「子どもの努力をほめる」その一言が未来を変える

前回の続き、補足になります。子どもが何かをやり遂げたとき、あなたはどんな言葉をかけていますか?「頭がいいね」と褒めると、最初は嬉しそうでも、やがて失敗を恐れ挑戦を避けるようになることが研究で示されています。一方で「よく頑張ったね」「ここまで続けられてすごい!」という声かけは、子どもの挑戦心を支え、学び続ける力につながります。本記事では、私たちリコポ幼児教育が大切にしている「努力やプロセスをほめる」という視点について、実際のエピソードを交えながらお伝えします。
なぜ「才能を褒める」だけでは危険なのか
子どもを縛る“頭がいいね”の言葉
才能や頭の良さをほめると、子どもは「そのイメージを壊したくない」と思うようになります。失敗を恐れ、挑戦を避けるようになり、学習意欲の低下につながることも。スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエック博士の研究(いわゆる「マインドセット理論」)でも、能力をほめられた子どもより、努力をほめられた子どもの方が挑戦を続ける傾向があることが示されています。
米コロンビア大学の研究でも、能力(頭がいいね)をほめられた子どもは、失敗後に挑戦を避け、動機づけや成績が悪化したことが明らかにされました。一方で、努力をほめられた子は粘り強く取り組み続けたという結果が出ています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9686450/
やみくもにほめるのは逆効果
達成感の伴わない「なんでもかんでもほめ」は、子どもにとって意味が薄く、逆に基準を下げてしまいます。
- 「すごいね!」の連発 → 努力せずに承認欲求だけ高まる
- 本人も「どうせまた褒められる」と感じ、モチベーションが下がる
自然な承認は必要ですが、子どもの自己肯定感は「努力や工夫が評価される」ことで育ちます。
努力やプロセスをほめる実践例
「よく気づいたね!」「ここまで続けられたのがすごい!」
努力をほめるときの具体例:
- 「宿題を毎日忘れずに続けているね」
- 「わからない問題を最後まで考えていたね」
- 「昨日より字が丁寧になってきたよ」
こうした声かけは、成果そのものより「挑戦の過程」に光を当てます。
私の後悔 ― 挫折した小学生のケース
私もいろいろな子どもたちと関わってきたましたが、どんな子でも壁にぶち当たります。失敗のしない子どもはいません。子どもだけでなく、大人も挑戦を続ける限り、必ず失敗もします。
重要なのはそれでも続けられることと、失敗から学ぶことができることです。
受験塾で指導していた時の小6の受験を控えた生徒の話です。
難関中学合格が当たり前と言われた男の子は、6年生の夏前に急に失速し、結局秋が始まる頃、塾に来なくなりました。
周囲が彼に対して期待をし過ぎ、本人も優等生の姿を維持し続けることに疲れたのだと思います。もっと別の評価の仕方、彼への見方があったように思います。本当に私のメンタルケア、能力不足でした。
この生徒に私はどういうべきだったのでしょう。私を含めた周囲は、疲れていた彼に大体こんなかんじのことを言いました。
「あと申し少し頑張れば難関校に合格できる。君には実力がある。算数、国語、理科、社会とも、模試ではすでに合格点に到達し、いい判定ももらっている。みんな君のことをすごいと思っている。きっと大丈夫だ」と言いました。正直よく聞くアドバイスだとも思えます。
しかし、いま思うと私はこう言うべきだったのかもしれません。
「なかなか自分の力が出せなくて今はつらいと思う。でも、君は算数、国語、理科、社会を通して、いろいろ学んでいた。算数、社会でもよく質問に来ていた。よくこんなことに気づくな、よくこんなこと知っているなといつも感心していた。君が日々何時間も勉強し続けていることは本当にすごいことなんだ。そんな君の姿をお父さん、お母さん、先生方も誇りに思っているよ」
すでにとてつもない努力をしてる彼をしっかり肯定し、ちゃんと見て、評価していることをしっかり伝えなければならなかったのではと今では思います。
もちろん、これだけでよくなるとは限りませんし、そんな簡単ではないかもしれません。
しかし、一つの言動が子どもたちを傷つけてしまうように、褒め方一つをしっかり意識することで、子どもは変わっていく可能性も秘めていると思います。
失敗を怖がらない、才能を過信しない、努力する大切さを知る、失敗から学べる。そんな思考を育むことができる「学びのプロセスを大事にする」褒め方を、幼少の頃から周囲の大人が意識しておくことは重要と私は思っています。
そして、私は働く先生方にこの「学びのプロセスを大事にする」褒め方を子どもと接するとき常に意識してほしいと思っています。
まとめ プロセスを褒めて挑戦心を育てよう
子どもは失敗から学び、挑戦を続ける中で力をつけます。
- 才能ではなく努力をほめる
- 成果ではなくプロセスを認める
- 大人も一緒に成長を楽しむ
リコポ幼児教育は、この「学びのプロセスをほめる」姿勢を大切にし、親御さんとともにお子さんの成長をサポートしていきます。
