フロイトの発達理論 幼児教育の原点から考える「子どもの心の成長」
幼児教育や子育てについて調べていくと、
「ピアジェ」「ヴィゴツキー」「ゲゼル」といった発達理論の名前に出会います。
これらは、現代の教育や保育の考え方の土台にもなっている重要な理論です。
では、そのさらに“原点”にあたる人物は誰でしょうか。
それが、精神分析の創始者であるフロイトです。
フロイトの理論は、現代の幼児教育の現場でそのまま使われているわけではありません。
しかし、「子どもの行動や心の動きは、目に見える言動だけでは説明できないのではないか」という問いを、
初めて本格的に提示した存在でもあります。
本記事では、
これまで触れてきたヴィゴツキー・ピアジェ・ゲゼルの理論を踏まえつつ、
あえて“原点”であるフロイトに立ち返り、
現代の幼児教育と子どもの成長に、どのように読み替えられるのかを考えていきます。
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フロイトとはどんな人物か ― 心の世界を「見えないもの」として捉えた先駆者
フロイト(1856–1939)は、オーストリアの精神科医であり、
精神分析という心理学の大きな潮流を生み出した人物です。
当時は、
「人間の行動は理性で説明できる」
という考え方が主流でした。
その中でフロイトは、
「人の行動の背後には、本人も気づいていない“無意識”の働きがある」
と主張しました。
この発想は、現代の感覚から見ると当たり前に聞こえるかもしれません。
しかし当時としてはかなり大胆な発想であり、
“心の見えない部分”に光を当てたという点で、フロイトは心理学史の原点に位置づけられています。
参考:ジークムント・フロイト(wikipedia)
フロイトの「性の発達段階説」とは何か
フロイトの理論の中でも有名なのが、
**「性の発達段階説」**です。
ここでいう「性」とは、
単なる性的行為の意味ではなく、
「快を求める心のエネルギー(リビドー)」という広い意味で使われています。
フロイトが考えた発達段階(簡単なまとめ)
| 段階 | 主なおおよその年齢 | 特徴 |
|---|---|---|
| 口唇期 | 0〜1歳 | 口を使った感覚(吸う・噛むなど) |
| 肛門期 | 1〜3歳 | 排泄のコントロールを通した自己主張 |
| 男根期 | 3〜6歳 | 自分の身体への関心 |
| 潜伏期 | 学童期 | 性的関心が一時的に落ち着く |
| 性器期 | 思春期以降 | 成熟した対人関係・性の発達 |
フロイトは、
それぞれの時期に適切に満たされない経験があると、
大人になってからの性格や行動のクセに影響する可能性があると考えました。
フロイト理論は、現代の幼児教育ではどう扱われているのか
結論から言えば、
フロイトの理論は、現代の幼児教育の現場で“実践理論”として使われているわけではありません。
理由は主に以下の点にあります。
- 科学的な実証が難しい
- 性の側面を重視しすぎている
- 文化や時代背景の影響が強い
現代の幼児教育は、
ピアジェの「認知発達」
ヴィゴツキーの「社会的相互作用」
ゲゼルの「成熟のリズム」
といった理論を組み合わせ、
より多面的に子どもの成長を捉えています。
そのため、
「この子の行動はフロイト的にいうと○○期だから…」
といった形で直接当てはめることは、実用的ではありません。

それでもフロイトが“原点”として重要な理由
では、フロイトの理論は、現代ではもう不要なのでしょうか。
答えは「いいえ」です。
フロイトが提示した最大の価値は、
「子どもの行動の背後には、本人も言葉にできない心の動きがある」
という視点そのものにあります。
たとえば、
・些細なことで癇癪を起こす子
・急に甘えが強くなる子
・理由を言葉で説明できずに泣く子
こうした姿を見たとき、
大人はつい「わがまま」「困った行動」と捉えがちです。
しかし、フロイト的な視点を“現代風に読み替える”と、
