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「不登校は親が悪い」富士宮市長の発言を考える

「不登校は親が悪い」富士宮市長の発言を考える

静岡県富士宮市の須藤秀忠 市長は12月2日、市議会本会議で児童・生徒の不登校問題について「親が悪い。学校へ行けないことは悪いことだと教えていかないと」などと発言し、その後、撤回した。
このようなニュースが報じられました。

不登校は「親が悪い。しつけをちゃんとしていない。家庭での教育が大事」 富士宮市長が“持論” (静岡テレビ)※ニュースは時間経過で削除される可能性があります。

こんな発言をすれば、問題になり、批判が広がるということは想像がつきそうですが・・・まさに「メタ認知」ができていない軽はずみな発言だと思います。
ただ、今回は市長の政治家としての能力ではなく、あくまで発言そのものに焦点を当てて考えてみたいと思います。
※ちなみにメタ認知に関してはこちらの記事をご覧ください。
 子どもの未来を変える「メタ認知」とは?幼児期から育む最強の学習力

ちょうどレジリエンスの記事をここ最近書いていましたし、そのレジリエンスにも大いに関連する問題でもあります。
ということで「不登校は親のしつけが悪い」「家庭教育ができていないからだ」という発言を、幼児教育に絡めて今日はまとめていきます。

皆様もわが子が今は元気に幼稚園、保育園に通っていても、「もし今後学校に行けなくなったら…?将来引きこもってしまったら」と不安になることもあるかもしれません(もちろん家庭の方針で別に学校に行かなくてもよいという方もいらっしゃるとも思います)。

今回の発言は不快に思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、同時に私たちに「不登校とは何か」「家庭はどう関わればいいのか」を考える貴重な機会にもなると思います。それはスマホ規制条例の時もそうでした。
※スマホ規制条例の記事です。
 スマホ規制条例案を考えてみるー法的視点と幼児教育からの視点


この記事では、この発言の問題点を教育的・心理学的な視点からわかりやすく整理したうえで、不登校を“未然に防ぐために幼児期からできること”を丁寧にまとめていきます。

親を責める言葉ではなく、家庭が“子どもの安心基地になる方法”を一緒に考えていきましょう。


市長発言の概要と、なぜ問題になったのか

「不登校は親のしつけ不足」という単純化された説明

今回の市長発言では、不登校の原因を“親のしつけ不足・家庭教育の欠如”と強く結びつける言い方が見られました。「学校へ行くのは当たり前」「親がきちんと教えれば行けるはずだ」という、いわゆる昭和的な価値観に基づくメッセージが含まれていたため、教育関係者・保護者・当事者から多くの疑問の声が上がりました。

発言後、「言い過ぎだった」と訂正があったものの、
“不登校=親の責任”
という印象が残ったことは事実です。

このようなメッセージは、子育てに悩む保護者を必要以上に追い詰め、問題解決から遠ざけてしまう危険性があります。


この発言は行き過ぎであり、疑問が残る理由

親を責める言葉は、保護者の心を折るだけ

不登校の背景には、子どもの気質、学校環境、発達特性、心のエネルギー不足など、複数の要因が絡み合います。しかし「親が悪い」という言葉が放たれると、保護者の方は「すべて自分のせい」と受け止めてしまいます。

もともと不登校の子どもを支えている家庭は、多くの不安や孤独を抱えています。
そこへ「しつけが足りない」と言われれば、心が折れてしまい、支援に向けて行動する力さえ失ってしまいます。

子どもにとって一番の味方であるはずの保護者が、罪悪感で動けなくなることは、子どもの回復をむしろ妨げてしまいます。保護者の心身の状態は、子どもにもろに影響を与えます。
親を責める言葉は、誰の力にもなりません。


「学校へ行くのは当たり前」という価値観はすでに古い

そもそも文部科学省は既に「不登校を問題行動とみなさない」と明言しています。
また、学校以外の学び方──フリースクール、自宅学習、オンライン支援など──を公的に認める方向へ進んでいます。

つまり、
“学校だけが正しい学びの場”という価値観は、国レベルで見直されている最中
なのです。

多様な発達、多様な個性、多様な生き方に合わせた学びが求められる時代に、「行くのが当たり前」という前提で語ることは現状にそぐわず、支援の視点も欠けてしまいます。


この発言の最大の問題点は「支援の視点が欠けている」こと

教育の根本は「誰が悪いか」ではなく「どう支えるか」です。

不登校は、子どもが“学校に行けないほどの負荷を感じているサイン”です。
にもかかわらず原因を家庭に一方的に求めると、そのサインの意味が見えにくくなります。

本来必要なのは、

  • 子どもは何に困っているのか
  • どんな環境なら安心できるのか
  • どんな学び方が合っているのか
  • 家庭と学校はどう連携できるか

こうした支援的な視点です。

支援の視点が欠けると、子どもは“頑張れない自分”を責め、親は“力不足の自分”を責め、誰も救われません。
また、影響力のある人の発言が社会に影響を与えてしまい、増々社会からの孤立を深めたり、社会的な圧力がかかったりする可能性すらできてしまいます。


