【幼児期の“第2の自我”とは?】メタ認知の土台となる力の育て方
幼児期の子どもは日々たくさんの感情を抱え、思いついた行動にすぐ動き出したり、気持ちのままに泣いたり怒ったりすることがあります。しかし成長の過程で、子どもは少しずつ「気持ちを調整する力」や「自分を客観的に見つめる力」を身につけていきます。
その鍵を握るのが、今回のテーマである 「第2の自我」 です。
第2の自我は、ただの心理学用語にとどまらず、
・非認知能力
・自己調整
・メタ認知
・自己肯定感
・問題解決力
といった、生涯にわたり子どもの成長を支えるコアスキルにつながっていく非常に重要な力です。
この記事では、家庭でも実践しやすい形で 第2の自我の育て方 を詳しく解説していきます。
第2の自我とは?
まず「第2の自我」という言葉は少し抽象的に聞こえるかもしれません。
分かりやすく言えば、“心の中にもう一人の自分が現れ、自分に語りかけてくる力”です。
■ 第2の自我の具体例
- 叩きたくなったときに「本当に叩いていいの?」と心の中で声が聞こえる
- アイスをもう一つ食べたいけれど「やめておこう」とブレーキをかける
- 寝る前に「明日のためにそろそろ寝よう」と自分を説得できる
幼児期の子どもは、まだこの“もう一人の自分”が未発達です。
だからこそ感情が爆発しやすかったり、「したい!」と思ったことに一直線で突き進んだりします。
第2の自我とは、心理学でいう 内的対話 の発達とも重なり、
ビゴツキーの認知発達論における「外言 → 内言」への変化に深く関係しています。
内なる言語:発達、認知機能(PMC)
第2の自我が芽生える年齢
第2の自我は、生まれたときからあるわけではありません。
一般的には以下のように段階的に発達していきます。
■ 2~3歳頃
- まだ感情のまま動きやすい
- 自己主張が強くなり、イヤイヤ期がピーク
- “もう一人の自分”はほぼ未形成
■ 3~4歳頃
- 感情と言葉が少しずつ結びつく
- 「ダメ」と言われた理由を理解し始める
- 自分の行動を薄く振り返れる瞬間が出始める
→ 第2の自我の芽が出る時期
■ 5~6歳頃
- 心の中で自分に語りかける力が発達する
- 「やめる」「がまんする」「切り替える」が徐々にできる
- 小さなメタ認知の芽が育つ
→ 第2の自我が機能し始める時期
もちろん個人差がありますが、
第2の自我は4~6歳頃に大きく伸びる というのが発達心理学の一般的な見解です。
メタ認知との違い ― “似ているけれど別物”
多くの保護者の方が気になる質問がこちらです。
「第2の自我ってメタ認知のことですか?」
結論は “別物だが、密接に関係している” です。
※メタ認知に関してはこちらをご覧ください。
子どもの未来を変える「メタ認知」とは?幼児期から育む最強の学習力
■ 違い①【働きの違い】
● 第2の自我
- 心の中の“もう一人の自分”
- 感情コントロールのエンジン
- 自己調整の“会話”を作る
● メタ認知
- 自分の状態を俯瞰して把握する力
- 「私はいま怒っている」「だから深呼吸しよう」と判断する
- 問題解決に向かうための“客観的視点”
■ 違い②【発達の順番】
第2の自我 → 自己内対話 → 自己理解 → メタ認知
という順序で発達します。
つまり…第2の自我は、メタ認知へ向かう“基礎工事”のような存在
第2の自我がしっかり発達していないと、メタ認知を支える土台が揺らぎ、
感情のコントロールが難しくなったり、学習面でもつまずきやすくなったりします。

第2の自我を育てることの重要さ
幼児期に第2の自我が育つかどうかは、
子どもの“その後の生きやすさ”に直結します。
なぜそこまで重要なのか、その理由を深掘りします。
■ ① 感情の爆発が減り、落ち着きやすくなる
