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「自分と会話できる子」は強い—幼児期に育てたい“自己内対話能力”

「自分と会話できる子」は強い—幼児期に育てたい“自己内対話能力”

子どもが「どうして?」「こうした方がいいかな」とつぶやくとき、それは単なる“ひとりごと”ではありません。
実はそこに、「自分の中で考え、整理し、行動を決める力」——「自己内対話能力(internal dialogue ability)」が芽生えています。

「自己内対話能力」意味は何となく伝わるかと思いますが、言葉自体は聞きなれないかもしれません。
しかし、この能力は子どもの時のみならず、大人になってもとても重要な能力です。
何か買おうとする時、何か選ぶ時など決断する時、もう一人の冷静な自分としっかり対話する能力が養われているかどうかはとても重要です。

この力は、勉強の理解力や問題解決力だけでなく、将来の“心の安定”や“生きる力”にも深く関わります。
今回は、この自己内対話能力とは何か、どのように育つのか、そして親としてどのようにサポートできるのかを見ていきましょう。


自己内対話能力とは

●「もう一人の自分」と話せる力

自己内対話能力とは、自分の中に「もう一人の自分」をつくり、その声と会話しながら考える力のことです。
「これでいいかな」「さっきはちょっと言いすぎたかも」「どうやってやろうかな」——こうした思考のプロセスが、自己内対話です。

心理学的には、ヴィゴツキーが「外言(声に出す言葉)」から「内言(心の中の言葉)」へと発達していくと説明しています。
つまり、最初は声に出して話していた“ひとりごと”が、次第に心の中で行われるようになるのです。


「第二の自我」を持つことの重要性

●感情の暴走を防ぐ“心のブレーキ”

子どもが「怒りそうな自分」を客観的に見つめ、「ちょっと待って」とブレーキをかけられるようになると、トラブルはぐっと減ります。
それはまさに「第二の自我(もう一人の自分)」が育っている証拠です。

この“もう一人の自分”は、感情のコントロールだけでなく、学習面でも大切な役割を果たします。
たとえば、「わからない」と思ったときに「どこがわからないんだろう?」と自分に問いかけられる子は、**自己調整学習**が得意になります。

ヴィゴツキーやピアジェの理論では、こうした「自己認識」や「メタ認知」の芽が、幼児期の後半から急速に育つとされています。

※メタ認知に関しての記事はこちらを参考にしてください。
 子どもの未来を変える「メタ認知」とは?幼児期から育む最強の学習力


自己内対話能力の具体的な例

子どもの成長の中で見られる自己内対話の例を挙げてみましょう。

  • 遊びながら考えるとき:「次はどっちに積もうかな」「この色にしようっと」
  • 失敗したとき:「あ、こぼれちゃった。次はゆっくり注ごう」
  • 誰かを気づかうとき:「泣いてる…どうしよう、先生呼ぼうかな」
  • 勉強や制作の場面で:「ここが難しいけど、もう一回やってみよう」

これらはすべて、「外言」から「内言」へと変化していく過程の一部です。
そしてこの小さな“対話”こそが、将来の「考える力」や「思いやりの根っこ」を育てていきます。

内言語に関しての詳しい論文です。参考までにどうぞ。
内なる言語:発達、認知機能、現象学、神経生物学(PMC)


自己内対話能力が育つ時期

●鍵となるのは「4歳〜6歳」頃

自己内対話は、3歳頃に芽生え、4〜6歳で一気に伸びるといわれています。
この時期は、ピアジェの発達段階でいう「前操作期」の終盤から「具体的操作期」への移行期。
つまり、「見たままに反応する」段階から、「考えて判断する」段階へ進む重要な時期です。

この時期に大人が「考える時間」「つぶやきを受け止める時間」を十分に与えることで、
自己内対話の芽が育ちやすくなります。

※ピアジェの発達段階に関してはこちらの記事をどうぞ!
 子どもは“小さな科学者” ピアジェの発達段階理論と幼児教育の関係
 前操作期記事も一緒にご覧ください!
 ピアジェの発達段階理論「前操作期」:言葉と想像力が花開く時期とは

ピアジェの発達段階理論

自己内対話能力を上手に育てるために

①「すぐ答えを教えない」

子どもが「どうしようかな?」と迷っているとき、つい親が先に答えを言ってしまいがちです。
しかし、その迷う時間こそが“内なる声”を育てる貴重な瞬間です。
少し待って、「どう思う?」と返してあげましょう。

②「子どものつぶやきを否定しない」

「そんなこと言っちゃダメ」「変なこと言うね」と否定すると、子どもは“自分の声”を押し殺してしまいます。
「そう思ったんだね」と受け止めることが、安心して自己内対話を続けられる土台になります。

③「感情を言葉にする習慣をつける」

「悲しかったね」「うれしかったね」と親が言葉にすることで、子どもは感情を言葉に変換する力を学びます。
これは自己対話の素材となり、感情の整理や自己理解につながります。

④「一緒に振り返る時間をつくる」

一日の終わりに「今日はどんなことが楽しかった?」「どんなことが頑張れた?」と話すことで、
子どもは“内省”する練習ができます。
これを繰り返すうちに、外からの問いかけが、内側の問いへと変化していきます。

自分の中で考え、気持ちを整理し、行動を選べる子。
それは、周りに流されず、他人の気持ちも理解できる「強くてやさしい子」です。

幼児期にその土台を育てることは、将来の自己理解・他者理解の大きな礎になります。
そしてその出発点は、「子どものつぶやきを、大人がやさしく受け止めること」。
今日から、親子の“心の会話”を少しだけ増やしてみませんか。


今日のおさらいQ&A3問

Q1. 「自己内対話能力」とはどんな力ですか?

A. 自分の中で考え、もう一人の自分と対話しながら行動を決める力です。思考力・感情の整理・自己理解の基盤になります。

Q2. どんな時期に育ちやすいのですか?

A. 3歳頃に芽生え、4〜6歳で急速に発達します。迷いやつぶやきを大切にしてあげることがポイントです。

Q3. 親ができるサポートは?

A. 子どものつぶやきを否定せず、「どう思う?」「なんでそうしたの?」と問いかけ、考える時間を与えることです。

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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)
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