子どもの不登校は「複合要因」で生じる

唯一の原因など存在しない

教育心理学や臨床の現場では、不登校は単独の原因では起こらないことが共通見解となっています。

子どもの気質、発達特性、教室の雰囲気、友達関係、先生との相性、生活リズム、家庭のストレス、自己肯定感の低下、社会的変化……。

まるでパズルのピースが重なるように、さまざまな条件が積み重なり、“学校に向かう心のエネルギーが枯渇する”状態になります。

だからこそ、
「親のせい」では説明できないし、「学校のせい」だけでも説明できない。

子どもが安心して進める道を、一緒に探す姿勢こそが大切なのです。


では、家庭でできることは何か

アタッチメント(愛着)は子どもの「安心基地」になる

幼児期に育つ“親子の信頼関係”は、学校生活でも大きな力になります。
安心できる家庭がある子どもは、困難があっても「戻れる場所がある」と感じるため、チャレンジがしやすくなります。

逆に、不登校の原因が“アタッチメントの問題”だけとは言えませんが、
安心基地がしっかりしていると、学校での負荷に対して回復しやすくなることは確かです。

※アタッチメントについての記事です。
 「アタッチメント(愛着)」について—子どもの“心の土台”になる力


他者との関わり方をゆっくり育てる

幼児期の遊びや家庭でのコミュニケーションは、対人関係の基盤になります。
無理に集団へ押し込む必要はありませんが、「相手の気持ちを知る」「自分の気持ちを伝える」経験が積み重なるほど、学校という集団にも適応しやすくなります。

※他者との関わりは非認知能力にもつながります。
 「非認知能力]とは。改めて非認知能力をまとめます


レジリエンス(立ち直る力)は後から育つ

レジリエンスは生まれつきの才能ではなく、家庭の関わりで伸ばすことができる力です。
失敗しても受け止めてもらえる経験、悔しい気持ちを親子で整理する経験、自分で考えて選ぶ経験──こうした積み重ねが、学校生活でのストレスに向き合う力になります。

※レジリエンスに関しての記事です。
 レジリエンス─折れても、また立ち上がれる子に

「完璧な子育てをしなければ」という重圧を背負う必要はありません。
日々の小さな関わりが、子どもの心の持久力をつくります。

※幼稚園や保育園、習い事などの行きたくないの対処について書いた記事です。
 よかったら参考にしてください。
 子どもの「行きたくない!」をどうするかー幼児教育と親の関わり方

非認知能力とアタッチメント

幼児教育は不登校を“完全に防ぐ”ことはできない。しかし大切な下地にはなる

幼児教育は「心の土台」を整える期間

幼児教育を受けたからといって、不登校がゼロになるわけではありません。
それでも、幼児期に育つ非認知能力(自己調整・感情の安定・好奇心・コミュニケーション力)は、学校生活を支える大きな基盤になります。

幼児教育は、勉強を先取りする場所ではなく、
「自分は大丈夫」「挑戦してみたい」という感覚を育てる場所です。

この土台があることで、学校が合わないときでも別の学び方を選べたり、自分のペースを守れたりします。
幼児教育は“不登校を防ぐ万能薬”ではなく、**子どもの未来を支える“体力づくり”**に近いのです。


できることは、今からやっておきたい

家庭でも、幼児教育でも、完璧を求める必要はありません。
ただ、子どもの心が揺れたときに戻れる場所をつくっておくことで、将来の選択肢が大きく変わります。

「学校に行ける子」ではなく、
「自分の人生を選べる子」
を育てるという視点が、これからの時代には欠かせません。


「親が悪い」という言葉に振り回されなくていい

不登校は、親のしつけ不足でも、家庭教育の欠如でもありません。
子どもの性格、学校環境、発達特性、心の状態、家庭のストレス……多くの要因が重なって起きる複雑な現象です。

だからこそ、
犯人探しよりも支援の姿勢が大切です。

幼児期の関わりは、不登校を魔法のように消すことはできませんが、
子どもが「安心して挑戦できる力」を育てることはできます。

親が悪いわけではありません。
親の役割は、子どもが立ち止まったときにそっと手を差し伸べられる場所でいること。
その“安心基地”がある限り、子どもは何度でもやり直せます。


パパママからよくある質問3つ

Q1. 不登校は本当に「親の育て方」が原因なのですか?

→不登校は親のしつけや家庭教育だけで説明できるものではありません。子どもの気質、発達特性、学校での人間関係、教師との相性、生活リズム、心のエネルギー不足など、多くの要因が重なります。単独の“悪者”を決めつけず、何に困っているのかを一緒に理解していくことが大切です。


Q2. 子どもが「行きたくない」と言ったとき、まず家庭でできることはありますか?

→安心して気持ちを話せる環境づくりが第一です。叱ったり理由を急かしたりするのではなく、気持ちを整理する時間を確保しましょう。親子関係の安心感(アタッチメント)、日々の小さな成功体験、気持ちの調整をサポートする声かけは、子どもの回復力(レジリエンス)を高めます。


Q3. 幼児教育で不登校は防げますか?

→幼児教育で“不登校が完全になくなる”とは言えませんが、非認知能力(感情調整・自己肯定感・コミュニケーション力など)を育てることは、不登校のリスクを軽減する土台になります。幼児期に「安心できる人間関係」「自己調整力」「挑戦してみたい気持ち」を育てることが、後の学校生活の支えになります。


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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)

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