「アタッチメント(愛着)」について—子どもの“心の土台”になる力
以前も触れた言葉ですが、私もいろいろと勉強している中で、とても大事なことと感じていますので、改めて、まとめて伝えていきます。
※以前の記事です。
教育におけるアタッチメントとは? 大切にしたい心の安全基地
子どもが「困ったときに戻ってくる場所」とはどこか。
泣いたとき、怖いとき、初めての場所で不安なとき——
お子さまが自然と向かう先こそ、アタッチメント(愛着)の対象です。
アタッチメントは、単に「ママ・パパが好き」という感情ではなく、
人が生まれながらに必要とする「心理的な安全基地」です。
この安全基地がしっかりと作られると、子どもは安心して世界に踏み出し、挑戦し、失敗し、また戻ってきて、再び育っていきます。
本記事では、アタッチメントの基本から歴史、重要性、そしてご家庭でできる関わり方まで、分かりやすく丁寧に解説します。
アタッチメントとは——「安心できる人」に向かう本能的な働き
アタッチメント(Attachment)は、
子どもが特定の養育者に向ける心理的な結びつき
のことを指します。
もっと具体的に言うと、
- 不安なときに戻ってくる
- 保護者が見えていると安心する
- 離れると泣くが、戻ると安心する
といった行動を示す対象です。
赤ちゃんは言葉を話せませんが、抱きつく、泣く、しがみつくなどの行動で「この人に守ってほしい」というサインを送ります。これは甘えではなく、生存に必要な本能です。
さらにアタッチメントは、子どもが将来どんな人間関係を築けるか、どんな自己肯定感をもてるか、学びにどう向かうかまで影響するとされており、幼児教育において極めて重要な基礎です。
アタッチメントの歴史——ボウルビィとエインズワースによる理論の確立
アタッチメント理論は、精神科医ジョン・ボウルビィが体系化したものです。
●ボウルビィの研究
第二次世界大戦後、施設で育つ子どもや、親から離れて暮らさざるを得なかった子どもたちと関わる中で、ボウルビィはある共通点に気づきました。
- 情緒が不安定
- 集中力が低い
- 他者へ心を開きにくい
これらの特徴は、単なる性格ではなく、
大人との安定した情緒的つながりの欠如から生じると結論づけました。
彼は「子どもは、親や養育者との情緒的な関係によって発達が左右される」と主張し、この考えは世界の教育・保育に大きな影響を与えます。
●エインズワースによる分類(ストレンジ・シチュエーション法)
メアリー・エインズワースは、ボウルビィの理論を実験的に検証し、
- 安定型
- 回避型
- アンビバレント型
- 無秩序型
という4つの愛着のスタイルを明らかにしました。
この研究によって、
「アタッチメントは、子どもの気質と、日々の養育者の関わり方によって形づくられる」
という重要な事実が示されます。
アタッチメントはなぜ重要か——“心の健康”と“人生の土台”をつくるから
アタッチメントが育つと、子どもの発達に次のような効果が生まれることが分かっています。
●(1)情緒の安定につながる
子どもは不安や恐怖を感じたとき、安心できる大人の存在を必要とします。
「助けてくれる大人がいる」という確信が、子どもの心を落ち着かせます。
●(2)挑戦する力を支える
十分に甘えられた子ほど、外の世界に向かって挑戦しやすくなります。
心理学ではこれを「安全基地」効果と呼びます。
●(3)他者への信頼・思いやりが育つ
大切に扱われた経験は、子どもの中に
「他者も大切に扱っていいんだ」という感覚を育てます。
●(4)学習意欲・非認知能力に影響
安心できる環境があることで、集中力や探究心といった非認知能力が伸びやすくなります。
アタッチメントは学習と無関係ではなく、むしろ学びの前提条件です。
思春期の子育てにおける愛着理論(PMC)
※青年期母親とその子どもにおけるアタッチメント環境に注目したレビュー
アタッチメントが特に必要な時期——0〜3歳がもっとも重要
アタッチメントは生涯にわたり影響しますが、形成そのものは0〜3歳の期間が中心です。
●生後〜1歳
抱かれる、あやされる、不快を取り除いてもらうなどの体験から、
「この人は自分を守ってくれる」という感覚が積み重なります。
●1〜2歳:分離不安が強くなる時期
保護者と離れると泣いたり、強く求めたりする時期です。
これは戦略ではなく、本能です。
●2〜3歳:自己主張が強まる時期
イヤイヤ期とも重なりますが、ここでも“戻れる安心”が必要です。
自立は、安心があるからできるものです。
アタッチメントが不足したときに生じる弊害
アタッチメントが不十分な場合、次のような特徴がみられやすいと研究で報告されています。
- 不安が強い・情緒が不安定になりやすい
- 新しい環境に慣れるまで時間がかかる
- 挑戦する意欲が育ちにくい
- 他者を信じづらい(過度に依存、または過度に距離を置く)
- 集中力の不足や学習意欲の低下につながることもある
ただし、これらの特徴が“完全にアタッチメントが形成されないから起こる”という意味ではありません。
重要なのは、日々の関わりで補い、整えていけるということです。

アタッチメントを安定的にするために——家庭でできること
アタッチメントは、特別な教育法よりも、
「日常の関わりの中で育つ“安心体験の連続」です。
以下は、幼児教育の現場や研究で重視されている関わり方です。
●(1)子どもの感情に丁寧に応える
泣いた、困った、不安そう——
そのサインを見逃さず、声をかけたり抱きしめたりすることが重要です。
●(2)養育者の態度に一貫性をもつ
毎日態度が変わると、子どもは安心感を持ちづらくなります。
「いつものあなた」でいることが、愛着の安定につながります。
●(3)スキンシップとアイコンタクト
抱っこ、手をつなぐ、見つめあう、優しい声で話す——
これらは脳の安心システムを発達させる強い働きを持ちます。
●(4)子どものペースや感情を尊重する
急かしたり、否定が続くと、子どもは安心より“評価の基準”で動くようになります。
まずは子どもの感じていることを受け止める姿勢が大切です。
●(5)家庭以外の「安全基地」も活用する
アタッチメントは“ひとりだけ”が対象とは限りません。
信頼できる保育者やベビーシッターとの関係も、
子どもの情緒の安定や社会性の発達を大きく支えます。
今日のおさらいQ&A3問
Q1. アタッチメントとは何ですか?
→アタッチメントとは、子どもが特定の大人に抱く「安心の拠り所」となる心理的な結びつきのことです。甘えや依存ではなく、子どもが安心して世界に踏み出すための“安全基地”として働きます。
Q2. アタッチメントが特に必要な時期はいつですか?
→もっとも重要なのは0〜3歳です。この時期に抱っこ、スキンシップ、丁寧な応答を通して「安心できる大人がいる」という感覚を積み重ねることで、情緒の安定や挑戦する気持ちが育ちやすくなります。
Q3. アタッチメントを安定させるために家庭でできることは?
→子どもの感情に丁寧に応える、一貫した態度で接する、スキンシップや穏やかな声かけを増やす、子どものペースを尊重することが大切です。また、信頼できる保育者やベビーシッターも「安心できる第三の大人」として大きな役割を果たせます。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)