この子は“生まれつき”?“育て方”? 遺伝×環境が子どもを育てる
シュテルンの輻輳説で読み解く幼児教育の本質
「この子はもともと運動が苦手なタイプだから」「性格は生まれつき決まっているから仕方ない」
子育ての中で、そんな言葉が頭をよぎったことはありませんか。一方で、「育て方が悪かったのでは」と自分を責めてしまう保護者の方も少なくありません。
子どもの成長をめぐっては、昔から
“才能は遺伝か、それとも環境か”
という議論が繰り返されてきました。
この二択の問いに対して、心理学者シュテルンが示したのが**「輻輳説(ふくそうせつ)」**です。
本記事では、シュテルンの輻輳説をできるだけわかりやすく整理しながら、
幼児教育とどのように結びつくのかを、具体例を交えて丁寧に解説していきます。
ゲゼル、ピアジェ、ヴィゴツキーと並ぶ「発達理論シリーズ」としても位置づけられる内容です。
※昨日の記事と関連しています。
【早く教えれば伸びる?】ゲゼルの双生児実験から考える
目次
- 子どもの成長は「生まれつき」か「育て方」か
- 二項対立で考えることの限界
- シュテルンの輻輳説とは何か
- 輻輳説を具体例で理解する
- 幼児教育との関係|輻輳説が示す教育の役割
- 他の発達理論との位置づけ
- まとめ|子どもを決めつけず、関わりの力を信じる
1. 子どもの成長は「生まれつき」か「育て方」か
子育てをしていると、次のような場面に直面します。
- 兄弟姉妹なのに性格がまったく違う
- 同じように育てているのに、得意・不得意が分かれる
- ある子は言葉が早く、ある子はゆっくり
こうした違いを目にすると、
「この子はもともとこういうタイプだから」
と感じる一方で、
「関わり方が悪かったのでは」と悩むこともあるでしょう。
このように、私たちは無意識のうちに
**“遺伝か、環境か”**という二択で子どもの姿を理解しようとしがちです。
2. 二項対立で考えることの限界
「生まれつき」と「育て方」を対立させて考えると、どちらか一方に原因を押し付けやすくなります。
| 極端な考え方 | 起こりやすい誤解 |
|---|---|
| 才能は遺伝で決まる | どんな関わりをしても変わらない |
| 環境がすべて | うまく育たないのは親の責任 |
しかし実際の子どもの成長は、
これほど単純ではありません。
同じような資質を持って生まれても、
育つ環境によって伸び方は大きく変わります。
逆に、環境が整っていても、
子どもの特性に合わない関わり方では力が発揮されにくいこともあります。
※こちらも参考にしてみてください。
「この子、育てにくい?」と悩む前に
3. シュテルンの輻輳説とは何か
シュテルンの輻輳説は、この二項対立を乗り越える視点を与えてくれます。
輻輳説を一言でいうと
子どもの発達は、
「生まれ持った特性(遺伝)」と
「育つ環境・関わり(環境)」が
影響し合いながら形づくられる
「輻輳」とは、複数の要因が一点に集まることを意味します。
つまり、子どもの姿は**遺伝と環境が“合流した結果”**として現れる、という考え方です。
ポイントを整理すると
- 遺伝だけで決まるわけではない
- 環境だけで決まるわけでもない
- 両者が相互に影響しながら発達が進む
当たり前と言えば、当たり前ですね。
相互作用主義(生まれか育ちか)(wikipedia)
4. 輻輳説を具体例で理解する
抽象的な理論は、具体例に落とすと理解しやすくなります。
例①:運動が好きな子ども
生まれつき体を動かすことが好きな子がいたとします。
しかし、
- 外遊びの機会が少ない
- 危険を避けるために「走らないで」と制止されることが多い
このような環境では、本来の持ち味が十分に発揮されません。
逆に、体を動かせる環境が整えば、
その子の特性は強みとして伸びていきます。
例②:内向的で人見知りの子ども
初対面の場が苦手で、集団の中では固まってしまう子もいます。
