「感情を学ぶ力」が学習意欲を育てる
ソーシャル・エモーショナル・ラーニング(SEL)で育む「心の学び」
子どもが生きていく未来は、AIやテクノロジーの進化によって、今とはまったく違う社会に変化します。
そんな中で本当にひとつ必要なことは、「感情を理解し、他者と協力しながら課題を解決する力」かもしれません。
つまり、知識だけではなく“人としての力”を育てることです。
この「人としての力」を体系的に育てる教育が「ソーシャル・エモーショナル・ラーニング(SEL:Social and Emotional Learning)」です。
近年、欧米ではもちろん、日本の幼児教育現場でもSELの重要性が注目されています。
感情コンピテンスとは何か
SElを説明する前に、SELを行うことで養われる「感情力(感情コンピテンス)」と「社会性(社会的コンピテンス)」について説明しておきます。
― 自分の気持ちを理解し、上手に表現できる力
**感情コンピテンス**とは、自分の感情を理解し、適切に表現・調整できる力のことです。
例えば「悲しい」「悔しい」「嬉しい」などの感情を言葉で表現できる子は、心の整理ができ、人間関係のトラブルも減ります。
感情コンピテンスが高い子の特徴
- 自分の気持ちを言葉で伝えられる
- 友達や大人の気持ちを理解できる
- ストレスに強く、気持ちの切り替えが早い
この力は生まれつきではなく、日常の関わりの中で育つ力です。幼児期に保護者が共感し、言葉を添えてあげることで、子どもは「感情を理解する力」を自然と身につけていきます。
「感情コンピテンス」についてはこちらをぜひご覧ください。
子どもの幸せを育てる力 幼児期から育つ「感情コンピテンス」とは?

社会的コンピテンスとは何か
― 人と関わる力・協力する力
**社会的コンピテンス**とは、他者と上手に関わり、社会の中で良好な関係を築く力です。
友達と遊ぶ中で「順番を待つ」「譲る」「助ける」「謝る」といった行動は、まさにこの力の発達を示しています。
社会的コンピテンスを高めるためには
- 家族や友達とのやりとりを通して「他者の立場」を考える
- 遊びや生活の中で「協力」「話し合い」「共感」を経験する
- 大人が手本となって、感情の扱い方や人との接し方を見せる
このような積み重ねが、子どもの「社会的な土台」を築きます。
感情コンピテンスと社会的コンピテンスを意識的に育てるには
この2つの力は自然に身につく部分もありますが、現代の生活環境では「人との関わりの機会」が減っているため、意識的な教育アプローチが必要です。
その中心にあるのが「SEL(ソーシャル・エモーショナル・ラーニング)」です。
SEL(ソーシャル・エモーショナル・ラーニング)とは
感情と人間関係を学ぶ教育プログラム
SELとは、子どもが自分や他者の感情を理解し、健全な人間関係を築きながら、責任ある行動を取るためのスキルを学ぶ教育です。
アメリカの教育団体「CASEL」は、SELを次のように定義しています。
「SELとは、自分と他者を理解し、感情をコントロールし、健全な人間関係を築き、建設的な意思決定を行うための学びのプロセスである。」
SELの基礎(アメリカの教育団体「CASEL」の公式ページより)
SELの5つのコアスキル
SELには、5つの中核スキル(コアコンピテンス)が存在します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 自己認識 | 自分の感情・価値観・長所を理解し、自信を持つ力 |
| ② 自己管理(自己マネジメント) | 衝動やストレスをコントロールし、目標達成に向かう力 |
| ③ 社会的認識(他者理解) | 他者の感情や背景を理解し、共感する力 |
| ④ 対人関係スキル | 人と協力し、コミュニケーションをとり、問題を解決する力 |
| ⑤ 責任ある意思決定 | 倫理的・建設的に判断し、行動を選択する力 |
これら5つの力がバランスよく育つことで、子どもは学習面でも社会生活でも大きく成長します。
SELの意義
― 非認知能力の土台としてのSEL
SELの効果は多くの研究でも明らかになっています。
SELを導入した学校では、学力テストの結果が平均11%向上したという報告もあり(CASEL, 2011)。
つまり、「感情教育」は「学力の土台」でもあるのです。
さらにSELは、以下のような効果ももたらします。
- ストレス耐性やレジリエンスの向上
- 攻撃的行動の減少
- 学習意欲・集中力の向上
- 他者への思いやり・共感力の発達
幼児期にSELを取り入れることで、子どもは「生きる力」を獲得するといえます。
※非認知能力についてのまとめの記事です。
「非認知能力]とは。改めて非認知能力をまとめます
子育てにおけるSELの重要性
― 家庭こそがSELの第一の学び場
SELは学校だけで行うものではありません。
むしろ、家庭の日常生活こそが「SELの実践の場」です。
家庭でできるSELの工夫
- 子どもが怒ったときに「どうしてそう思ったの?」と気持ちを言語化する
- 家族で感謝を伝え合う時間をつくる
- 絵本やアニメの登場人物を通して「この子はどんな気持ちかな?」と話す
- 親自身が「感情の扱い方」のお手本になる
家庭の中で感情を大切に扱う文化をつくることが、SELの根本です。
リコポ幼児教育におけるSELの実践
リコポ幼児教育では、一人ひとりの感情と発達段階に合わせた教育を大切にしています。
「泣く」「怒る」「悔しがる」など、子どものあらゆる感情を受け止め、そこから自己理解と社会性を育むプログラムを実践しています。
性質も感情も子ども一人ひとり違います。だからこそ「感情を学ぶ力」を養うには個別の教育が最適です。非認知能力の根底にあるSELを通じて、子どもが安心して自分らしく成長できる環境を整えています。
SELは、感情と人間関係を「学ぶ」教育であり、知識やIQだけでは測れない、心の力(非認知能力)を育てる鍵となります。
今日のおさらいQ&A3問
Q1. SELとはどんな教育ですか?
→感情を理解し、人と関わる力を育てる「心の学び」です。自己認識や共感力、協調性など、人生に必要なスキルを体系的に身につけます。
Q2. SELを家庭で育むにはどうしたらいい?
→子どもの気持ちを言葉で受け止め、「どう思った?」「どうしたかった?」と対話することが第一歩です。親の共感的な姿勢がSELの土台になります。
Q3. SELはどんな効果がありますか?
→感情のコントロールが上手くなり、友達関係や学習意欲が向上します。自己肯定感が高まり、ストレスにも強くなるといわれています。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)
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