子どもが“道徳”を身につけるとは?
ルールとの違いから考える、やさしさと公平さの育て方
前々回の記事では「話し合う力」、前回の記事では「決まり・ルールを守ること」について取り上げました。
では、その先にある「道徳を守る」とは、子どもにとってどのような意味を持つのでしょうか。
ルールは「守るべき決まり」であり、破れば注意される対象です。
一方、道徳は「誰かを思いやる」「弱い立場の人に配慮する」「自分だけよければいいという考えを抑える」といった、目に見えにくい“心のあり方”に関わるものです。
弱いものいじめをしない、困っている人に手を差し伸べる、高齢者に席を譲る。
こうした行動の背景には、「してはいけないから」ではなく、「相手の気持ちを考えたい」「人にやさしくするのは気持ちがいい」という内側の動機があります。
この記事では、ルールと道徳の違いを整理しながら、文部科学省が示す道徳の4つの視点を手がかりに、子どもの道徳心を育てる大人の関わり方を考えていきます。
目次
- ルールを守ることと、道徳を守ることの違い
- 子どもが道徳を守る姿とは(具体例)
- 文部科学省が示す「道徳の4つの視点」
- 子どもはもともと「弱いものいじめはだめ」と感じている
- 道徳を“他者非難の根拠”にしないために
- 公平な視点を育てる大人の関わり
- 家庭の中で育つ道徳心──助け合いと役割意識
ルールを守ることと、道徳を守ることの違い
ルールと道徳は似ているようで、性質が異なります。
ルールは「決められた約束事」であり、守らなければ注意や制限が生じます。
一方、道徳は「こうありたい」「こうするのが望ましい」という価値観で、内面の判断に基づく行動です。
たとえば、
「赤信号で止まる」はルールです。
「困っている人を見たら助けたい」は道徳です。
子どもが「叱られるからやらない」段階から、「相手が悲しむからやらない」「そうしたくない」段階へ移っていくことが、道徳心の育ちといえます。
子どもが道徳を守る姿とは
子どもの日常の中にも、道徳心が表れる場面はたくさんあります。
友だちが泣いていると声をかける、年下の子におもちゃを譲る、困っている大人に席を譲ろうとする。
これらは「やりなさい」と言われなくても、自分の気持ちとして自然に出てくる行動です。
こうした経験を通して、子どもは「人にやさしくすると、自分の気持ちもあたたかくなる」という感覚を少しずつ学んでいきます。
道徳は“正解を覚えること”ではなく、“人との関係の中で感じ取っていくもの”です。
文部科学省が示す「道徳の4つの視点」
文部科学省は、道徳の学びを次の4つの視点から整理しています。これは、子どもの発達段階に応じて育てていく目標として示されています。
① 自分自身に関すること
正直であること、努力すること、自分の行動に責任を持つことなどが含まれます。
「うまくいかなくても投げ出さない」「間違えたら認める」といった態度は、自己を律する道徳心の基礎です。
② 人との関わりに関すること
思いやり、感謝、相手の気持ちを考える姿勢などです。
友だちにやさしくする、困っている人に気づくといった行動は、ここに位置づけられます。
③ 集団と社会とのかかわりに関すること
約束や役割を守る、公共の場でのマナーを意識するなど、集団の中で生きるための道徳です。
自分だけでなく「みんなが気持ちよく過ごせるか」を考える視点が育ちます。
④ 生命・自然・崇高なものとの関わりに関すること
命の大切さ、自然への畏敬の念、美しいものや尊いものに心を動かされる感性などが含まれます。
生き物にやさしく接する、自然を大切にする態度は、道徳の土台となる感覚です。
参考:学校教育における道徳教育の意義・内容(文科省公式)
子どもはもともと「弱いものいじめはだめ」と感じている
多くの子どもは、理屈として教えられる前から、「弱いものをいじめるのはよくない」という感覚を持っています。
友だちが泣いていると胸が痛む、誰かが仲間外れにされていると気になる。
こうした感情は、人が本来持っている共感の芽生えです。
この感覚を「気のせい」にせず、「今、どう感じた?」と大人が言葉にして確認してあげることで、道徳心はより意識的なものへと育っていきます。
※関連する記事です。子どもの戦隊シリーズは長らく子どもの道徳心に影響を与えてきました。
2025年戦隊シリーズ終了と子どもの教育について

道徳を“他者非難の根拠”にしないために
道徳には大切な側面がある一方で、扱い方を誤ると「自分は正しい、相手は間違っている」という二項対立に陥りやすくなります。
特に現代のSNSでは、「正義」の名のもとに相手を強く非難し、集団で攻撃する状況が見られることもあります。
道徳は他者を裁くための道具ではなく、自分自身の行動を振り返るためのものです。
「正しいから相手を叩いてもいい」という考え方にならないよう、公平な視点や、立場の違いを想像する姿勢を大人が示していく必要があります。
公平な視点を育てる大人の関わり
子どもの道徳心は、大人の関わり方の中で育ちます。
兄弟姉妹や友だち関係の中で、どちらか一方だけをえこひいきせず、公平に扱う姿勢はとても大切です。
また、助け合いの経験も道徳心を育てます。
家庭の中での簡単なお手伝いは、「自分も誰かの役に立てる」という実感を与え、他者への配慮につながります。
※お手伝いは家庭でできるお互いを助け合い、自分も役にたつという意識を育てます。
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家庭の中で育つ道徳心──助け合いと役割意識
「自分だけよければいい」という考え方は、自然に育つものではありません。
家族の中で役割を持ち、助け合う経験を積むことで、「自分はこの集団の一員であり、支え合って生きている」という感覚が育ちます。
大人が率先して「ありがとう」「助かったよ」と言葉にする姿は、子どもにとって最も分かりやすい道徳のモデルです。
道徳は教え込むものではなく、日常の関わりの中で“感じて身につけていくもの”だと言えるでしょう。
※関連記事です。
「共感性」を養う幼児教育 「思いやりのある子ども」は幸福度が高い
Q&A三問
Q1.「ルールを守ること」と「道徳を守ること」は何が違いますか?
ルールは決まりごとを守る行為、道徳は相手の気持ちを考え自ら「そうありたい」と選ぶ心のあり方です。叱られるから守る段階から、相手を思いやるから行動する段階へ移ることが道徳心の育ちです。
Q2.子どもは本当に“弱いものいじめはだめ”と分かっていますか?
多くの子どもは共感の芽を持っています。友だちが泣くと胸が痛むなどの感情がその証です。大人が「今どう感じた?」と気持ちを言語化してあげると、道徳心がより意識的に育ちます。
Q3.道徳を理由に他人を強く非難する子が心配です。どう関われば?
道徳は他者を裁く道具ではなく、自分の行動を省みる指針だと伝えましょう。立場の違いを想像する視点や公平さを大人が示すことで、「正義」で人を傷つけない姿勢が育ちます。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)