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アメリカと日本の育児観を比べると見えてくる、第三者の力

アメリカと日本の育児観を比べると見えてくる、第三者の力

「ちゃんと育てなきゃ」「私が頑張らなきゃ」——子育てをしていると、いつの間にか“責任”が親の肩に全集中してしまう瞬間があります。
※関連記事「完璧じゃなくていい」─“悩める親”こそ、子どもに寄り添える人

一方でアメリカでは、良くも悪くも「子育ては家族だけで抱え込まない」「子どもの安全は社会全体で守る」という発想が強く、ベビーシッターや第三者の手を借りることが、生活の設計に組み込まれています。
私はこの考えはかなり重要だと思っています。子育ての責任は一方的に親に押し付けるのではなく、社会が支えるべきです。なぜなら親にとって大事なものであるのと同時に、社会にとっても大事で、おおきな可能性があり、言葉は悪いですが大きな「利」をなすものだと思うからです。

今回の記事はもちろん、アメリカが万能という話ではありません。文化や制度の違いがあり、日本には日本の良さがあります。
ただ、「親が倒れない仕組み」「子どもの安全を守る仕組み」を考える上で、アメリカの考え方はヒントの宝庫です。今日は、虐待・ネグレクトへの社会の見方、そしてベビーシッター文化を軸に、日本の子育てに活かせるポイントを整理します。


目次

  1. はじめに|なぜ今、アメリカと日本の子育てを比べるのか
  2. アメリカの子育て観に見る「自立」と「社会で支える」発想
  3. 児童虐待・ネグレクトに対するアメリカ社会の厳しい視線
  4. 日本とアメリカの子育てを比べて見えてくる違い
  5. アメリカにおけるベビーシッターという存在
  6. 日本の子育ては、親に責任が集中しすぎていないか
  7. 日本でもベビーシッターに頼ってよい理由
  8. 第三者が関わることで、子どもと家庭に起こる変化
  9. おわりに|子育てを「一人で抱え込まない」という選択

アメリカの育児観:「自立」と「安全」を、社会システムに乗せる

アメリカの子育てで目立つのは、子どもの自立(independence)を早い段階から意識しやすいことです。
ただしここで重要なのは、「放任」と「自立」は別物だという点です。自立は“準備された環境”の上で育つもので、アメリカではその環境づくりに学校・地域・制度・専門職
が関わる発想が強い傾向があります。

たとえば、放課後の過ごし方。学童・アフタースクール・地域プログラム・ベビーシッターなど、家庭外リソースの組み合わせで「親が仕事を続ける」「子どもの安全を担保する」を両立させようとします。
ここには、「親が全部やるのは前提ではない」という価値観が見えます。

参考情報:子どもの虐待・ネグレクトを「親や保護者など、養育責任のある立場による行為」と定義し、予防の枠組みを示しています。児童虐待とネグレクトについて(CDC)


アメリカのネグレクト・児童虐待への考え方:「疑いの時点で動く」文化

アメリカで特徴的なのは、虐待やネグレクトに対して“早期発見・早期介入”を徹底しようとする姿勢です。
「証拠が揃ってから」よりも、「何かおかしいかも」の段階で、まず専門機関につなぐ——この“初動の速さ”が文化として根づいています。

背景には、通報・連携の仕組みがあります。州ごとに差はありますが、アメリカでは職種によって通報義務が定められていることが多く、教育・医療・福祉など「子どもに関わる仕事」は、疑いを見過ごさない責任を負います。
また連邦法(CAPTA)を軸に、州が子どもの保護制度を整備する枠組みが作られています(詳細は州法により異なります)。※CAPTA、保証と要件、児童虐待およびネグレクト情報へのアクセス、機密保持

この結果、親の側から見ると「ちょっと厳しすぎる」「すぐ通報されるのでは」と感じる場面もあります。
しかし社会の狙いは、“親を罰する”ことより、子どもの安全を最優先にし、支援につなぐことです。ここが日本との大きなコントラストになります。

参考情報通報義務の考え方(職種・州による違いを含む)


