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子どもの「ひとりごと」は心が育っている証拠

子どもの「ひとりごと」は心が育っている証拠

おもちゃで遊びながら、
ブロックを積みながら、
あるいは寝る前に、

子どもが誰もいないのに、ひとりで話している。
そんな姿を見て、

「これって大丈夫なの?」
「空想が強すぎるのでは?」
「注意したほうがいい?」

と、不安になったことはありませんか。

その「ひとりごと」こそ、子どもの心と思考が大きく育っている証**です。
そして成長とともに、自然と減っていくものでもあります。

今回は、発達心理学の代表的な理論である
ジャン・ピアジェと
レフ・ヴィゴツキーの考えをもとに、
「子どものひとりごと」が持つ意味を、やさしく解説していきます。


目次

  1. 子どもの「ひとりごと」は成長の途中にある自然な姿
  2. ピアジェが考えた「ひとりごと」――自己中心性という視点
  3. 社会性が育つと、ひとりごとはどう変わるのか
  4. ヴィゴツキーの「ひとりごと」論――外言と内言
  5. 外言とは何か?子どもが声に出して考える理由
  6. 内言とは何か?頭の中の「もう一人の自分」
  7. ひとりごとは、内言へ向かう大切な通過点
  8. ひとりごとは思考を整理するための道具
  9. 内言はいつごろ育つのか
  10. 成長の過程で、私たち大人にできること

1. 子どもの「ひとりごと」は成長の途中にある自然な姿

まず大前提としてお伝えしたいことがあります。

子どものひとりごとは、異常でも問題行動でもありません。
むしろ、心・言葉・思考がしっかり発達しているサインです。

特に幼児期(3〜6歳ごろ)は、
考えることと話すことがまだ完全に分かれていません。

「考える=話す」
この状態が、ひとりごととして表に出ているのです。


2. ピアジェが考えた「ひとりごと」――自己中心性という視点

ピアジェの「自己中心性」とは

ピアジェは、幼児期の子どもの思考の特徴として
**「自己中心性(エゴセントリズム)」**を挙げました。

これは「わがまま」という意味ではありません。

  • 自分の視点が中心になりやすい
  • 他者の立場を同時に考えることがまだ難しい

という、発達段階として自然な状態を指します。

ピアジェにとっての「ひとりごと」

ピアジェは、子どものひとりごとを
「相手に伝えることを目的としない言葉」
と捉えました。

つまり、

  • 聞いてもらうためではない
  • 会話として成立することを目的としていない

このため彼は、
「社会性が発達してくると、ひとりごとは減っていく」
と考えました。

※ピアジェは発達教育に関しての代表な研究者です。ブログにも「ピアジェの発達理論」のカテゴリーでまとめてあります。
 子どもは“小さな科学者” ピアジェの発達段階理論と幼児教育の関係

ピアジェの発達段階理論

3. 社会性が育つと、ひとりごとはどう変わるのか

ピアジェの理論では、

  • 他者の存在を強く意識するようになる
  • 会話が「相手ありき」になる

ことで、ひとりごとは次第に減少します。

実際、成長とともに

  • 友だちとの会話が増える
  • 相手の反応を見ながら話すようになる

と、独り言の頻度は自然と下がっていきます。

これは成長が止まったからではなく、社会性が育った結果です。
※関連の記事です。
 【幼児期から育てる論理的思考力】“考える力”の伸ばし方


4. ヴィゴツキーの「ひとりごと」論――外言と内言

一方で、ヴィゴツキーは
ピアジェとは少し違う視点から、ひとりごとを捉えました。

彼は言葉を、次の2つに分けて考えました。

  • 外言(がいげん)
  • 内言(ないげん)