第2の自我が育つと、
「やめておこう」「ちょっと待とう」が少しずつできるようになります。
感情のコントロール(セルフレギュレーション)の根幹です。
■ ② 問題解決力が上がる
例えば「おもちゃを取られた!」という状況でも、
- 「どうしよう?言いに行ってみる?」
- 「あっちのおもちゃを使う?」
という内的対話が生まれ、行動が柔軟になります。
■ ③ 自己肯定感の基盤がつくられる
第2の自我は、自分を落ち着かせたり励ましたりすることにつながります。
- 「大丈夫だよ」
- 「できるよ」
- 「ゆっくりでいいよ」
こうした“内なる応援者”が育つことで、
挑戦を恐れないポジティブな気持ちが育ちやすくなります。
■ ④ 学習の理解度が高まり、メタ認知へつながる
学習面では、
- 「ここが分からない」
- 「どうやったら解ける?」
- 「別のやり方を試そう」
といった“自分で自分を導く力”が不可欠です。
これはメタ認知の力ですが、その前段階である 第2の自我がしっかり育っているか が決定的です。
家庭でできる「第2の自我を育てる方法」
幼児教育の専門家として、実際に多くの子どもたちと接してきた経験から、
家庭で今日から実践できる方法をまとめます。
■ ① 子どもの気持ちを“言語化”してあげる
子どもは、言葉にしてもらうことで初めて
「自分はいまこう感じているんだ」と理解できます。
例:
「悔しかったんだね」
「もっと遊びたかったんだよね」
「それは悲しかったね」
この“気持ちの翻訳”が、内的対話の芽を育てます。
■ ② 選択肢を与え、自分で決める経験を増やす
×「早くしなさい!」
○「靴は赤と青、どっちにする?」
選んだ瞬間に、子どもの内側に「自分で決めた」という感覚が生まれ、
そこで第2の自我が働き始めます。
■ ③ 失敗を責めない。解決策を一緒に考える
失敗を責められると、
「自分の中の声」が否定的になり、第2の自我の育ちが止まってしまいます。
例:
「どうしたら次はうまくいくかな?」
「一緒に考えてみようか」
この“伴走の姿勢”が子どもの内的対話を育てます。
■ ④ 切り替えの言葉をゆっくり渡す
「もう終わり!」ではなく、
「そろそろおしまいに向かう準備をしようか」など、
切り替えの言葉を少しずつ渡すことで
心の中で“切り替える声”が育ちます。
■ ⑤ 大人が「内なる声」を言葉で見せてあげる
大人のモデルは最強の教材です。
例:
「今イライラしているから、深呼吸しようっと」
「これは悩むなあ…どうしようかな…こっちにしてみようかな」
これにより、子どもは自然に“内的対話の方法”を学びます。
第2の自我は、
感情コントロール、問題解決力、自己肯定感、そしてメタ認知へとつながる
子どもの成長を支える最重要スキルのひとつ です。
幼児期はその“基礎工事”がもっとも進む時期。
ご家庭での小さな声かけが、その子の未来の生きやすさを大きく後押しします。
今日のおさらいQ&A3問
Q1. 第2の自我とは何ですか?
→心の中に“もう一人の自分”が現れ、自分に語りかける力のことです。「本当に叩いていい?」「そろそろやめておこう」など、内的対話によって行動や感情を調整する基盤になります。
Q2. 第2の自我は何歳頃から育ちますか?
→3~4歳頃に芽が出始め、5~6歳頃に心の中で自分に語りかける力が本格的に働きます。言葉の発達や感情理解と密接に関係しています。
Q3. 第2の自我を育てる家庭でのポイントは?
→子どもの気持ちを言葉にしてあげること、選択肢を渡すこと、失敗を責めず一緒に解決策を考えることが重要です。大人が自分の“内なる声”を言葉で示すことも良い手本になります。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)