型ベビーシッターのサポート
リコポのベビーシッターサービスでは、ただ遊ぶだけでなく、幼児の記憶力を伸ばす教育的なプログラムを取り入れています。例えば:
- 歌や手遊びを通じた暗記力の育成
- 外国語や数字を自然に覚える遊び
- 個々の子どもの発達段階に合わせた「最近接領域(ZPD)」を意識した支援
☆子どもに「こういうことができるようになってほしい」という想いを私たちに伝えてください。幼児教育の専門アドバイザーがアドバイスし、教育プランに反映させていきます。
親御さんが気づきにくい部分も専門家がサポートし、暗記力を「生きる力」へと発展させます。
幼児教育重視のベビーシッター 子育て・教育相談も重視します
幼児特有の記憶力は、短い時間しか訪れない“黄金期”。この時期にどのような教育体験を積ませるかが、将来の学びの土台になります。

Q&A(まとめ)
Q1. 子どもの丸暗記力はいつまで続くのですか?
A. 幼児期から小学校低学年ごろまでは特に丸暗記が得意とされます。これは脳の柔軟性(神経可塑性)が高いためで、音や映像をそのまま記憶できます。ただし成長とともに「理解を伴う学習」へシフトするため、丸暗記力がそのまま持続するわけではありません。小学校高学年以降は、論理や関連づけを使った学びが重要になります。
Q2. 丸暗記は教育的に意味があるのですか?
A. はい、意味があります。ただし「暗記だけ」では不十分です。例えば九九や英単語を覚えるとき、最初はリズムや歌で丸暗記しても良いのですが、その後に「意味」や「実生活との関連」を示してあげることが大切です。暗記は学習の入口であり、そこから応用へ導くことで知識が「使える力」になります。
Q3. 家庭でできる丸暗記を活かした教育方法はありますか?
A. あります。
- 絵本を繰り返し読み聞かせてセリフを覚えさせる
- 歌や手遊びを使って数字や英語を覚える
- 日常のルーティン(歯磨き、片付けなど)を「順番遊び」として暗記させる
こうした工夫は、子どもの「暗記力」を土台にしながら、生活習慣や学習スキルの定着にもつながります。