そこには次のような問いが生まれます。
この子は、今どんな気持ちを抱えているのだろうか。
言葉にできない不安や欲求が、行動として表れているのではないか。
この「行動の裏にある心を想像する姿勢」は、
現代の幼児教育や子育てにおいても非常に重要な視点です。
幼児教育の現場での具体的な読み替え例
かんしゃくを起こす子どもの例
たとえば、
4歳の子どもが「おもちゃを片づけて」と言われた瞬間に激しく泣き出したとします。
フロイト理論をそのまま使えば、
「発達段階の葛藤が…」といった解釈になりがちですが、
現代の幼児教育では、次のように考えます。
- まだ気持ちの切り替えが難しい発達段階かもしれない(ピアジェ的視点)
- 大人の関わり方次第で行動は変わる(ヴィゴツキー的視点)
- そもそも今日は疲れていて、情緒が不安定だった可能性もある(ゲゼル的視点)
ここにフロイトの“原点的視点”を重ねると、
「この子の内側では、どんな気持ちが動いているのだろう」と
一歩踏み込んで考えることができます。
フロイトと現代理論の違いを整理する
| 観点 | フロイト | 現代の幼児教育理論 |
|---|---|---|
| 発達の中心 | 無意識・欲動 | 認知・関係性・環境 |
| 子どもの理解 | 内面の力動を重視 | 発達段階+環境との相互作用 |
| 実践への応用 | 直接的な活用は難しい | 日常の関わりに落とし込みやすい |
この違いを知っておくことで、
理論を“信仰”せず、
子ども理解のための「視点の道具」として使うことができます。
まとめ:フロイトは「使う理論」ではなく「考え方の原点」
フロイトの性の発達段階説は、
現代の幼児教育にそのまま適用できる理論ではありません。
しかし、
「子どもの行動には、その子なりの内面世界がある」
という問いを私たちに残しました。
現代の幼児教育は、
ピアジェ・ヴィゴツキー・ゲゼルといった理論によって、
より実践的で現実的な形へと進化しています。
それでもなお、
フロイトという“原点”に立ち返ることは、
子どもを単なる行動の結果として見るのではなく、
「心をもつ存在」として理解しようとする姿勢を思い出させてくれます。
理論に振り回されるのではなく、
理論を通して“目の前の子どもを見る解像度”を高める。
それこそが、幼児教育において本当に大切なことなのかもしれません。
教育アドバイザーアトム先生も経験だけではなく、こういった理論も大事にしています。
経験だけだと自分の価値観のみによる子育て・教育に陥りがちになります。
経験、理論様々な形での柔軟なアプローチが子育て、教育には必要です。
Q&A3問
Q1. フロイトの性の発達段階説は、現代の幼児教育でも使えますか?
フロイトの理論は、現代の幼児教育の現場でそのまま実践的に使われているわけではありません。科学的な実証が難しく、性の側面を重視しすぎている点が課題とされています。ただし、「子どもの行動の背後には内面の心の動きがある」という視点は、現代の子ども理解にも通じる重要な考え方です。
Q2. フロイトの理論を学ぶことに、子育てや保育の現場で意味はありますか?
フロイトの理論をそのまま当てはめることはおすすめできませんが、「行動の背景にある子どもの気持ちや不安を想像する姿勢」を学ぶ点では意味があります。子どもの問題行動を表面的に叱るのではなく、内面のサインとして受け止める視点をもつことで、より丁寧な関わりにつながります。
Q3. ピアジェ・ヴィゴツキー・ゲゼルと比べて、フロイトはどのように位置づければよいですか?
フロイトは「現代理論の実践的な指針」というより、「子どもの心を内面から理解しようとした原点」として位置づけるとよいでしょう。ピアジェは認知発達、ヴィゴツキーは社会的関係、ゲゼルは成熟のリズムを重視しますが、フロイトは“心の見えない部分”に注目した点で、発達理解の出発点となる存在です。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)