行事に参加したがらない子 それは“聴覚”がつらいサインかも
入園式や発表会、運動会。
みんなが集まる行事に、どうしても参加したがらない子がいます。
「めんどくさいのかな」「恥ずかしいのかな」「わがままなのでは?」
そんなふうに感じてしまう場面も、決して少なくありません。
けれど、その“行きたくない”の背景に、音への強い負担が隠れていることがあります。
何気ない音、ざわざわした空間、突然鳴る大きな音――。
大人にとっては気にも留めない刺激が、子どもにとっては「逃げたくなるほどつらい」こともあるのです。
本記事では、行事に参加できない・したがらない子どもの姿を、
「聴覚防衛反応(音への過敏さ)」という視点から丁寧に見つめ直し、
家庭や園でできる具体的な関わり方をお伝えします。
目次
- 行事に参加できない子どもの姿
- 「音がつらい」という見えにくい困りごと
- 聴覚防衛反応とは何か
- どんな音で防衛反応が出やすいのか
- 音の過敏さへの基本的な考え方
- 聴覚防衛反応への具体的なアプローチ
- 「慣れさせる」「我慢させる」が逆効果な理由
- 聴覚以外にも考えられる要因
- 行事に参加できない子をどう支えるか
1. 行事に参加できない子どもの姿
行事に参加できない、または極端に嫌がる子どもには、いくつか共通して見られる姿があります。
ただし、これらは「性格」や「しつけ」の問題ではありません。
たとえば、広いホールでじっと座っていられず、すぐ立ち上がってしまう。
ざわざわとした人の多い空間に入ると、表情がこわばり、落ち着きを失う。
太鼓やシンバル、スタートのピストル音が鳴った瞬間、耳をふさいでその場から離れてしまう。
中には、足音だけで「誰が来たか」が分かるほど音に敏感な子もいます。
また、刺激が多すぎる環境では周囲の情報を整理しきれず、迷子になりやすいこともあります。
こうした姿は、「行事が嫌い」というよりも、
行事という環境が、子どもの感覚にとって過剰になっている可能性を示しています。
2. 「音がつらい」という見えにくい困りごと
音は、目に見えません。
だからこそ、子どもがどれほど負担を感じているのか、大人には分かりにくいのです。
私たちは日常的に、
・人の話し声
・空調や機械の音
・反響する足音
・突然鳴る合図音
こうした刺激に囲まれて生活しています。
多くの大人は、それらを「背景音」として処理できます。
しかし、聴覚が過敏な子どもにとっては、すべてが前面に迫ってくる刺激になります。
逃げたくなるのは、自然な反応なのです。
3. 聴覚防衛反応とは何か
聴覚防衛反応とは、音に対して過剰な警戒や拒否反応が出てしまう状態を指します。
「うるさいのが苦手」というレベルを超えて、
音そのものが恐怖や不快、強い緊張を引き起こします。
本人の意思とは関係なく体が反応してしまうため、
「大丈夫だよ」「気にしないで」という声かけでは改善しません。
4. 防衛反応が出やすい音の特徴
聴覚防衛反応が出やすい音には、一定の傾向があります。
突然鳴る破裂音や爆発音。
シンバル、風船が割れる音、スタートの合図などが代表的です。
高周波音や、キンとした棘のある音も苦手になりやすく、
チャイムやマイク音、電子音に強く反応する子もいます。
また、単体の音だけでなく、
ざわめきや反響音のように、複数の音が重なった環境も大きな負担になります。
広いホールや体育館が苦手なのは、このためです。
5. 音の過敏さへの基本的な考え方
まず大切なのは、
「慣れさせれば平気になる」「我慢すれば強くなる」という考えを手放すことです。
無理に耐えさせると、
・音=怖いもの
・集団=危険な場所
という学習が強化され、逆に反応が強まることがあります。
必要なのは、
「安心できる」「予測できる」「選べる」環境づくりです。
参考:感覚処理障害・基礎情報(Cleveland Clinic)
6. 聴覚防衛反応への具体的なアプローチ
