子どもの気質の違いを理解 兄弟でも異なる「その子らしさ」を大切に
子どもを育てていると、「上の子と下の子でまったく違う!」と驚く瞬間があるものです。
同じ家庭で、同じように愛情を注いで育てても、兄弟・姉妹で性格も反応もまるで違う。
それは決して「育て方の違い」ではなく、生まれ持った**気質**による違いかもしれません。
この記事では、心理学的な「気質」の考え方をわかりやすく紹介しながら、
「性格」「嗜好性」との違い、代表的な分類理論、そして気質に応じた教育の大切さをお伝えします。
子どもはひとりひとり違う ― 同じ家庭でも個性は育つ
「お兄ちゃんは活発なのに、妹は慎重」「同じおもちゃでも反応が違う」
そんな違いに気づくのは、親としてごく自然なことです。
子どもは遺伝的な要素と環境的な要素が複雑に混ざり合って発達します。
つまり、「気質」=生まれつきの傾向、「性格」=経験を通して形成される特徴です。
「気質」とはなにか
心理学では「気質」を、感情の起こりやすさ・強さ・反応の速さなど、
人が生まれつきもっている反応パターンとして定義します。
例えば:
- 新しい場所でもすぐに笑顔になる子
- 慣れるまで慎重に観察している子
- 音や光に敏感な子
- 周囲に無頓着でマイペースな子
こうした反応は、しつけや教育以前に「その子のベース」として存在しています。
「気質」「性格」「嗜好性」の違い
| 概念 | 特徴 | 形成要因 |
|---|---|---|
| 気質 | 生まれ持った感情や行動の傾向 | 遺伝的要素が強い |
| 性格 | 経験・環境・学習により形成される特徴 | 育ち・環境 |
| 嗜好性 | 好き・嫌い・興味関心の方向 | 個人的経験や価値観 |
つまり、気質は性格や嗜好の「土台」。
このベースがあるからこそ、同じ経験をしても子どもによって成長の形が違ってくるのです。
エルンスト・クレッチマーの気質分類
ドイツの精神医学者**エルンスト・クレッチマー**は、
人の体型と気質の関係に注目し、代表的な3つの気質を提唱しました。
① 循環型気質
明るく社交的で、感情の波があるタイプ。
他人との関わりを楽しみ、共感力が高い反面、気分の変化に影響されやすい一面も。
→ 幼児期では「友達と一緒に遊ぶのが大好き」「気分でやる気が変わる」子に多い傾向。
② 分裂型気質
静かで内省的、独自の世界を持つタイプ。
自分のペースを重視し、感情表現が控えめ。
→ 幼児期では「一人遊びを好む」「観察が得意」「感覚が鋭い」タイプに見られます。
③ 粘着型気質
真面目で几帳面、粘り強くコツコツ型。
新しいことに時間はかかるが、慣れると最後までやり抜く。
→ 幼児期では「習いごとを長く続けられる」「ルールを守るのが得意」タイプです。
このように、気質には強みと弱みが表裏一体で存在します。
大切なのは「どれが良い・悪い」ではなく、その子の特徴を知り、伸ばすことです。
※参考資料
エルンスト・クレッチマーに関する理論の背景、体型と気質の関係、分類・批判・現代的視点
「外交的な子ども」と「内向的な子ども」
アメリカの心理学者ユングの理論をもとにした「外向・内向」も、気質を理解する鍵です。
| タイプ | 特徴 | 教育・関わりのヒント |
|---|---|---|
| 外交的な子ども | 社交的でエネルギッシュ。刺激を求める。 | 体験学習・グループ活動で伸びる。褒められるとモチベーションが上がる。 |
| 内向的な子ども | 落ち着いていて、考えてから行動する。 | 一人で集中できる時間を大切に。急かさず、理解するまで待つことが大切。 |
親が無理に「外交的」に育てようとしたり、「もっと活発に!」と促すよりも、
その子の内向性・外交性を尊重した関わりが、最も健やかな成長を支えます。
気質に応じた教育と配慮の違い
気質によって、学び方・遊び方・支え方も変わります。
- 活発な子には:挑戦と達成感を与え、行動をポジティブに導く
- 慎重な子には:安心できる環境で、少しずつ成功体験を積ませる
- 感受性が強い子には:刺激を減らし、情緒を穏やかに保つ工夫を
- マイペースな子には:ペースを尊重し、時間的余裕をもたせる
つまり、「同じ教え方」では伸びない。
一人ひとりの気質に合わせた個別の教育が、子どもの力を最大限に引き出します。
兄弟・姉妹でも、友達同士でも、同じ性格の子どもはいません。
生まれ持った気質を受け入れ、それを「個性」として尊重できたとき、子どもは自分らしく成長していきます。
教育とは、「型にはめる」ことではなく、その子の特性を見極めて、伸ばすことです。
個別教育の重要性 ― リコポ幼児教育の考え方
私たちリコポ幼児教育では、
子どもの気質・発達段階・興味関心を丁寧に分析し、
それぞれに最適な個別教育プランを作成しています。
例えば、
- 慎重な子には「小さな成功体験」を積むステップ構成
- 活発な子には「挑戦心と集中力」を両立させる遊び構成
- 感受性豊かな子には「表現力を育むアート・音楽的活動」
といったように、同じ「学び」でもアプローチが異なります。
子どもが安心して「自分らしく」育つためには、
気質を理解することが第一歩なのです。
※個別教育に対してはヴィゴツキーの「最近接領域」の考えもとても重要です。こちらも参考にしてください。 【個別教育の力】「最近接領域」に働きかけるベビーシッターの強み

パパママからよくある質問3つ
Q1. 気質は成長とともに変わりますか?
A. 基本的な気質傾向は変わりませんが、経験や教育によって表れ方は変化します。柔軟に受け止めましょう。
Q2. 内向的な子は将来不利になりますか?
A. まったくそんなことはありません。内向的な子は観察力や集中力に優れ、深い理解をもつ傾向があります。
Q3. 家でできる気質の見分け方はありますか?
A. 新しい環境への反応・初対面の人との関わり方・感情の切り替えなどを観察してみましょう。それが気質のヒントになります。
☆リコポ幼児教育では、子どもの成長に寄り添うために
会員様には365日いつでも子育て相談を受け付けています。
ご家庭に合った解決策を一緒に考えましょう。
執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)
株式会社リコポの理念や運営体制については、創業者の想いのページをご覧ください。