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「大人の評価を求めない子ども」は重要なサイン 

「大人の評価を求めない子ども」は重要なサイン 

自己形成のカギとなる「承認欲求」との上手な向き合い方

「見て見て!」と言わない。
褒めても表情が動かない。
ときにベタベタしてくるかと思えば、急に感情が爆発する——。

幼児期の子どもの中には、大人の評価をあまり求めないタイプがいます。「内気だから?」「やる気がない?」と誤解されることもありますが、実はそこには 発達的な意味があります。

本記事では、大人の評価を求めない子どもの特徴・背景・育て方のポイントを分かりやすく解説します。


大人の評価を求めない子どもとは

幼児期の子どもは本来、
「見て見て!」「できたよ!」と大人に自己アピールをし、評価や承認を求めながら成長していきます。

しかし、一部の子どもはその働きが弱く、以下のような様子が見られます。

●「見て見て」と言わない

自分の行動をアピールせず、静かに遊び、成果を示そうとしない。

●過度にベタベタしてくる

評価そのものは求めないのに、身体的な距離だけ詰めて安心を得ようとするタイプ。

●感情が爆発しやすい

言語で評価を求めないため、気持ちが蓄積し、爆発的な振る舞いに結びつくケース。

●「本音を見せない」傾向

努力のプロセスを隠す、失敗を見られたくない、承認への距離感がある…など。

これらは「性格」ではなく、発達の段階・環境・経験の積み重ねによる行動パターンです。


年齢ごとに見られる特徴

大人の評価を求めない子どもは、以下の年齢で異なる特徴を示します。


●3歳頃

・失敗を嫌がる
・「できない」を隠す
・他者比較が生まれ始め、評価に慎重になる


●4歳頃

・友だち関係が芽生え、評価の基準が多様に
・大人よりも「自分のペース」を優先しがち
・自己主張と恥ずかしさのバランスが揺らぐ


●5歳以降

・承認を得る=“責任が生まれる”と感じ、距離を取るタイプも
・自尊感情が低めの子は「評価される場」を避ける行動が出やすい


「評価を求めない=自立している」わけではなく、
むしろ 自己評価の土台がまだ弱いサイン でもあります。


大人の評価を求めない子どもの問題点

発達上の問題ではありませんが、放置すると次のような課題が生じます。


●自己肯定感が育ちにくい

自分を評価する基準が曖昧になり、「自分の良さ」に気付きにくい。

※自己肯定感の重要性についてはこちらをご覧ください。
 子どもの自己肯定感を育てるために大切なこと



●挑戦が少なくなる

評価を避けることで失敗の経験が蓄積されず、行動が慎重になる。


●対人関係で距離が生まれる

アピールしないため、友だちに気持ちが伝わりにくい。


●感情コントロールが不安定に

承認の不足は「誰にも分かってもらえていない」という不満につながる。


評価は子どもを縛るものではなく、成長の方向性を示す“外部の地図” のような存在です。


「認められたい気持ち」を育むことが重要な理由

幼児期の子どもは、他者から認められることで、

  • 自分という存在を確認し
  • できることの基準を知り
  • 社会に参加する安心感を得る

という「自己形成」の根本部分が育まれます。

特に、大人からの承認は
社会的承認欲求の第一歩 であり、その後の社会参加(社会化)に欠かせません。

“見て見て攻撃” の根底にあるのは「承認欲求」と「〇〇欲求」。子どもの過剰アピールを減らすには?(こどものまなびラボ)※こちらも参考にしてみてください。分かりやすくまとめてくれています。


「認められたい気持ち」を育てる関わり方

① できた瞬間でなく「プロセス」を認める

「できたね!」だけではなく、
「ここまで自分で考えたんだね」「工夫したね」
という 過程承認 が大切。

※こちらも参考にしてみてください。
 子どもを伸ばす正しい「ほめ方」―才能ではなく努力を認める


② 子どもが見せたくなる“安全な場”をつくる

・失敗しても笑わない
・途中の状態を肯定する
・評価の基準を大人が下げすぎない
この「安全地帯」があると、子どもは自然と自己表現します。

※こちらも参考にどうぞ!
 教育におけるアタッチメントとは? 大切にしたい心の安全基地


③ 「共有の活動」を増やす

一緒に作業したり、遊びを共有することで、
「見てほしい」気持ちが育つ。


④ 感情の言語化を手伝う

「悔しかったね」「恥ずかしいんだね」と言葉を代弁してもらうことで、
感情が整理され、評価を避ける理由が薄れていく。


⑤ 小さな役割を与える

・机を拭く
・配る役をする
・片付け係
など「社会の中で役立っている」実感が承認欲求につながる。

褒め方について

“乗り越え体験”が「学習の基本形」をつくる

大人の評価を求めない子どもは、
「失敗 → 挑戦 → 成功」という学習の基本形が構築されにくい傾向があります。

そこで大切なのが 乗り越え体験


●乗り越え体験とは

小さな困難を自分の力で乗り越える経験のこと。

  • できなかったことができた
  • 時間をかけて完成させた
  • 諦めなかったら結果が出た

これらの積み重ねが「やればできる」という感覚を育て、
承認欲求と自己形成の両方を強めます。

この“スモールステップ学習”は、特に幼児期には絶大な効果があり、
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大人の評価を求めない子どもは、
「見せない」のではなく、
「見せられない」「どう見せていいのか分からない」
という背景を抱えていることが多くあります。

幼児期は、承認欲求・社会化・自己形成の基盤が育つ大切な時期。
子どもが安心して「見てほしい」と思える関わりをつくり、
小さな成功体験を積み重ねられる環境づくりが重要です。


パパママからよくある質問3つ


Q1. 評価を求めないのは“恥ずかしがり屋”なだけ?

→単なる性格の場合もありますが、
「失敗を見られたくない」「基準が分からない」など発達的理由が隠れている場合も多いです。


Q2. あまり褒めない方が自立するのでは?

→幼児期は逆です。自立にはまず「認められて安心できる環境」が不可欠です。


Q3. 家庭で今日からできることは?

→小さな“役割”を与えてみてください。
配膳・片付けなど、誰かの役に立つ経験が承認に直結します。



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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)

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