日本の就園率はどのくらい?数字から見る幼児教育の現在
日本では、子どもが3歳頃になると、
「幼稚園に入れるか」
「保育園を続けるか」
「認定こども園を選ぶか」
など、就学前の過ごし方を考えるご家庭が多くなります。
では、日本では実際にどのくらいの子どもが幼稚園や保育所、認定こども園などに通っているのでしょうか。
今回は「就園率」という数字から、日本の幼児教育の現在を見ていきます。
就園率とは?
就園率とは、簡単にいえば、一定の年齢の子どものうち、幼稚園などの施設に通っている子どもがどの程度いるかを示す割合です。
ただし、ここで一つ注意があります。
「就園率」という言葉は、どの施設を対象にするかによって数字が変わります。
文部科学省の学校基本調査などで使われる「幼稚園就園率」は、基本的に幼稚園を修了した子どもを対象にした数字です。
一方、現在の日本では、幼稚園だけでなく、
- 保育所
- 認定こども園
- その他の幼児教育・保育施設
を利用する子どもも非常に多くいます。
そのため、「幼稚園就園率が低い=園に通っていない子どもが多い」という意味ではありません。
ここを混同しないことが大切です。
日本で使われる「幼稚園就園率」の算出方法
東京都の学校基本統計では、幼稚園就園率を、
その年の3月に幼稚園を修了した子どもの数
÷
その年の5月1日時点の小学校等1年生の児童数
×100
という方法で算出しています。
令和6年度以降は、分母に小学校、義務教育学校に加えて、特別支援学校小学部の1年生も含めて算出されています。
つまり、「現在の5歳児のうち何%が幼稚園に通っているか」を直接計算した数字とは少し違います。
日本の幼稚園就園率は約31%
最新の令和7年度(2025年度)の学校基本統計では、全国の幼稚園就園率は31.1%です。
東京都は37.9%で、全国より6.8ポイント高くなっています。
数字だけを見ると、
「日本では3割程度しか園に通っていないの?」
と思うかもしれません。
しかし、そうではありません。
この31.1%という数字に含まれているのは、基本的に「幼稚園を修了した子ども」です。
現在は保育所や認定こども園を利用する家庭が増えているため、幼稚園だけを対象とした就園率は長期的に低下しています。
実際、東京都の幼稚園就園率も令和6年度の40.3%から令和7年度には37.9%となっていますが、これは「幼児教育を受ける子どもが急減した」という意味ではありません。
東京は全国より幼稚園の利用割合が高い
令和7年度では、
全国 31.1%
東京都 37.9%
となっています。
東京都は全国平均より幼稚園を修了する子どもの割合が高い状況です。
ただし、東京にも保育所、認定こども園、東京都独自の認証保育所など、さまざまな施設があります。
したがって、37.9%という数字も、東京の子ども全体の「幼児教育・保育への参加率」を表しているわけではありません。
※参考(東京都統計ポータルサイト)学 校 基 本 統 計 (学校基本調査報告) 令和7年度 東京都
保育所なども含めると、日本の参加率は非常に高い
では、幼稚園だけでなく、より広く幼児教育を受けている子どもを見るとどうでしょうか。
OECD(経済協力開発機構)の「Education at a Glance 2025」では、2023年の日本の3~5歳児の幼児教育(ECE)への在籍率は95.9%となっています。
OECD加盟国など42か国中7位という高い水準です。
さらに、
4歳児は98.0%
5歳児は98.9%
が幼児教育などに参加しています。
つまり、日本では3歳を過ぎると、ほとんどの子どもが何らかの形で幼児教育を受けていると考えることができます。
※参考(OECD・教育GPS)日本・教育制度の概要
世界と比べても日本の就園状況は高い
OECDによると、2023年のOECD平均では、3~5歳児の幼児教育への在籍率は**85%**でした。
それに対して日本は95.9%です。
日本は世界的に見ても、幼児教育への参加率が高い国の一つといえます。
特に4~5歳では、ほぼすべての子どもが幼児教育・保育につながっている状態です。
ただし、OECDの数字と日本の「幼稚園就園率」は算出方法も対象施設も異なるため、31.1%と95.9%をそのまま比較することはできません。
31.1%=幼稚園を修了した割合
95.9%=幼稚園以外も含めた3~5歳児の幼児教育への参加割合
と考えると分かりやすいでしょう。
国も幼児教育を非常に重要な時期と考えている
日本では幼稚園や保育所への就園そのものは義務教育ではありません。
しかし、国は幼児期の教育を非常に重要なものとして位置づけています。
教育基本法第11条では、幼児期の教育について、「生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なもの」として、国や地方公共団体がその振興に努めることを定めています。
現在の文部科学省も、幼稚園・保育所・認定こども園といった施設の種類を問わず、幼児教育の質を高めることを進めています。
さらに2019年10月からは、原則として3~5歳の幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料が無償化されました。
「どの施設に通うか」だけではなく、できるだけ多くの子どもが質の高い幼児教育・保育を受けられる環境を整える方向へ進んでいるといえます。
就園率の数字が意味するもの
就園率を見る意味は、単に「何人の子どもが園に通っているか」を知るだけではありません。
幼児期は、人との関わり、ことば、身体の使い方、感情の調整、遊びを通した思考など、その後の学習や生活につながるさまざまな力が育つ時期です。
園では、家庭とは異なる環境の中で、
友達と遊ぶ。
順番を待つ。
自分の気持ちを伝える。
人の話を聞く。
自然や制作、音楽などさまざまなものに触れる。
といった多くの経験をします。
その意味で、多くの子どもが幼児期に教育や保育へつながっていることには、大きな意味があります。
一方で、就園率が高ければ、それだけで幼児教育が充実しているとは限りません。
大切なのは、
「園に通っているか」
だけではなく、
「そこでどのような経験をしているか」
「一人ひとりの発達に合った環境が用意されているか」
「子どもが安心して遊び、学べているか」
という教育・保育の「質」です。
日本の3~5歳児の幼児教育への参加率は、国際的に見ても非常に高い水準にあります。
だからこそ、これからは「何%が通っているのか」だけではなく、子どもたちがそこでどのような幼児期を過ごしているのかにも目を向けていくことが、より重要なのではないでしょうか。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)