しつけと叱るの違い 子どもを育てる本当の意味
しつけとは“型”を教えることではなく“生き方”を教えること
身体に美しいと書いて「躾(しつけ)」。この言葉には少し堅い印象があります。
「しつけがなっていない」「ちゃんとしつけなきゃ」など、
どこか“叱ること”と混同されて使われている場面も多いのではないでしょうか。
「しつけ」と称して、自分の感情にまかせて怒ったり、力を行使するような人もいるので
このしつけや叱るという言葉は冷静さをセットにして考えなければなりません。
本来のしつけとは、子どもが社会の中で生きるために必要な習慣や規範意識を身につける教育のことです。「言うことを聞かせる」ことではなく、「なぜそうするのか」を理解して自ら行動できるように導くことが目的になります。
しつけとは:生活と社会を生きる力の基礎
しつけは、食事・あいさつ・清潔・時間などの生活習慣、規範意識に関わります。
これらは一見マナーのように見えますが、実は人との関わりを円滑にする社会性の訓練です。
たとえば、
- 「ありがとう」「ごめんなさい」が言える
- 食事のマナーを守る
- 約束の時間を守る
これらは単なるルールではなく、他者を尊重する心や思いやりを育てる行為です。
※ちなみに思いやりのある子どものほうが人生を豊かに、楽しく生きることができると分かっています。よろしければこちらをご覧ください。
「共感性」を養う幼児教育 「思いやりのある子ども」は幸福度が高い

しつけと叱るの違い:行動を止めるか、行動を導くか
「叱る」は、ある行動を“止める”ための一時的な反応です。
「○○したらダメ!」という言葉はその瞬間には効果的でも、
理由や背景が伝わらないままでは「怒られた」という印象しか残りません。
一方「しつけ」は、子どもがどう行動すればよいかを理解して身につけるための働きかけです。
「○○だよね」「○○すると気持ちいいね」と、子どもが自分で判断できるように促します。
つまり、
- 「叱る」=制止する行為(禁止を促す行為)
- 「しつける」=理性的に導く行為
この違いを意識することで、日々の関わり方は大きく変わります。「叱る」だけではなく、「しつける」こともセットで考えなければなりません。
ホフマンによるしつけの3つのタイプ
心理学者ホフマンは、しつけを3つの方法に分類しました。
① 力によるしつけ(権威的しつけ)
罰や恐怖で従わせるタイプです。
短期的には行動を抑えられますが、子どもが自分で考える力や共感力を育てにくいという問題があります。
② 愛情の除去によるしつけ
「そんなことをする子は嫌い」など、愛情を引きはがす方法です。
親の愛情を失う不安で行動を変えるため、自尊心の低下や過剰な不安を引き起こすことがあります。
このタイプは相手の顔色に敏感になり過ぎ、怒られないために嘘をつく、自分を大きく見せたがるなど、①と同じで大人になってもこの傾向が強く見受けられます。
③ 説明的・誘導的なしつけ
行動の理由を説明し、子どもが納得して行動できるように促す方法です。
「お友達が痛い思いをするよ」「どうしたら仲良くできるかな?」と、
子どもの思考と共感を引き出します。
このタイプが、思いやり・判断力・社会性を育てる最も効果的なしつけとされています。
説明的・誘導的なしつけが育てるもの
この方法は、単に行動を正すのではなく、心を育てるしつけです。
子どもが「なぜダメなのか」「どうすればいいのか」を理解することで、
次のような力が自然に育まれます。
- 状況を理解し判断する力
- 他人の気持ちを想像する力
- 自分の感情を整理し、行動を選ぶ力
「怒る(おこる)」「叱る」だけでは得られない、内面からの成長が促されるのです。
※有用な外部のリンク先です。ポジティブな子育て:しつけ vs. 罰(Psychology Today)
しつけ(discipline)と叱る・罰(punishment)の違いを分かりやすく解説しています。
子どもをしつけるときに大切なポイント
① 「ダメ!」より「どうすればいいか」を伝える
禁止の言葉だけでは、代わりの行動が分かりません。
「走っちゃダメ」よりも「ゆっくり歩こうね」「危ないから手をつなごうね」と伝えます。
② 感情の前に、理由を伝える
「おもちゃを投げると壊れちゃうよ」「お友達がびっくりするよ」など、
理由を説明して“理解”を促す。
③ 一貫性のある態度で接する
親の対応が場面によって変わると、子どもは混乱します。
「昨日はいいって言ったのに…」となると、ルールの意味を見失ってしまいます。
家庭内で統一した基準を持つことが大切です。
※子どもの規範意識を育てることに関しての記事です。よかったら参考にしてください。
子どもの「規範意識」をどう育てる?自由とルールのバランスが大事
リコポ幼児教育が大切にしているしつけ
リコポ幼児教育では、ホフマンの「説明的・誘導的なしつけ」を大切にしています。
子どもをコントロールするのではなく、理解を通して行動を変える教育を意識しています。
「なぜ片づけるの?」「どうすれば友達と仲良くできる?」といった問いを丁寧に扱い、
子どもが自分で“良い行動”を選べるようサポートします。
個別教育だからこそ、子どもの気質や発達段階に合わせた最適なアプローチが可能です。
【個別教育の力】「最近接領域」に働きかけるベビーシッターの強み
叱ることは瞬間的な制止であり、
しつけは長期的な成長への導きです。
「ダメ!」だけではなく「どうしたらいいかな?」と問いかけてみてください。
その一言が、子どもの“考える力”と“やさしい心”を育てます。
今日のおさらいQ&A3問
Q1.叱ることと、しつけることはどう違うの?
A.叱るのは「その場で行動を止める」ための一時的な対応、
しつけは「どう行動すべきかを理解して自ら選べるように導く」教育です。
感情ではなく、子どもの理解を育てることが目的です。
Q2.つい感情的に叱ってしまったときは、どうすればいい?
A.一度落ち着いて、あとから理由を話してあげましょう。
「さっきは大きな声を出しちゃったけど、危なかったから心配したんだよ」と伝えるだけで、
叱ることが“関係を深めるきっかけ”に変わります。
Q3.どんなしつけが子どもの思いやりを育てるの?
A.「説明的・誘導的なしつけ」です。
理由を説明し、子ども自身の気づきを促すことで、
相手の気持ちを想像する力や社会性が自然と育ちます。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)