【子どものやる気を引き出す方法】「動機づけ」の正体と育て方
内発的動機づけと外発的動機づけを理解して、子どもの学びを長続きさせる
今日の記事は「動機づけ」についてです。これをやりたいと思っても、いざやろうとするとなかなか起き上がれない。これは大人にも子どもにもよくあることです。
ということで今日は大人にも、子どもにも役立つ記事です。
子どもの“やる気”は、勉強でも習い事でも、成長の原動力になります。しかし、そのやる気には「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」という2つの仕組みがあることをご存じでしょうか。
この記事では、心理学の理論をもとに、子どものやる気の源を理解し、日常の関わりの中でどう育てればよいのかをわかりやすく解説します。
やる気の正体は「動機づけ」
何かを「やりたい」「続けたい」と思う気持ちは、心理学では**動機づけ(motivation)**と呼ばれます。
子どもの学びや行動を支える根底には、必ずこの動機が存在します。
動機づけは、単なる「やる気」ではなく、行動のエネルギー源です。
同じ行動でも「自分からやりたい」のか、「言われたから仕方なくやる」のかでは、持続力も成果も大きく違ってきます。
動機づけの2つの種類
動機づけは大きく分けて「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」に分類されます。
外発的動機づけとは
外発的動機づけは、外からの刺激や報酬によって行動が引き起こされることです。
たとえば、
- テストでいい点を取ったら褒められる
- ごほうびがもらえる
- 叱られたくないから宿題をする
といったように、外的な要因によって行動が起こるタイプです。
外発的動機づけの4つの分類(自己決定理論より)
心理学者デシとライアンによる「自己決定理論」では、外発的動機づけにも段階があるとされています。外からの働きかけが、どの程度“自分の意思”に取り入れられているかによって、4つに分類されます。
- 外的調整
→ ごほうび・罰など、完全に外部からの圧力で動く状態。
例:「叱られるから宿題をやる」 - 取り入れ的調整
→ 外部の価値を自分の中に取り込む。例えば義務感や、恥ずかしい、不安などです。
例:「やらないとダメな気がする」「みんなと違うと恥ずかしい、不安」 - 同一化的調整
→ 自分にとって意味があると感じて行動している。
例:「勉強は将来のために必要だから頑張る」 - 統合的調整
→ 外的な動機を完全に自分の価値観として取り入れている。
例:「勉強することが自分らしさにつながっている」
つまり、「外発的」といっても一枚岩ではなく、外からの動機が“自分の内面”にどれだけ統合されているかがカギなのです。
外発的動機づけのメリット・デメリット
メリット
- 目標を明確にしやすく、すぐ行動につながる
- 初期段階でのやる気の引き出しに効果的
たとえば、「宿題を終えたらゲームしていいよ」といった約束は、行動を促すきっかけになります。
デメリット
- ごほうびがなくなると続かない
- 「やらされている感」が強く、内面からの充実感が得にくい
子どもが「褒められるためにやる」状態のままだと、やがて自分の力で動けなくなってしまうことがあります。
内発的動機づけとは
一方で、**内発的動機づけ(intrinsic motivation)**は、
「楽しい」「もっと知りたい」「うまくなりたい」など、行動そのものに価値を感じている状態です。
たとえば、
- 「絵を描くのが好きだから描く」
- 「パズルを完成させるのが楽しい」
このように外的報酬がなくても自然と行動できるのが、内発的動機づけの特徴です。
このタイプのやる気は長続きしやすく、成果も出やすいとされ、教育現場でも重視されています。
内発的動機づけが続く理由
内発的動機づけは、以下の3つの欲求を満たすことで自然に高まります(デシとライアンによる「自己決定理論」より)。
- 自律性
→ 自分で決めて行動できている感覚 - 有能感
→ できた!わかった!という達成感 - 関係性
→ 信頼できる人とのつながり
この3つがそろうと、子どもは「もっとやってみたい」という気持ちを自ら持ち、学びを自分のものとして取り組むようになります。
「内発」と「外発」は対立しない
かつては、「外発的動機づけより内発的動機づけが優れている」と考えられていました。
しかし近年では、「両者は対立するものではなく、連続している」という考え方が主流です。
外から始まった動機も、支援の仕方次第で内面化されていくのです。
たとえば、「お手伝いしたらシールをあげる」から始まり、次第に「誰かを助けるのが気持ちいい」と感じるようになれば、それは外発から内発への移行です。
親や教育者の役割は、この移行を上手にサポートすることにあります。
※自己決定理論についてのサイトは結構ありますが、こちらのサイトは分かりやすく、納得もできました。こちらも参考にしてみてください。
自己決定理論(コアネット教育総合研究所)
子どものやる気を引き出す3つのポイント
① 自分で選べる環境をつくる
「これとこれ、どっちにする?」と選択肢を与えるだけで、自律性が育ちます。
「やらされている」ではなく「自分で決めた」という感覚をもたせましょう。
② できたことを具体的にほめる
「すごいね」よりも、「最後まで集中してたね」「昨日より速くできたね」など、努力の過程を認める言葉が有効です。
それが有能感を高め、次への意欲につながります。
※ほめ方についてはこちらをご覧ください。
子どもを伸ばす正しい「ほめ方」―才能ではなく努力を認める
③ 安心できる関係を築く
失敗しても責めない、気持ちを受け止めてくれる大人がいることで、挑戦する勇気が生まれます。
やる気は「安心の土台」の上に育つのです。
※子どもに安心感を与えることに関連する記事です。こちらもご覧ください。
教育におけるアタッチメントとは? 大切にしたい心の安全基地

やる気は育てることができる
動機づけは、生まれつきの性格ではなく、環境と関わり方によって育てることができる力です。
外発的な刺激から始まっても、子どもが自分で「やってみたい」と思えるように支えていくことで、内発的動機づけへと発展していきます。
リコポ幼児教育では、こうした心理学的理論を基盤に、子どもの「自ら学ぶ力」を育てる教育プランを個別に設計しています。
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リコポ式おさらいQ&A3問
Q1. 外発的動機づけと内発的動機づけの違いは?
→ 外発的動機づけは「ごほうびや叱られたくない気持ち」で動くこと。内発的動機づけは「やってみたい・楽しい」と思う気持ちが原動力です。
Q2. 外発的動機づけにも良い面はありますか?
→ もちろんあります。最初のきっかけづくりとしては効果的で、上手に使えば内発的動機づけへと発展していきます。
Q3. 子どものやる気を長続きさせるには?
→ 「自分で選べる環境」「できたという実感」「安心できる関係性」の3つを整えることが大切です。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)