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赤ちゃんの指さしは何を伝えている?共同注意と3つの指さし

赤ちゃんの指さしは何を伝えている?共同注意と3つの指さし

赤ちゃんは、はじめのうちは大人の視線や指さしを追いながら、同じものを見る経験を重ねていきます。やがて今度は、自分から指をさして「これを見て」「これが欲しい」と相手に伝えるようになります。指さしは、まだ十分に言葉を話せない赤ちゃんにとって、大切なコミュニケーションの手段です。今回は、共同注意の中でも、赤ちゃんが自分から行う指さしについて見ていきます。

※前回の記事です。子どもの共同注意とは?同じものを見る力と学びの始まり

目次

  1. 受け手から出し手へ発達する共同注意
  2. 指さしは言葉より少し前に始まる
  3. 欲しい気持ちを伝える「要求の指さし」
  4. 発見や感動を分け合う「共感の指さし」
  5. 質問に答える「応答の指さし」
  6. 指さしに大人はどう応えればよい?
  7. まとめ

1. 受け手から出し手へ発達する共同注意

共同注意とは、子どもと大人が同じものに注意を向けることです。

前回の記事では、赤ちゃんが大人の視線や顔の向きを追い、相手が見ているものを探す力について紹介しました。

これは、相手から向けられた注意に応じる、いわば「受け手としての共同注意」です。

発達が進むと、子どもは相手の視線を追うだけではなく、自分から大人の注意を引こうとするようになります。

気になるものを指さす。
大人の顔を見る。
もう一度、指さしたものを見る。

このように、子どもが「一緒に見よう」と働きかけるのが、出し手としての共同注意です。

一般的には、大人の視線や指さしに応じる力が先に見られ、その後、自分から相手の注意を導く行動が増えていきます。

※参考(PMC)Different Ways of Making a Point


2. 指さしは言葉より少し前に始まる

赤ちゃんが自分から指さしを始めるのは、多くの場合、初めて意味のある言葉を話し始める少し前から同じ頃です。

まだ「取って」「見て」「あそこへ行きたい」と言葉で伝えられない時期でも、指さしを使えば気持ちを相手に届けられます。

つまり指さしは、言葉が育つまでの単なる代用品ではありません。

「自分が見ているものを相手にも見てもらいたい」
「自分の気持ちを相手に伝えたい」
「相手の質問に答えたい」

このような、人と関わろうとする気持ちが表れた行動です。

ただし、指さしを始める時期や、どの種類の指さしが先に多くなるかには個人差があります。月齢だけで一律に判断する必要はありません。

三項関係と共同注意

3. 欲しい気持ちを伝える「要求の指さし」

要求の指さしとは、欲しいものやしてほしいことを相手に伝えるための指さしです。

たとえば、手の届かない棚におもちゃがあるとき、赤ちゃんがおもちゃを指さして大人の顔を見ることがあります。

これは、

「これを取ってほしい」
「あのおもちゃで遊びたい」

という要求を伝えていると考えられます。

ほかにも、次のような例があります。

・冷蔵庫を指さして、飲み物が欲しいと伝える
・玄関を指さして、外へ行きたいと伝える
・抱っこしてほしい相手を指さす
・好きな食べ物を指さして、もっと欲しいと伝える

要求の指さしでは、目的は主に「自分の希望をかなえてもらうこと」です。

大人は、できる範囲で要求に応えながら、

「ボールが欲しいんだね」
「お外へ行きたいのかな」
「もう一つ食べたいんだね」

と、子どもの気持ちを言葉にしてあげるとよいでしょう。

指さしとことばが結びつき、少しずつ言葉で伝える準備につながります。


4. 発見や感動を分け合う「共感の指さし」

共感の指さしとは、子どもが見つけたものや感じたことを、相手にも知らせて共有しようとする指さしです。

研究では「叙述の指さし」と呼ばれることもあります。

散歩中に犬を見つけた子どもが、犬を指さしてから保護者の顔を見る。

このとき、子どもは犬を取ってほしいわけではありません。

「わんわんがいるよ」
「見て、面白いよ」
「一緒に見よう」

という気持ちを伝えようとしています。

ほかにも、次のような例があります。

・空を飛ぶ飛行機を指さす
・きれいな花を見つけて指さす
・大きな車を見て、声を出しながら指さす
・絵本の好きな絵を指さし、大人の顔を見る

共感の指さしの大切なところは、ものそのものよりも、子どもが「この発見を誰かと分け合いたい」と感じていることです。

大人は、

「本当だ、飛行機だね」
「大きなわんわんがいるね」
「きれいなお花を見つけたね」

と、子どもの発見に一緒に驚いたり喜んだりしてみましょう。

正しい名前を教えることだけでなく、「一緒に見ている」という気持ちを返すことが大切です。


5. 質問に答える「応答の指さし」

応答の指さしとは、大人からの問いかけに対して、指さしで答えることです。

たとえば、絵本を見ながら大人が、

「わんわんはどこかな?」

と聞いたとき、子どもが犬の絵を指さします。

これは、質問の意味を理解し、自分の答えを相手に伝えている指さしです。

ほかにも、次のような例があります。

・「りんごはどれ?」と聞かれて、りんごの絵を指さす
・「どっちが欲しい?」と聞かれて、好きな方を指さす
・「お父さんはどこ?」と聞かれて、お父さんを指さす
・「お鼻はどこ?」と聞かれて、自分や人形の鼻を指さす

応答の指さしには、ことばを聞く力、意味を理解する力、対象を見つける力、相手に答える力が関わっています。

そのため、言葉を話す前でも、子どもがどのくらい言葉を理解しているかが表れることがあります。

ただし、知らない絵を見せられたり、慣れない場所で質問されたりすると、普段できる子どもでも答えないことがあります。

クイズのように何度も試すのではなく、日常の遊びや絵本の中で楽しむことが大切です。


6. 指さしに大人はどう応えればよい?

子どもが指さしたときは、まずその方向を一緒に見てみましょう。

そして、

「これが欲しいんだね」
「面白いものを見つけたね」
「そうだね、わんわんだね」

と、指さしに込められた気持ちを受け止めます。

子どもが何を伝えようとしているのか分からない場合もあります。

そのようなときは、

「これかな?」
「あっちへ行きたいのかな?」

と確認しながら、一緒に考えて大丈夫です。

毎回、正解を言い当てる必要はありません。大人が自分の指さしに気づき、理解しようとしてくれる経験そのものが、子どもの「もっと伝えたい」という気持ちにつながります。

また、大人も生活の中で自然に指さしを使えます。

「あそこに鳥がいるね」
「この絵を見てみよう」
「お月さまが出ているね」

このようなやり取りを重ねることで、指さしは単なる手の動きから、相手と気持ちや情報を共有する手段へと育っていきます。


7. まとめ

共同注意は、大人が示したものを子どもが見るだけではありません。

子ども自身も、指さしによって相手の注意を導くようになります。

要求の指さしでは、自分の希望を伝えます。
共感の指さしでは、発見や感動を分かち合います。
応答の指さしでは、相手の質問に答えます。

同じ指さしでも、その中に込められた気持ちや目的は異なります。

子どもが指をさしたときは、指先だけではなく、その前後の表情や視線、大人の顔を見ているかにも注目してみましょう。

赤ちゃんの指さしは、まだ言葉になっていない「伝えたい」という思いです。

大人がその思いを受け止め、同じものを見て言葉を添えることが、ことばや人との関わりを育てる大切な経験になります。


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