そして、ひとりごとはこの橋渡しだと考えたのです。

※ヴィゴツキーも発達教育において最重要人物の一人です。最近接領域という言葉も有名です。
 「できそうで、できない」が重要  個別教育がもたらす子どもの飛躍

最近接領域の画像

5. 外言とは何か?子どもが声に出して考える理由

外言の意味

外言とは、
他者とのやりとりのために使う言葉です。

たとえば、

「これ貸して」
「次はぼくの番だよ」
「ママ、見て!」

など、相手に向けて発せられる言葉です。


ひとりごとに見える外言の例

幼児期には、

「これはここで……あ、違う」
「こうしたら、できるかな?」

と、まるで自分に話しかけるような外言が多く見られます。

これは、
思考を外に出して整理している状態です。


6. 内言とは何か?頭の中の「もう一人の自分」

内言の意味

内言とは、
声に出さず、頭の中で行われる言葉です。

大人が、

「どうしようかな」
「さっきの言い方、まずかったかな」

と心の中で考えるとき、使っている言葉です。


内言の特徴

内言は、

  • 省略されている
  • 自分にしか分からない
  • とても速い

という特徴があります。

そしてこれは、成長の結果として身につく力です。


7. ひとりごとは、内言へ向かう大切な通過点

ヴィゴツキーは、こう考えました。

ひとりごとは消えるのではない。
内言へと「変化」していく。

つまり、

  • 声に出していた思考
  • 自分に話しかける言葉

が、成長とともに頭の中へ移動するのです。

だから、ひとりごとが減ることは
考える力が弱くなった証ではありません。

むしろ、
考える力が内側に根づいた証なのです。


8. ひとりごとは思考を整理するための道具

子どもは、話すことで考えています。

  • どうしたらいいか
  • 何が問題なのか
  • 次に何をするか

それを言葉にすることで整理しています。

ひとりごとは、

  • 思考の交通整理
  • 感情のクールダウン
  • 行動の計画

といった役割を果たしています。


9. 内言はいつごろ育つのか

内言が本格的に育ち始めるのは、
おおよそ小学校低学年以降と言われています。

ただし、年齢には大きな個人差があります。

  • ひとりごとが長く続く子
  • 早く内言化する子

どちらも問題ありません。

大切なのは、
その子なりのペースで思考が育っていることです。


10. 成長の過程で、私たち大人にできること

ひとりごとを聞いたとき、
無理に止める必要はありません。

「うるさいからやめなさい」
「一人でぶつぶつ言わないの」

こうした言葉は、
思考を整理する大切な時間を奪ってしまうことがあります。

おすすめなのは、

  • そっと見守る
  • 必要なら「今、考えてるんだね」と受け止める

それだけで十分です。

ひとりごとは、
子どもが自分の力で考えようとしている姿なのですから。


関連リンク(参考)


まとめ

子どものひとりごとは、

  • 成長の証
  • 思考が育っているサイン
  • 内言へ向かう大切な通過点

です。

減っていくことも、
続くことも、
どちらも「順調な発達の途中」。

今日、もしお子さんがひとりで話していたら、
それはきっと、心の中で一生懸命考えている証拠です。


パパママからよくある質問3つ

Q1. 子どものひとりごとが多いのですが、注意したほうがいいですか?

注意する必要はありません。
子どものひとりごとは、考えや気持ちを整理している最中に自然と出てくるものです。特に幼児期は「考えること=話すこと」がまだ分かれていないため、声に出して思考している状態といえます。無理に止めず、そっと見守ることが大切です。


Q2. 成長すると、ひとりごとは本当になくなるのでしょうか?

多くの場合、成長とともに減っていきます
これは、考えを声に出さなくても、頭の中(内言)で整理できるようになるためです。ひとりごとが減るのは、思考力や社会性が育った結果であり、発達が遅れているわけではありません。


Q3. ひとりごとが長く続いても問題はありませんか?

基本的には問題ありません。
内言へ移行する時期には個人差が大きく、ひとりごとが長く続く子もいます。それは「考える力が外に表れている」だけのことです。日常生活や対人関係に支障がなければ、心配せず見守って大丈夫です。


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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)

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