9歳の壁とは? 幼児期から備えるべきこと
9歳の壁とは何か?親が知っておきたい原因と幼児期からの関わり方
「最近、急に勉強が難しくなった気がする」
「前より自信をなくしているように見える」
そんな変化を、小学校3〜4年生ごろのお子さんに感じる保護者の方は少なくありません。
この時期によく言われるのが、「9歳の壁」です。
これは、子どもがだめになったという話ではありません。むしろ、考える力や人との関わり方が一段深くなる成長の節目です。文部科学省も、9歳以降は物事を客観的に見たり分析したりできるようになる一方で、発達の個人差が目立ちやすくなり、劣等感や自尊感情の低下が起こりやすい時期だとしています。
この記事では、9歳の壁とは何か、なぜ起こるのか、そして幼児教育がその土台づくりにどう関わるのかを、親向けにわかりやすくお伝えします。
目次
- 9歳の壁とは何か
- なぜ9歳ごろにつまずきやすくなるのか
- 9歳の壁と幼児教育はどうつながるのか
- 幼児期から行っておきたい教育とは
- 親が気をつけたい関わり方
- まとめ
1.9歳の壁とは何か
9歳の壁とは、小学校3〜4年生ごろから、学習・気持ち・友だち関係の面でつまずきやすくなる発達上の節目のことです。文部科学省の資料でも、9歳以降の子どもは、物事を対象化して認識したり、自分を客観的に見たりできるようになる一方で、発達の個人差が目立ちやすくなる「いわゆる9歳の壁」があると説明されています。
つまり、9歳の壁とは「問題が起きる年齢」というより、子どもの頭と心が次の段階へ進む時期です。
そのため、今までと同じやり方ではうまくいかなくなることがあります。
参考:子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題(文部科学省)
2.なぜ9歳ごろにつまずきやすくなるのか
大きな理由は、求められる力が変わるからです。
低学年のうちは、見たものをそのまま覚える、先生の説明どおりにやる、といった力でも比較的進みやすい時期です。ところが高学年に近づくと、学習は「なんとなく分かる」から「本当に理解して考える」方向へ変わっていきます。文科省関係資料でも、小学校高学年では学力の個人差が拡大し、「100点が取れるテスト」よりも「真の理解」が求められる段階へ移ることが示されています。
たとえば、次のような変化が起こりやすくなります。
| 領域 | 起こりやすい変化 |
|---|---|
| 学習 | 文章を読み取る力、筋道立てて考える力、抽象的に理解する力が必要になる |
| 気持ち | 自分と友だちを比べやすくなり、「自分はだめかも」と感じやすくなる |
| 友人関係 | ルールや仲間意識が強まり、集団の中での立ち位置を気にするようになる |
文部科学省はこの時期について、自分を客観的にとらえられるようになる反面、劣等感を持ちやすいこと、さらに仲間集団の結びつきが強くなることを挙げています。
親から見ると、「急に難しくなった」「前より不安定になった」と感じやすいのですが、実際には成長したからこそ見えてくる悩みでもあるのです。
3.9歳の壁と幼児教育はどうつながるのか
ここで大切なのが、9歳の壁は小学校に入ってから突然始まるものではないということです。
その土台は、もっと前、幼児期の生活や遊びの中で少しずつ育っていくものです。
文部科学省は、幼児期を「心情、意欲、態度、基本的生活習慣など、生涯にわたる人間形成の基礎が培われる極めて重要な時期」と位置づけています。そして、幼児は生活や遊びといった直接的・具体的な体験を通して、知的な発達や社会性の基礎を身につけていくと示しています。
また、幼児教育では、遊びそのものが学びです。
遊びの中で子どもは、
- 自分で考える
- 相手に伝える
- うまくいかずに試し直す
- ルールを守る
- 気持ちを調整する
といった力を育てていきます。文科省は、幼児の自発的な遊びを「心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習」としており、幼児期には遊びを通して思考、想像、協力、説明などが育つと説明しています。
つまり、9歳の壁に向かう前に幼児期から育てておきたいのは、早い計算や先取り学習だけではありません。
それ以上に大切なのは、考える力、言葉で伝える力、やってみる力、気持ちを立て直す力です。これらは、文科省が幼児期に重要とする非認知能力や、「言葉による伝え合い」「協同性」「自立心」などの育ちとも重なります。
※関連する記事です。
算数が好きな子を育てるために(前編)
4.幼児期から行っておきたい教育とは
では、9歳の壁に向けて、幼児期からどんな教育が役立つのでしょうか。
① 詰め込みより「考える遊び」を大切にする
積み木、ままごと、ごっこ遊び、絵本、自然遊び、工作などは、一見すると勉強に見えないかもしれません。
ですが、こうした遊びの中で子どもは、予想する・比べる・試す・工夫する力を育てています。幼児期は、頭だけでなく心や体も使いながら、直接体験を通して総合的に学ぶ時期だと文科省は示しています。
