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「記憶方略」——覚える力は、工夫する力から生まれる

「記憶方略」——覚える力は、工夫する力から生まれる

「うちの子、なかなか覚えられなくて…」
そう感じたことのある親御さんは多いのではないでしょうか。

まずは皆さんのことを思い出してください。何かを覚える時にどうされていましたか。
ただひたすらに文字を追っていた方、語呂合わせで覚える、絵をイメージして覚えるなど記憶力にのみ頼るのではなく「記憶方法」を考えることによって覚えていた方も多いのではないでしょうか。これは子どもも一緒です。

実は、“記憶力”は生まれつきの才能だけではありません。
幼児期に「どんなふうに覚えるか」という“方法”=「記憶方略(きおくほうりゃく)」を身につけることで、驚くほど伸びていきます。

この「記憶方略」は、単なる暗記術ではなく、思考力・理解力・そしてメタ認知(自分で自分の学びを振り返る力)とも深く結びついた、学びの根幹となる能力です。
今回は、幼児期に身につけておきたい「記憶方略」の基礎と、その育て方について分かりやすく解説します。


記憶方略とは——「覚える工夫をする力」

● 記憶の「技術」を使うこと

「記憶方略」とは、覚えたい情報をより確実に記憶し、必要なときに思い出せるようにするための工夫や方法を指します。
単に「繰り返す」だけではなく、覚える内容を関連づけたり、意味づけたりすることが特徴です。

子どもが“自然に覚える”段階から、“意図的に覚える”段階へ進むのが、この方略が育っている証。
つまり、「勉強の仕方を自分で作れるようになる」始まりが、この記憶方略なのです。

脳と記憶はどのように一緒に成長するのか
 脳と記憶の発達が幼児期にどのように相互作用していくかを、わかりやすく解説してくれています。


幼児期に飛躍的に伸びる理由

幼児期は脳の可塑性が非常に高く、「覚える」だけでなく「覚え方を発見する力」も発達していきます。
特に4〜6歳頃になると、

  • 言葉で考える力(内的言語)
  • 自分の思考を意識する力(メタ認知)
  • 因果関係を理解する力が急速に伸びます。

この時期に、「どうすれば覚えやすいか」を意識的・遊び的に体験することで、将来の学習力の土台が作られます。
反対に、やり方を教えられず“丸暗記”だけに偏ってしまうと、思考の幅が狭まり、学ぶこと自体を楽しめなくなることもあります。


メタ認知との関係——「自分の覚え方」を知る力

「メタ認知」とは、自分の考え方や学び方を自分で理解する力。
例えば、「この歌はメロディで覚えると早い」「この言葉は絵を思い浮かべると覚えやすい」など、自分の頭の中を“客観視”できることを意味します。

記憶方略とメタ認知は、車の両輪のような関係です。
メタ認知が高い子どもほど、「どうすれば覚えられるか」を自分で選び、より効率的な方略を使うようになります。

その結果、勉強が“受け身”から“自分で進めるもの”へと変化していきます。
リコポ幼児教育が重視しているのも、この「学びを自分のものにしていくプロセス」です。

※メタ認知に関してはこちらも参考にしてください。詳しく書いています。
 子どもの未来を変える「メタ認知」とは?幼児期から育む最強の学習力


記憶方略の主な3つのタイプ

(1)リハーサル方略(繰り返しによる記憶)

いちばん基本的な方法が「繰り返し」です。
たとえば:

  • 言葉を声に出して何度も言う
  • 歌やリズムに乗せて覚える
  • 絵本のセリフをまねして読む

これは、ワーキングメモリ(短期記憶)から長期記憶へ移す最初のステップです。
単なる反復に見えますが、声に出す・動きをつけるなど、身体を使うことで定着率が上がります。

※ワーキングメモリの記事に関してはこちらをどうぞ!
 【子どもの記憶の土台】学習に不可欠なワーキングメモリ


(2)体制化方略(グループに分けて整理する)

次に登場するのが「体制化方略」。
情報を意味のあるグループに整理して覚える方法です。

たとえば:

  • 果物:りんご・みかん・ぶどう
  • 動物:ぞう・ライオン・うさぎ

分類やグルーピングを行うことで、関連づけて記憶が整理され、思い出しやすくなります。
「なんとなく全部バラバラ」ではなく、「仲間分けする」ことを体験させるのがポイントです。


(3)精緻化方略(意味づけ・関連づけ)

最も高度な記憶方略が「精緻化方略」です。
新しい情報と、すでに知っていることを関連づけて覚える方法です。

たとえば:

  • 「ぶどうの“ぶ”は“ぶらさがってる”の“ぶ”」
  • 「月が出てるときにオオカミが“遠吠え”するんだね」

このように「意味をつなげて覚える」ことで、記憶は長期的に保持されやすくなります。
物語・感情・経験と関連づけると、子どもにとってよりリアルで楽しい記憶になります。

※精緻化についてはこちらをどうぞ!
 子どもの力を伸ばすカギ「精緻化」とは?幼児教育との関係

幼児教育と精緻化

記憶方略を身につけるためにできること

● 遊びの中に“覚え方の工夫”を取り入れる

幼児期の子どもにとって、「学び」は“遊び”の延長にあります。
たとえば:

  • 歌やリズムで覚える(リハーサル)
  • 分類カードで仲間分けゲーム(体制化)
  • 絵本の物語と自分の体験をつなげる(精緻化)

こうした活動を通じて、自然に方略を体験しながら「自分なりの覚え方」を発見していきます。


私たちができること——教育プランへの応用

リコポ幼児教育では、記憶方略を単なる“記憶テクニック”としてではなく、
「思考のプロセス」そのものとして育てる教育を行っています。

子どもがどの段階の方略を使えるか(リハーサル → 体制化 → 精緻化)を見極め、
その発達段階に応じて、遊び・会話・教材を組み合わせた教育プランを設計します。

たとえば:

  • まだ繰り返しで覚える段階の子には、音とリズム中心の遊び
  • 分類が得意になってきた子には、図鑑やカードを活用した“仲間探し”
  • 意味づけができる子には、物語づくりやイメージ連想

このように、経験と専門的な教育理論両方に基づいた個別教育で、
「記憶=理解+表現+発想」へと発展させていきます。

覚えるという行為の裏には、必ず「考える力」が存在します。
そして、“どう覚えるか”を工夫できる子は、“どう考えるか”も工夫できる子です。

幼児期に記憶方略を身につけることは、
「暗記が得意になる」以上に、「学びを楽しむ土台をつくる」こと。
それこそが、将来の学習意欲や自己成長力につながります。


今日のおさらいQ&A3問

Q1. 記憶方略とは何ですか?

A.覚えたいことをより確実に覚えるための「工夫や方法」のことです。繰り返し、分類、意味づけなど、思考の技術が含まれます。

Q2. 幼児期にどんな方略が身につきますか?

A.まずリハーサル(繰り返し)、次に体制化(整理)、そして精緻化(関連づけ)へと発達します。遊びの中で自然に体験できます。

Q3. 親はどんなサポートができますか?

A.「どうしたら覚えやすい?」「どれと似てるかな?」など、問いかけで子どもの思考を深め、記憶方略を支えることができます。



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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)
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