子どもの「がまんの心」の育て方
自己主張の先に、自己抑制は育っていく
「もう少し、がまんしなさい」
子育ての中で、誰もが一度は口にする言葉です。
順番を待てない。
欲しいものをすぐに手に入れたがる。
気持ちを抑えきれず、泣いたり怒ったりする。
そんな姿を見ると、
「がまんできる子になってほしい」
と願うのは自然なことです。
しかし実は、がまんの心は、教え込んで育つものではありません。
そして何より、
自己主張を飛ばして、自己抑制は育たない
という大切な発達の順序があります。
今回は、
「自己主張」と「自己抑制」の違いを整理しながら、
子どものがまんの心がどのように育っていくのかを考えていきます。
目次
- 「がまん=自己抑制」とはどういうことか
- 自己主張とは何か ― 発達のはじまり
- 自己抑制とは何か ― 後から育つ力
- 自己主張のあとに、自己抑制が育つ理由
- まず子どもの主張を「聴く」ことが重要
- 自己主張と自己抑制をバランスよく育てる
- まとめ:がまんは、安心の上に育つ
1. 「がまん=自己抑制」とはどういうことか
「がまんできる子」という言葉はよく使われますが、
その中身が曖昧なまま語られることが少なくありません。
ここでいう「がまん」とは、
単に我慢させる、我慢を強いる、という意味ではありません。
心理学的には、
がまん=自己抑制(セルフコントロール)
と考えます。
自己抑制とは、
- 自分の気持ちを感じた上で
- 状況や相手を考え
- 行動を調整できる力
です。
つまり、
「感じない」ことでも
「言わない」ことでもなく、
「分かった上で、選ぶ」こと
が自己抑制なのです。
2. 自己主張とは何か ― 発達のはじまり
自己主張とは、
「自分にはこうしたい気持ちがある」
「これはイヤだ」「これは好きだ」
と表現する力です。
年齢と自己主張の関係
自己主張は、とても早い段階から現れます。
- 0〜1歳頃:
泣くことで不快・快を伝える - 1〜2歳頃:
指差し、簡単な言葉で「イヤ」「ちょうだい」 - 2〜3歳頃:
いわゆるイヤイヤ期
イヤイヤ期は、
「困った時期」ではなく、
自己主張が大きく伸びている証拠です。
この時期の「イヤ!」は、
単なる反抗ではありません。
「自分の気持ちがある」
「自分で決めたい」
という、心の成長の表れです。
※イヤイヤ期に関しての関連記事です。
「イヤイヤ期」はなぜ起こるの?―心の発達に欠かせない大切な時期―

3. 自己抑制とは何か ― 後から育つ力
一方、自己抑制は、
自己主張よりも後に育つ力です。
一般的に、
- 3〜4歳頃から芽生え
- 5〜6歳頃に少しずつ安定し
- 学童期以降も発達を続ける
と考えられています。
自己抑制には、
- 他人の気持ちを想像する力
- ルールや順番の理解
- 時間的な見通し
など、複数の認知的・情緒的な力が必要です。
つまり、
幼児に大人と同じ「がまん」を求めるのは、発達的に無理がある
ということでもあります。
※関連記事です。
サリー・アン課題でわかる「他人の心を読む力」子どもの“心の理論”
4. 自己主張のあとに、自己抑制が育つ理由
なぜ、自己主張のあとに自己抑制が育つのでしょうか。
理由はとてもシンプルです。
「他人にも気持ちがある」と気づくため
子どもはまず、
「自分はこう思う」
「自分はこう感じる」
ことを十分に経験する必要があります。
その上で、
- 相手にも気持ちがある
- 世の中にはルールがある
- すべてが思い通りにはならない
ことに、少しずつ気づいていきます。
具体例
たとえば、
公園のブランコで遊びたい子ども。
- 「今すぐ乗りたい!」(自己主張)
- 「順番を待っている子がいる」(他者の存在)
- 「待てば次に乗れる」(ルールの理解)
この積み重ねの中で、
「今は待とう」
という自己抑制が生まれます。
自己主張を十分に表現できなかった子は、
そもそも「抑制する土台」が育ちません。
5. まず子どもの主張を「聴く」ことが重要
自己抑制を育てる上で、
もっとも大切なのは
子どもの主張を、まず聴くことです。
愛着との深い関係
子どもが、
「自分の気持ちを聴いてもらえた」
「分かろうとしてもらえた」
と感じる経験は、
愛着の安心感につながります。
この安心感があると、子どもはこう思えるようになります。
「自分は大切にされている」
↓
「他の人も大切にしたい」
↓
「だから、がまんしよう」
ここで重要なのは、
要求が通るかどうかではありません。
通らなかったとしても、
- 耳を傾けてもらえた
- 気持ちを言葉にしてもらえた
この体験が、
子どもの心に安心の貯金を残します。
6. 自己主張と自己抑制をバランスよく育てる
では、実際にどのように関わればよいのでしょうか。
ポイントは、
どちらか一方を抑え込まないことです。
- 自己主張ばかりで、制限がない
- 自己抑制ばかりで、気持ちを聴かれない
どちらも、子どもの心には負担になります。
大人ができるのは、
- 気持ちは受け止める
- 行動には必要な枠をつくる
という二つを同時に行うことです。
たとえば、
「今すぐ欲しいんだよね。そう思うのは自然だよ。
でも今日は買わないよ。」
このように、
気持ちとルールを切り分ける
関わりが、自己抑制を育てます。
だだこね・自己主張が強い子への最適な関わり方
7. まとめ:がまんは、安心の上に育つ
子どものがまんの心は、
- 叱られて
- 抑え込まれて
- 言わせないことで
育つものではありません。
まず必要なのは、
「言ってもいい」「聴いてもらえる」
という安心感です。
- 自己主張が認められ
- 愛着が満たされ
- 他者の存在に気づき
- 少しずつ調整できるようになる
この順序を大切にすることが、
結果的に「がまんできる子」を育てます。
もし少しだけユーモアを添えるなら、
がまんは「根性」ではなく、成熟です。
焦らず、順番を大切に育てていきましょう。
参考リンク
今日のおさらいQ&A3問
Q1.「がまんできる子」にするためには、自己主張を減らした方がいいですか?
いいえ、逆です。自己主張は、がまん(自己抑制)の土台になります。「イヤ」「やりたい」という気持ちを十分に表現できた子ほど、その後に「待つ」「譲る」「調整する」といった自己抑制が育ちやすくなります。自己主張を抑え込むと、がまんの心は育ちにくくなります。
Q2.イヤイヤ期の強い自己主張は、将来わがままになるサインですか?
将来のわがままを意味するものではありません。イヤイヤ期は、自分の気持ちに気づき、表現できるようになった発達段階です。この時期に気持ちを受け止めてもらった経験は、「自分は大切にされている」という安心感につながり、結果として他者を思いやる力や自己抑制の発達を助けます。
Q3.要求が通らなくても、子どもの気持ちを聴く意味はありますか?
大いにあります。要求が通るかどうかよりも、「気持ちを分かろうとしてもらえた」経験が重要です。耳を傾けてもらえた子どもは安心感をもち、「他の人の気持ちも大切にしよう」「今はがまんしよう」という内側からの自己抑制につながっていきます。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)