見て動く力とボディイメージ 中層発達を遊びで育てるヒミツ

前回の「感覚統合」の記事の続きです。今回は「見て動く力とボディイメージ」です。発達ピラミッドの中間層に焦点を当てます。下層が育ってきたら、次は中間層にアプローチです。
(前回のピラミッド下層にあたる「感覚統合」の記事です。)
https://lycopo.com/幼児教育は学びの土台づくり%e3%80%80基礎感覚・身体調/)
見て・感じて・からだを動かす――この「見て動く力」こそ発達ピラミッドの中間部分にあたります。目で見たものを体でキャッチする瞬間、子どもの脳と体が『協応』し、世界とのつながりが深まり、学びのステージが一段階アップします。視覚と運動がシンクロすると、自信や集中力、さらには社会性まで動き出す――それが感覚統合の次のステップ、「中層」の重要性です。
今回はこの「見て動く力」や「ボディイメージの強化」が持つパワーと、その育て方をまるごとご紹介します。遊びながらにしてできる、楽しくてすぐ使えるヒントもお伝えします!
(子どもの成長の発達ピラミッドについてです。まずはこちらからご覧ください。)
https://lycopo.com/幼児期に大切な感覚統合と発達ピラミッド〜小学/)

発達ピラミッドの“中層”にある本当の土台
幼児の発達構造をピラミッドに例えると、底にある「感覚統合(五感+前庭覚・固有覚)」に続いて、その上には「見て動く力・ボディイメージ」と「視覚と運動の協応」があります。これは、視覚情報を正しく体で受け止めて動くスキルであり、運動・認知・情緒・社会性への橋渡しの要となります。まるでここがしっかりしていると、そのあとの「学びと成長」が一気に効果的なものになります。
「見て動く力」「ボディイメージ強化」「視覚と運動の協応」とは?
- 見て動く力
目で見たものを手や体で再現したり反応したりする力。「これだ!」と思った瞬間に体が動く協調性の鍵です。これは手書きやボール遊びをスムーズにする基礎になります。 - ボディイメージの強化
自分の体がどこに・どんな形であるかを感じ取る力。鏡のように、自分を認識するMAPづくりです。これがあるとバランス、自信、集中力が育ちます。 - 視覚と運動の協応
目と手、または目と体全体を協調させる動き。例えばボールキャッチや積み木遊びなど、視覚→運動へのスムーズな連携です。
(詳しい説明はこちらを参考にしてください。)https://en.wikipedia.org/wiki/Eye%E2%80%93hand_coordination?
なぜ大切なのか?
- 学童期の学習・社会性につながる
幼児の段階で高い「見て動く力」を持つ子どもは、時間の経過とともに認知機能がより高くなる傾向があり、落ち着き・協力性・自己制御にも好影響があります。 - 運動能力と認知の統合効果
運動スキルが伸びた子は、数・注意・自己制御といった脳の機能も同時に向上します。 - 早期介入の成果
作業療法的アプローチで 「見て動く力」 を強化することで、運筆・学習準備能力に改善がみられた研究も報告されています。 - 発達の敏感期としての重要性
0~5歳は脳の神経回路が急速に形成される重要時期。「見る・動く」経験がその後の学びを大きく左右します。
(研究結果やデータなどこちらを参考に)
https://www.rti.org/rti-press-publication/the-multiple-benefits-of-motor-competence-skills-in-early-childhood?
具体的な遊びの例
目で見た情報と体の動きをつなぐ力、体のイメージ形成します。
遊び | ねらい | 効果 |
---|---|---|
模倣運動(大きな動き・小さな動き) | 目で見た動きを体で再現する力を養う | 視覚と運動の協応力アップ、集中力・模倣力の向上 |
障害物コース作り | 体をどう動かすか計画する「運動計画力」を育てる | バランス感覚・体幹の強化、次の動きを予測する力 |
絵カードで体の部位当て | 体の名称や位置感覚を楽しく理解する | ボディイメージの強化、言葉と身体感覚の結びつき |
育むために必要なこと
- 多様な見て動く体験を日常に:書く前の模倣遊びからボール運動まで段階的に。
- 楽しさ・成功体験の積み重ね:できた!の積み重ねが動きの自信に。
- 観察と調整:難しすぎると挫折、不足だと伸び悩み。子どもの反応に合わせて難易度を工夫。
- 専門家との連携:作業療法士などの視点を取り入れると安心で効果的。
※以前、集中力を育てるためには、まずはしっかりとした座る姿勢が大事だという記事を書きました。よかったら参考にしてください。
https://lycopo.com/東京で選ばれるベビーシッター%e3%80%80カウンセリング/
親がするべきこと・気をつけること
- 日常に「見て動く」を織り込む:買い物リストを指さして取ってもらう、おままごとで形を見てまねる…など。
- お手本+声かけで成功を演出:「見てから指を置くんだよ」「次はここね!」と優しく引き出す。
- プレッシャーはNG:苦手なら描写で褒め、「できた」が感じられる環境づくりが大事。
- 興味を見逃さない:線をなぞるのが好き、ボールを追うのが楽しい…そんな“好き”を大切に。
「感覚統合」という土台の次にくるのが「見て動く力」「ボディイメージ」「視覚と運動の協応」です。これらが育つことで、遊び・学び・生活すべてがつながっていきます。日常に取り入れてあげるだけで、子どもの未来がもっと動き出す基盤になります。楽しみながら、ぜひ今日から取り組んでみてください!
Q&A よくある質問(まとめ)
Q1:見て動く力が弱いなと感じたら、どこから始めればいい?
A:まずは迷路や線なぞりなど簡単なお絵描きや模倣遊びからスタート。「手を動かす楽しさ」を経験させることが土台です。
Q2:視覚運動協応ができているか、どう判断すればいい?
A:「ボールを追ってしっかりキャッチできる」「絵本の指示を絵にして再現できる」といった日常の動きに注目するとわかります。
Q3:年齢ごとの目安ってある?
A:2~3歳はなぞる・真似る遊び、3~4歳で迷路や積み木模倣、4~5歳で形写しや文字の模倣。個人差はありますが、楽しみながら自然に進めましょう。