「身支度がうまくできない子」を、発達の視点から理解する
今回は前回の「ボディイメージ」をもう少し具体的な問題として落とし込んでいきたいと思います。
例えば、毎朝の身支度です。
着替えが進まない、靴を左右逆に履く、歯みがきを嫌がる。
時間だけが過ぎていき、つい声を荒らげてしまう——。
保護者の方から、
「何度教えてもできない」
「やればできるはずなのに、やろうとしない」
というご相談は多く寄せられます。
しかし、幼児教育や発達の視点から見ると、
身支度がうまくできない背景には怠けや性格では説明できない理由があることが少なくありません。
本記事では、
・身支度が苦手な子どもに見られる具体的な姿
・その背景にある感覚統合やボディイメージの問題
・家庭でできる現実的な対策
・専門的な支援が必要なケース
について、わかりやすく解説していきます。
目次
・身支度がうまくできない子に見られる姿
・「できない」には理由がある
・感覚統合・ボディイメージとの関係
・家庭でできる具体的な対策
・別の要因が隠れている可能性
・困ったときは一人で抱え込まない
身支度がうまくできない子に見られる具体的な姿
身支度が苦手な子どもは、単に「遅い」「不器用」という一言では片づけられない特徴を持っています。
着替えが苦手
服を着るのに時間がかかる。
ボタンの掛け外しができない。
紐結びがなかなか覚えられない。
服の前後が分からない。
靴の左右を間違える。
口や顔まわりのケアを嫌がる
顔を拭かれるのを強く嫌がる。
歯ブラシを口に入れるのを嫌がる。
少し触れただけで不快そうにする。
生活面でのつまずき
整理整頓ができない。
どこに何を置いたか分からなくなる。
泥んこ遊びや砂遊びを極端に嫌がる。
積み木や細かい作業など、手先を使う遊びを避ける。
これらは一見バラバラに見えますが、共通する発達的な背景があります。
参考:発達が気になる子の多動・乱暴さ・整理整頓問題(発達ナビ)
「できない」には理由がある
― 発達の視点で考える身支度のつまずき ―
着替えが苦手な理由
手のボディイメージの未発達
ボディイメージとは、「自分の体を頭の中でイメージできる力」のことです。
手のボディイメージが未発達だと、
「今、どの指をどう動かしているか」
「どれくらい力を入れればいいか」
が分かりにくくなります。
その結果、ボタンをつまめない、紐を操作できないといった困難が生じます。
※ボディイメージに関しての詳しい記事です。
「できないからやらない」を変える力 子どもに挑戦精神を育てる
「ボディ・イメージ」とは?学びや自信を支える“身体の地図”
平衡感覚の低反応
※平衡感覚:体のバランスや姿勢を感じ取る感覚
着替えは、立ったまま・片足立ち・体をひねるなど、意外と高度な姿勢調整を必要とします。
平衡感覚が弱いと、姿勢を保つだけで精一杯になり、手の操作まで意識が向きません。
※平衡感覚を詳しく書いた詳しい記事です。平衡感覚もボディイメージも学習の土台になります。
学習意欲と姿勢は“平衡感覚”から育つ

歯ブラシ・服のタグを嫌がる理由
触覚防衛反応
※触覚防衛反応:触覚刺激を過剰に不快・危険として感じてしまう反応
歯ブラシの刺激、服のタグ、顔を拭く感触。
これらが本人にとっては「痛い」「怖い」「我慢できない刺激」になっていることがあります。
「慣れれば大丈夫」ではなく、神経の反応としてつらい状態なのです。
※触覚防衛反応についての詳しい記事です。
触られるのが苦手な子どもにどうアプローチするか
つまむ・つかむ動作が苦手な理由
パワーグリップと手掌支持
※パワーグリップ:手全体で物をつかむ力
※手掌支持:手のひらで体や物を支える力
これらが十分に育っていないと、
・細かい操作ができない
・すぐに疲れる
・力加減が分からない
といった困難が生じます。
感覚統合との関連
感覚統合とは、触覚・平衡感覚・固有感覚(体の位置や力を感じる感覚)などを、脳がまとめて使う働きのことです。
この統合がうまくいかないと、日常動作全般に影響が出ます。
※感覚統合の記事です。
子どもの「学習意欲」は、まず“感覚の使い方”から
対策:身支度を「練習」にしない関わり方
身支度が苦手な子に対して、
「練習しなさい」
「早くしなさい」
は、あまり効果的ではありません。
動作を細かく分ける
一度にすべてを求めず、
「今日はボタン一つだけ」
「今日は袖を通すところまで」
と、成功体験を積みやすくします。
姿勢を安定させる
座って着替える。
背もたれを使う。
足がしっかり床につく環境を整える。
姿勢が安定すると、手の操作に集中しやすくなります。
触覚刺激を無理に与えない
歯ブラシや顔ふきは、
本人が受け入れやすい素材・強さから始めます。
「今日は自分で触ってみる」だけでも立派な一歩です。
遊びの中で力を育てる
着替えの練習ではなく、
押す・引く・支える・ぶら下がるといった遊びの中で、
自然に必要な力を育てていきます。
身支度ができない子どもは、
努力が足りないのではありません。
その子なりに、
体を感じ、
刺激に耐え、
必死に調整しようとしています。
身支度の困りごとは、
「生活習慣の問題」ではなく、
発達を知る大切なサインです。
別の要因が隠れている可能性も
身支度のつまずきが強い場合、
・運動発達の遅れ
・身体機能の障害
・ADHDなどによる注意散漫
が関係していることもあります。
「集中すればできるはず」と考えず、
“集中できない理由”を探る視点が大切です。
パパママからよくある質問3つ
Q1.何度も教えているのに身支度ができません。やる気の問題でしょうか?
→多くの場合、やる気の問題ではありません。
着替えや歯みがきには、姿勢を保つ力や手のボディイメージ、触覚の感じ方など、複数の発達要素が関わっています。「分かっているのにできない」状態の子も多く、叱るほど難しさが増してしまうことがあります。
Q2.ボタンや紐結びができないのは、不器用だからですか?
→不器用さだけでなく、手の使い方を頭の中でイメージする力(ボディイメージ)や、つまむ・支えるといった基礎的な手の機能が未発達な場合があります。練習を重ねるよりも、姿勢や体の使い方を整える関わりが近道になることもあります。
Q3.どの段階で専門家に相談した方がよいのでしょうか?
→「年齢相応だと思えない」「生活全体に困りごとが広がっている」「保護者の負担が大きい」と感じたときは、相談のタイミングです。早めに専門家の視点を入れることで、無理のない関わり方が見つかり、子どもも保護者も楽になるケースが多くあります。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)