「ほめて伸ばす」の前に大切なこと―子どものほめ方動画を振り返って
昨日、YouTubeチャンネル「アトム先生の幼児教育教室」にて、「子どものほめ方」をテーマにした動画を公開しました。
今回の動画で、アトム先生が最初に指摘していたのが、
「たくさんほめましょう」
「子どもはほめて伸ばしましょう」
という考え方が、一人歩きしすぎているのではないか、ということです。
もちろん、子どもの頑張りや成長をほめること自体が悪いわけではありません。
しかし、何をしてもすぐに「すごいね」「えらいね」とほめることが、本当に子どもの成長につながるのか。
そこには、一度立ち止まって考える必要があると感じました。
何でもほめることとは、少し距離を置く
アトム先生は、何でもほめることに対して、少し距離を置くことが大切だと話していました。
大人が「ほめなければ」と意識しすぎると、子どもの行動をよく見る前に、反射的にほめてしまうことがあります。
工作を完成させたら「上手だね」。
早くできたら「すごいね」。
片づけをしたら「えらいね」。
こうした言葉も、場面によっては子どもの励みになります。
しかし、毎回同じようにほめていると、子どもが本当に工夫したことや、時間をかけて頑張ったことを見落としてしまうかもしれません。
大切なのは、ほめる回数を増やすことではなく、目の前の子どもをしっかり見ることです。
子どもを見れば、認める場所が見えてくる
子どもの様子を丁寧に見ていると、
「さっき失敗したのに、もう一度やっているな」
「前よりも長く集中しているな」
「友達に譲ることができたな」
「自分なりに色の組み合わせを考えているな」
と、その子どもが頑張っているところが見えてきます。
そうすれば、ただ「すごいね」と言うのではなく、
「うまくいかなかったけれど、もう一回やってみたんだね」
「この色とこの色を自分で選んだんだね」
「最後まで集中してつくっていたね」
と、具体的に伝えることができます。
アトム先生も、ほめることを意識するのではなく、子どもをしっかり認めることを意識してほしいと話していました。
私も、その通りだと思います。
「ほめる」は、大人が子どもを評価する言葉になりやすいものです。
それに対して「認める」は、子どもの行動や気持ちを、そのまま見て受け止めることです。
子どもにとっても、
「自分のことをちゃんと見てもらえている」
と感じやすい関わりなのではないでしょうか。
「早くできて、えらいね」が変えてしまったもの
今回の動画で特に印象に残ったのが、アトム先生自身の失敗談です。
ある子どもが工作をしていたとき、アトム先生は思わず、
「もうできたの?えらいね」
と声をかけたそうです。
アトム先生としては、
「こんなに早く完成できてすごいね」
という気持ちでほめたのでしょう。
しかし、その子どもはもともと、工作そのものを楽しんでいました。
材料を選び、考え、つくること自体に夢中になっていたのです。
ところが「早くできてえらい」とほめられたことで、その子どもの中で、
「早く完成させると、ほめてもらえる」
という意識が生まれてしまいました。
その後は、工作をじっくり楽しむことよりも、早く仕上げてほめてもらうことが目的になってしまったそうです。
これは、とても具体的で分かりやすい失敗例でした。
大人の何気ない一言によって、子どもが活動に取り組む目的が変わってしまうことがあります。
本当は制作する過程を楽しんでいたのに、いつの間にか、
「早く完成させる」
「大人に評価される」
ことを意識するようになってしまう。
よかれと思ったほめ言葉でも、子どもの気持ちや行動に思わぬ影響を与える場合があることを、あらためて考えさせられました。
結果だけではなく、過程を見る
工作の例で考えるなら、
「早くできたね」
と結果や速さだけを見るのではなく、
「ここを工夫したんだね」
「この部分を何度もつくり直していたね」
「楽しそうにつくっていたね」
と、その過程に目を向けることが大切です。
子どもが何を考え、どこで悩み、何を楽しんでいたのか。
そこまで見ることができれば、子どもの行動をより具体的に認められます。
これは、工作だけの話ではありません。
勉強でも、運動でも、片づけでも同じです。
正解したことや成功したことだけではなく、
「自分から始めた」
「途中で諦めなかった」
「別の方法を考えた」
「失敗したあとにやり直した」
という過程にも、子どもの成長があります。
理論と経験の両方から学べる動画
今回の動画でも、アトム先生は教育理論や研究だけでなく、自分自身の経験を交えながら、子どものほめ方についてしっかりと伝えていました。
理論だけを聞くと、
「実際の子育てでは、どうすればいいのだろう」
と迷うことがあります。
一方で、経験談だけでは、その方法がなぜよいのか分からないこともあります。
今回の動画は、
なぜ何でもほめることに注意が必要なのか。
どのように子どもを見ればよいのか。
実際にどのような失敗が起こるのか。
ということが、理論と経験の両面から分かりやすく伝えられていたと思います。
「ほめる言葉を増やす」のではなく、「子どもを見る時間を増やす」。
今回の動画を通して、私自身もその大切さをあらためて感じました。
▶ チャンネルはこちら
https://www.youtube.com/channel/UCCgbpiKv3N3demDJeQtmCaw
8月5日にはQ&A実践動画を公開します
8月5日(水)20時には、「子どものほめ方」をテーマにしたQ&A形式の補足動画を公開します。
本編とは少し違い、10分前後で気軽に見ていただける、ライトで実践的な内容です。
実際の子育て場面をもとに、
「こんなときは、どう声をかければよいのか」
「結果が出なかったときは、どう認めればよいのか」
といった疑問についてお伝えします。
本編をご覧いただいた方はもちろん、日々の声かけに悩んでいる保護者の方にも、ぜひご覧いただきたい動画です。
▶ 8月5日(水)20時公開・ほめ方Q&A動画
https://youtu.be/SU5sBZPv2U8
本編とあわせて、ぜひご覧ください。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)