しかし、
- 安心できる大人がそばにいる
- 少人数での関わりを大切にされる
こうした環境の中では、
その子なりのペースで表現力や対人関係の力が育っていきます。
例③:言葉の発達がゆっくりな子ども
言葉の伸びには個人差があります。
そこに加えて、
- 話しかけてもらえる量
- 絵本や会話の経験
といった環境要因が重なることで、
発達の道筋は大きく変わります。
👉 これらの例が示すのは、
**「もともとの特性は“運命”ではない」**ということです。
5. 幼児教育との関係|輻輳説が示す教育の役割
輻輳説は、幼児教育の役割を考えるうえで重要な示唆を与えてくれます。
幼児教育に対する誤解と本質
| 誤解されがちな考え | 輻輳説から見た幼児教育 |
|---|---|
| 教育で才能を作る | 才能の芽を引き出す |
| できない部分を無理に矯正する | その子の特性に合った伸ばし方を探る |
| みんな同じ目標へ導く | それぞれ違う育ち方を支える |
幼児教育の役割は、
子どもを「別の人間に作り変える」ことではありません。
その子が持って生まれた可能性が、
環境の中で自然に発揮されるよう支えることにあります。
6. 他の発達理論との位置づけ
これまでに扱ってきた理論と並べると、
それぞれが子どもの発達の異なる側面を照らしていることが見えてきます。
- ゲゼル:成熟のリズム
- ピアジェ:認知発達の段階
- ヴィゴツキー:他者との関わりと学び
- シュテルン:遺伝と環境の相互作用
どれか一つが正解というわけではなく、
複数の視点を重ねて見ることで、子どもの姿が立体的に理解できるのです。
子どもは“小さな科学者” ピアジェの発達段階理論と幼児教育の関係
「できそうで、できない」が重要 個別教育がもたらす子どもの飛躍

7. まとめ|子どもを決めつけず、関わりの力を信じる
シュテルンの輻輳説は、
「この子はもともとこういう子だから仕方ない」
という諦めと、
「親の育て方がすべてを決める」という過度な自己責任論の、
そのどちらからも私たちを解放してくれます。
子どもは、生まれ持った特性を携えてこの世界にやってきます。
しかし、その特性がどのような形で育つかは、
環境や関わり方によって大きく左右されます。
幼児教育とは、
子どもを変えることではなく、
その子が持つ可能性が、無理なく育つ環境を整える営みです。
焦らず、比べすぎず、
目の前の子どもの姿に丁寧に目を向けること。
それこそが、発達を支える最も確かな一歩なのかもしれません。
Q&A三問
Q1. 子どもの性格や能力は生まれつきでほぼ決まっているのでしょうか?
生まれつきの気質や得意・不得意には個人差がありますが、それだけで将来の姿が決まるわけではありません。シュテルンの輻輳説が示すように、子どもの発達は遺伝的な特性と、家庭や保育などの環境が影響し合って形づくられます。関わり方や経験によって、可能性の広がり方は大きく変わります。
Q2. 輻輳説は「親の育て方が重要」という考え方と同じですか?
輻輳説は「環境がすべて」とする考え方ではありません。子どもには生まれ持った特性があり、親や周囲の大人がそれを完全にコントロールできるわけではありません。一方で、環境や関わり方が子どもの伸び方に大きな影響を与えるのも事実です。遺伝と環境の“どちらか”ではなく“両方”を大切に考える視点が輻輳説の特徴です。
Q3. 幼児教育の場では、輻輳説をどのように意識すればよいですか?
子どもを一律の基準で評価するのではなく、「この子はどんな特性を持っているか」「今の発達段階に合った関わりは何か」を考えることが大切です。その子の持ち味が自然に発揮される環境を整えることが、輻輳説の考え方に沿った幼児教育の実践といえます。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)