日本とアメリカの比較:価値観の違いを、善悪で裁かない

違いを見やすく、ざっくり表にします(※あくまで傾向の比較です)。

観点アメリカ(傾向)日本(傾向)
子育ての責任感「家族+社会」で分担「まず親が背負う」空気が強い
虐待・ネグレクト対応早期介入・通報の仕組みが強い相談窓口は整備されつつも、ためらいが残りやすい
第三者活用(ベビーシッター等)生活設計に組み込みやすい“頼る=申し訳ない”になりやすい
子どもの自立仕組みの上で促す家庭内での工夫に寄りがち

日本にも、もちろん制度はあります。たとえば児童相談所全国共通ダイヤル「189」など、虐待が疑われる時に相談・通告できる窓口は整備されています。
ただ、現実には「通報していいのかな」「大ごとにしたくない」という心理が働きやすいのも事実です。ここは制度だけでなく、社会の空気の問題でもあります。


ベビーシッターの考え方:アメリカでは“特別”ではなく“選択肢の一つ”

アメリカでは、ベビーシッターは「特別な家庭だけのもの」というより、かなり日常的な存在です。
しかも“プロ(ナニー)”だけでなく、地域のティーンがベビーシッターを担う文化もあり、責任や安全のためのトレーニングが推奨される流れもあります。

アメリカのベビーシッターに対する考え(アメリカ赤十字)

この文化が成り立つのは、家庭が「第三者に預ける」ことに慣れているだけでなく、
「預ける=親の愛情が薄い」ではなく、「預ける=家庭の機能を守る合理的判断」という見方があるからです。
言い換えると、子育てが“根性試し”になりにくい。…日本も、そろそろ子育てをRPGの縛りプレイにしなくていい頃かもしれません。


☆私はこの日本人の「縛りプレイ」は結構感じることがあります。
例えば、クリスマスはケーキを買わなければならない、チキンを買うために、長い列に並ぶ、恋人と過ごさなければ負け組など。
私は、クリスマスはケーキが一番高く、美味しくない時期だと思っています。それは需要供給の関係で、クリスマスだということで大量生産が入るためパティシエさんも忙しい中で製造します。またクリスマスというだけでどんなケーキでもとりあえず売れるから。
ちなみにアメリカはケーキを食べますが、どちらかというとターキーやハム、クッキー、パイが多く、ケーキはデザートの一つで、しかも圧倒的多くは家庭で作ります。きっと各家庭で受け継いだ家庭の味を披露する場所といった意味合いがあるのでしょう。
クリスマスは家族と過ごすのが当たり前で、日本のように恋人のいないクリスマスを過ごすことに「負け」を感じるどころか、家族と過ごすため恋人と過ごさなくてよいと楽に感じることすらあるみたいです。
余計な話が多くなりました。今年クリスマスを一人で過ごした人間の嫉妬です笑


日本は「親の心身の責任」が集中しすぎるリスクがある

日本の子育ては、丁寧で愛情深い一方で、親が抱え込みやすい構造があります。
仕事、家事、育児、教育、しつけ、園や学校対応……そこに「ちゃんとした親でいなければ」という規範が乗ると、親の心身は簡単に限界に近づきます。

ここで怖いのは、「余裕のなさ」がそのまま家庭の危機につながることです。
疲労や孤立が重なると、つい強い言葉が出る、子どもの訴えを受け止めきれない、感情のコントロールが難しくなる。これは“意思の弱さ”ではなく、環境要因として誰にでも起きうることです。
だからこそ本当は、「頑張れ」ではなく「分担しよう」が必要です。

※関連記事です。ほどほどにうまくいけば十分 完璧じゃない関わりこそ親子を強くする

参考虐待・ネグレクトの定義と、予防の枠組み(リスク・保護要因)

子育てはほどほどでよい時もある

日本でも「ベビーシッターに頼っていい」理由は、十分にある

ベビーシッターを使う理由は、仕事の都合だけではありません。むしろ、幼児教育の観点ではこんな意味を持ちます。

親が休むことで、子どもが安定する
親が休息を取れると、子どもへの応答が穏やかになりやすい。結果として家庭の空気が落ち着き、子どもの情緒も安定しやすくなります。家庭全体の土台(安全基地)が整うイメージです。

