子どもが考えて行動するために ワーキングメモリとの関係
ワーキングメモリの重要性
「言われたことは分かっているはずなのに、すぐ忘れてしまう」
「考える前に動いてしまい、失敗が多い」
「途中までできていたのに、急に混乱する」
こうした子どもの姿に、戸惑いや不安を感じたことはないでしょうか。
実はこれらの背景には、ワーキングメモリという脳の働きが深く関わっています。
ワーキングメモリは、単なる「記憶力」ではありません。
**考えながら行動するための、いわば“脳の作業台”**のような役割を担っています。
以前にもワーキングメモリについて触れましたが、
今回はその中でも、特に幼児期・学童期に重要な「視空間性ワーキングメモリ」を中心に、
ワーキングメモリの仕組みと育て方を詳しくお伝えします。
目次
- ワーキングメモリとは何か
- ワーキングメモリには2種類ある
- ワーキングメモリが働かないと何が起こるのか
- ワーキングメモリの容量が少ないとどうなるか
- ワーキングメモリを育むための具体的な方法
- まとめ:考えながら行動する力は、経験で育つ
1.ワーキングメモリとは何か
改めてワーキングメモリについておさらいしておきます。
情報を一時的に保持しながら、同時に処理する力のことを指します。
たとえば、こんな場面を想像してください。
子どもが
「靴をそろえて、カバンを持って、玄関に来てね」
と言われたとします。
このとき子どもは、
・靴をそろえる
・カバンを持つ
・玄関に行く
という複数の情報を頭の中に置きながら、順番に行動します。
この**「覚えながら動く」**ときに使われているのが、ワーキングメモリです。
単に覚えるだけでなく、
今何をしていて、次に何をするかを考え続ける力。
それがワーキングメモリの本質です。
※以前書いたワーキングメモリについての記事です。
【子どもの記憶の土台】学習に不可欠なワーキングメモリ
2.ワーキングメモリには2種類ある
ワーキングメモリには、大きく分けて2つのタイプがあります。
言語性ワーキングメモリ
言語性ワーキングメモリは、
言葉を理解したり、頭の中で言葉を操作したりするときに使われます。
たとえば、
・先生の説明を聞きながら内容を理解する
・文章を読んで意味をつかむ
・暗算をするときに数字を頭の中で保持する
こうした場面では、言語性ワーキングメモリが働いています。
視空間性ワーキングメモリ
一方で、今回のテーマである視空間性ワーキングメモリは、
目で見た情報や位置関係、動きを頭の中で扱う力です。
たとえば、
・黒板を見てノートに書き写す
・折り紙の手順を見て真似する
・ブロックやパズルで形を組み立てる
これらはすべて、視空間性ワーキングメモリが活躍している場面です。
幼児期の遊びや生活動作では、
実はこの視空間性ワーキングメモリが非常に多く使われています。
3.ワーキングメモリが働かないと何が起こるのか
ワーキングメモリが十分に働かないと、
子どもは「考える前に動く」状態になりやすくなります。
たとえば、
・順番を考えずに行動してしまう
・途中で目的を忘れてしまう
・衝動的に手が出てしまう
これは性格の問題ではありません。
頭の中で情報を保ち続けられないため、行動が先に出てしまうのです。
その結果、
「失敗が多い」
「注意されることが増える」
という悪循環に入りやすくなります。
※ワーキングメモリはメタ認知にも関連しています。
自分を知る力 メタ認知までの道のり

4.ワーキングメモリの容量が少ないとどうなるか
ワーキングメモリには、個人差(容量の違い)があります。
容量が少ないと、
・一度に処理できる情報が少ない
・途中で混乱しやすい
・マルチステップの指示が苦手
といった特徴が出やすくなります。
たとえば、
「このプリントをやって、終わったら机に出して、次は本を読んでね」
という指示が、一気に難しく感じられます。
これは怠けているのではなく、
処理できる量を超えてしまっている状態です。
5.ワーキングメモリを育むための具体的な方法
ワーキングメモリは、生まれつき決まるものではありません。
日々の経験や関わりの中で、少しずつ育っていく力です。
特に視空間性ワーキングメモリを育てるには、
「目で見て、考えて、動く」経験がとても効果的です。
たとえば、
・積み木やブロック遊び
・パズル
・迷路
・折り紙
・見本を見て同じものを作る遊び
こうした活動は、
情報を保持し、順序を考え、修正しながら進める力を自然に育てます。
また、日常生活の中では、
指示を短く・分かりやすく区切ることも大切です。
「一度に全部」ではなく、
「まずこれ」「次はこれ」
と段階を踏むことで、成功体験が増えます。
6.まとめ:考えながら行動する力は、経験で育つ
ワーキングメモリは、
学習の土台であり、
社会生活の土台でもあります。
特に視空間性ワーキングメモリは、
幼児期の遊びや生活の中で大きく伸びる力です。
「落ち着きがない」
「失敗が多い」
と感じるときこそ、
叱る前に「脳の働き」に目を向けてみてください。
考えながら行動する力は、
安心できる関わりと、ちょうどよい経験の積み重ねで育っていきます。
参考:ワーキングメモリ(wikipedia)
パパママからよくある質問3つ
Q1.ワーキングメモリが弱いと、将来の学習に影響しますか?
影響が出る可能性はありますが、悲観する必要はありません。
ワーキングメモリは「生まれつき固定された力」ではなく、経験によって育つ力です。特に幼児期から学童期にかけては、遊びや生活の中で十分に伸ばすことができます。早めに特性に気づき、関わり方を工夫することが何より大切です。
Q2.落ち着きがないのは、ワーキングメモリが関係していますか?
関係していることは少なくありません。
ワーキングメモリが十分に働かないと、「考える前に動く」「途中で目的を忘れる」といった行動が増えます。その結果、衝動的に見えたり、落ち着きがないように感じられることがあります。性格やしつけの問題と決めつける前に、脳の働きとして捉える視点が重要です。
Q3.家庭でできる、一番効果的な関わりは何ですか?
情報量を減らし、成功体験を積ませることです。
一度に多くの指示を出すのではなく、「まず一つ」「できたら次」という形で関わることで、ワーキングメモリへの負荷を下げることができます。特に視空間性ワーキングメモリは、ブロックやパズル、見本を見て真似する遊びの中で自然に育ちます。
☆ご希望の方はオンライン15分何でも相談(無料)をご利用ください。
〇 無理な勧誘なし 〇 パパ・ママどちらの参加も歓迎 〇カメラOFFでもOK 〇LINE通話で実施
※お申込みは公式ライン、もしくはお問い合わせフォームから「無料面談希望」と記入してご連絡ください。
☆体験ベビーシッター(2,000円/1時間 ※特別価格(税込)最大4時間)も募集しています。
体験後にすぐご入会いただく必要はありません。
幼児教育は「今しかできない」貴重な教育です。
今しかできない「幼児教育」──リコポ幼児教育が選ばれる理由
ご家庭に合った最適なサポート方法を、ゆっくり一緒に考えていきましょう。
執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)