② 「答えを言う」より「言葉にする」経験を増やす
9歳の壁でつまずきやすい子の中には、考えていてもうまく言葉にできない子がいます。
幼児期から、「どうしてそう思ったの?」「何を作ったの?」「次はどうする?」とやりとりを重ねることで、思考を言葉にする土台が育ちます。文科省も、幼児期の育ちとして「言葉による伝え合い」を重視しています。
③ 失敗できる環境をつくる
9歳ごろになると、自分と他人を比べやすくなります。
だからこそ幼児期には、「うまくできたか」だけでなく、やってみたことそのものを認めてもらう経験が大切です。非認知能力としての粘り強さ、自信、自制心は、幼児期から育てることが重要だと文科省資料でも示されています。
④ ルールのある遊びや共同経験を増やす
すごろく、鬼ごっこ、順番を待つ遊び、みんなで一つのものを作る活動などは、相手を見る力や我慢する力を育てます。
9歳以降は仲間関係が複雑になりやすいため、幼児期から人と一緒に過ごす中で折り合いをつける経験を重ねておくことが大きな支えになります。
ここで大事なのは、「小学校の先取りをどれだけしたか」ではなく、「小学校で伸びるための土台が育っているか」です。
9歳の壁を完全になくすことはできなくても、幼児期からの関わりで乗り越えやすい土台は十分につくれます。
※関連記事です。
幼児期に大切な感覚統合と発達ピラミッド〜小中学受験にも役立つ力〜

5.親が気をつけたい関わり方
9歳の壁の時期、親がいちばん気をつけたいのは、結果だけを見て「努力不足」と決めつけないことです。
この時期の子どもは、頭の中ではいろいろ感じ、考えています。
でも、自分でもその変化をうまく説明できません。だから、表面だけ見ると「反抗的」「やる気がない」「甘えている」ように見えることがあります。
そんなときに大切なのは、次のような関わりです。
比べすぎない
9歳ごろは、ただでさえ本人が周囲と比べやすい時期です。
家庭まで「○○ちゃんはできるのに」と言われると、劣等感が強まりやすくなります。文科省も、この時期は自己に対する肯定的な意識を持ちにくく、劣等感を抱きやすいとしています。
できない理由を一緒に整理する
「なんでできないの!」ではなく、
「問題が難しかったのか」
「説明が分かりにくかったのか」
「気持ちが疲れていたのか」
と、つまずきの中身を一緒に見ていくことが大切です。
子どもの言葉を急いで正さない
話がまとまっていなくても、まずは聞く。
それだけで子どもは「分かってもらえた」と感じやすくなります。言葉で気持ちを整理する力は、一朝一夕では育ちません。だからこそ、家庭が安心して話せる場所であることが大切です。これは幼児期からの「言葉による伝え合い」の延長でもあります。
勉強だけで子どもを評価しない
この時期は、成績の差が見えやすくなるぶん、子ども自身も「自分の価値=勉強」と思いやすくなります。
でも本当に見てあげたいのは、考えようとしているか、人と関わろうとしているか、くり返し挑戦できているかです。
親にとっても、小4前後は“子育ての問題集”が急に応用編になる時期です。
だから、悩むのは自然なことです。
お子さんが苦しそうなときは、「この子は今、次の成長段階へ向かっている途中なんだ」と捉えてみてください。その見方だけでも、関わり方はかなり変わります。
6.まとめ
9歳の壁とは、子どもが抽象的に考える力や、自分を客観的に見る力を育てていく中で起こりやすい発達の節目です。学習が難しくなったり、友だち関係が複雑になったり、自信をなくしたりしやすいのは、成長しているからこそでもあります。
そして、その土台は幼児期から少しずつ育っていきます。
大切なのは、早く難しいことをさせることではなく、遊びや生活の中で、考える・伝える・試す・待つ・やり直す経験を重ねることです。文科省も、幼児期は遊びを通した学び、直接体験、非認知能力の育成が重要だとしています。
9歳の壁は、親子にとってしんどい時期になることもあります。
でもそれは、子どもが前に進もうとしている証拠でもあります。
幼児期からの丁寧な関わりは、
「壁をなくす魔法」ではなく、
壁の前で立ち止まったときに、もう一度自分で歩き出せる力を育ててくれるものです。
今日のおさらいQ&A3問
Q1.9歳の壁とは、どんな時期のことですか?
9歳前後、主に小学校3〜4年生ごろに、学習・友人関係・自己理解の面でつまずきやすくなる発達の節目です。考える力が深まる一方で、自分と周囲を比べやすくなります。
Q2.9歳の壁に、幼児教育は関係ありますか?
大きく関係します。幼児期の遊びや生活の中で、考える力、言葉で伝える力、試行錯誤する力、気持ちを立て直す力が育つと、9歳以降の学びや人間関係の土台になりやすくなります。
Q3.親はどんなことに気をつければよいですか?
結果だけで判断せず、「なぜ難しいのか」を一緒に整理することが大切です。ほかの子と比べすぎず、子どもの不安や戸惑いを受け止めながら、小さな成長を見つけて支えていく関わりが助けになります。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)