家庭外の大人が増えることで、子どもの世界が広がる
子どもにとって、信頼できる大人が親以外にもいることは強みです。言葉が詰まる時、親には言いにくい時、「別の安全な窓口」があるだけで救われる場面があります。

“教育”が生活に溶け込む
教育は、机上の学習だけではなく、日常のやりとり・遊び・習慣の中で育ちます。第三者が関わると、家庭内のパターンが良い意味で揺さぶられ、子どもが新しい挑戦をしやすくなることがあります。


第三者がいるからこそ有効に働くこと 具体例から

例1:「親の声」だと反発するのに、「第三者の声」だとスッと入る

3〜6歳くらいは特に、親の言葉が“近すぎて”反発が起きることがあります。
「片付けようね」「次はお風呂だよ」が、親子の関係性(甘え・反抗・試し行動)と絡んで、バトル化しやすい。

この時、第三者が入るとどうなるか。
同じ内容でも、“親子の歴史”が乗らない分、子どもが受け取りやすいことがあります。
親は「言っても聞かない」から解放され、子どもは「できた」を積みやすい。結果的に、家庭に戻ってからも流れが良くなることが多いです。

例2:親が疲れている日ほど、子どもは不安定になる(そして悪循環)

親がヘトヘトの日、子どもが荒れる。これは珍しい現象ではありません。
子どもは親の表情・声色・反応速度から「今日は余裕がない」を敏感に読み取ります。すると、確認行動(甘え、試し、癇癪)が増えやすい。

ここで第三者が入って親が休めると、翌日以降の立て直しが一気にラクになります。
「今夜だけでも誰かに任せる」は、贅沢ではなく、むしろ家庭の機能を守る投資です。


例3:発達特性が絡むと、“家庭だけの工夫”では限界が来やすい

感覚の過敏さ、切り替えの難しさ、こだわりの強さなど、子どもの特性が絡むと、親の工夫だけで回し続けるのは相当な負荷です。
第三者が入ると、観察の視点が増えます。「この子は何でつまずいている?」「前段階の土台は何?」を整理しやすくなり、対応が“根性”から“設計”に変わります。


日本の子育てに必要なのは「頼る技術」と「頼っていい空気」

アメリカと日本を比べると、子育ての正解が見えるというより、子育てを支える“構造”の差が見えてきます。
虐待・ネグレクトに敏感で、通報や介入の仕組みが強いこと。
ベビーシッターや第三者を生活設計に組み込みやすいこと。
そして何より、「親だけで抱えない」前提があること。

日本でも、相談ダイヤルや法制度は整いつつあります。
次に必要なのは、文化として「頼っていい」「分担していい」を当たり前にしていくことだと思います。


パパママからよくある質問3つ

Q1. ベビーシッターに頼ると、親の愛情が薄いと思われませんか?

いいえ、必ずしもそうではありません。
むしろ、親が心身の余裕を取り戻すことで、子どもに向き合う質が高まるケースは多くあります。アメリカでは「預ける=愛情不足」ではなく、「家庭の機能を保つための合理的な選択」と捉えられています。子どもにとっても、信頼できる大人が複数いることは安心材料になります。


Q2. 第三者が入ることで、子どもが混乱してしまうことはありませんか?

適切な関わり方であれば、混乱よりもプラスに働くことが多いです。
親子関係はとても近い分、感情が絡みやすくなります。第三者はその距離感を調整する役割を果たし、子どもが落ち着いて話を聞いたり、新しい行動に挑戦したりするきっかけになります。結果的に、家庭内のやりとりがスムーズになることも少なくありません。


Q3. 日本でも、本当にベビーシッター文化は必要なのでしょうか?

必要性は年々高まっていると考えられます。
共働き世帯の増加、核家族化、育児情報の高度化により、親の負担は確実に増えています。すべてを家庭内で完結させるのではなく、第三者の力を上手に使うことで、親も子どもも健やかに過ごせる環境をつくることが、これからの日本の子育てには求められていると言えるでしょう。


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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)

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