音をできるだけ避ける工夫
まずは、子ども一人ひとりの「いやな音」を把握することが出発点です。
すべてを避けることは難しくても、減らすことはできます。
耳栓やイヤーマフを使うことで、刺激を和らげることができます。
運動会などの合図は、音だけでなく、旗やジェスチャーで知らせる工夫も有効です。
心の準備ができる工夫
突然の音が最も負担になります。
事前に「これから音がするよ」と知らせ、予測できるようにすると安心しやすくなります。
「よーい」「どん」の間を長く空けすぎないことも大切です。
待つ時間が長いほど、緊張が高まってしまいます。
「これから○○に行くけど、手をつないでいるから大丈夫」
そんな言葉が、子どもの安心感を支えます。
意識して聴く工夫
音を“受け身”で浴びるのではなく、自分で選んで聴く経験も助けになります。
苦手な曲を、ごく小さな音量で流し、
子ども自身がプレーヤーのスイッチを入れる。
これだけでも、防衛反応が軽減することがあります。
伝言ゲームのように、小さな声に耳を傾ける遊びも効果的です。
ここで大切なのは、
「大丈夫だった」という成功体験を、少しずつ積み重ねることです。
7. 触覚防衛反応との関係
聴覚防衛反応は、多くの場合、触覚防衛反応を併発しています。
人との距離感、服の感触、集団での接触が苦手な子も少なくありません。
そのため、触覚へのアプローチを行うことで、
聴覚の過敏さも一緒に和らぐケースがよく見られます。
※触覚防衛反応に関してこちらで触れています
触られるのが苦手な子どもにどうアプローチするか

8. そのほかにも考えられる要因
行事に参加できない理由は、聴覚だけとは限りません。
平衡感覚がうまく働かず、姿勢を保つのがつらい場合。
体を動かすことで落ち着こうとする、自己刺激行動としての多動性。
触覚防衛反応によって、人が多い場を避けている場合。
理由は子どもによって本当にさまざまです。
だからこそ、「この子は何がつらいのか」を丁寧に見ていくことが大切になります。
※平衡感覚について
学習意欲と姿勢は“平衡感覚”から育つ

9. 行事に参加できない子をどう支えるか
行事に参加できないことは、失敗ではありません。
今は「参加しない」という選択が、その子にとって最善な場合もあります。
音への配慮が進み、安心できる経験が増えていくことで、
少しずつ活動の幅が広がっていく子も多くいます。
大切なのは、
無理に引き上げることではなく、土台を整えること。
※今回の記事に関連するものです。子どもに対して「見る方向」を考慮する必要があります。
「関わりづらい子」ではなく、「感じ方が違う子」
パパママからよくある質問3つ
Q1. 行事の音を怖がるのは、慣れさせればそのうち平気になりますか?
多くの場合、無理に慣れさせたり我慢させたりすることは逆効果になります。音への恐怖や不快感が強化され、「行事=つらい場所」という記憶が残りやすくなるためです。まずは避ける工夫や予測できる環境を整え、「大丈夫だった」という安心経験を積み重ねることが大切です。
Q2. 耳をふさいだり、その場から逃げてしまうのは問題行動でしょうか?
問題行動ではありません。音に対する防衛反応として、子どもが自分を守ろうとしている行動です。叱ったり止めたりするのではなく、「この音がつらいんだね」と理解し、環境を調整することで行動は落ち着いていきます。
Q3. 行事に参加できないと、集団生活についていけなくなりませんか?
すぐにそのような心配をする必要はありません。行事に参加できない背景には、聴覚・触覚・平衡感覚などさまざまな要因があります。感覚のつらさに配慮し、安心できる経験を積むことで、後から参加できるようになる子も多くいます。今は「参加しない」選択が、その子を守る大切な一歩になることもあります。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)