顔から手足が伸びる?子どもが描く「頭足人」とは
子どもが描いた人物の絵を見て、「顔から直接、手や足が生えている」と驚いたことはありませんか。
このような人物の描き方は「頭足人」と呼ばれ、幼児期の描画によく見られる表現です。今回は、頭足人とは何か、そこからどのような成長が見えてくるのかをご紹介します。
目次
- 子どもが描く「頭足人」とは
- 幼児期初期の絵に表れる特徴
- なぜ胴体が描かれないの?
- 頭足人からわかること
- まとめ
1.子どもが描く「頭足人」とは
頭足人とは、顔や頭を表す丸から、手や足が直接伸びているように描かれた人物画のことです。
丸の中には目や口があり、そこから数本の線が伸びています。大人から見ると胴体がないように見えますが、子どもにとっては、これで「一人の人」を表しています。
幼児期、特に3~5歳ごろに見られることがありますが、描き始める時期や表現の仕方には個人差があります。
2.幼児期初期の絵に表れる特徴
子どもの描画は、最初から大人のような形になるわけではありません。
はじめは線や丸を描くことを楽しみ、やがて描いた丸を見て「ママ」「ぼく」などと意味づけるようになります。
その後、丸の中に目や口が加わり、さらに手足が描かれることで、次第に人物らしい絵へと変化していきます。
頭足人は、子どもが単に線を描くだけでなく、「人を描こう」と考えて表現し始めた姿ともいえます。
※関連する記事です。子どもは「何を描いたか」より「どう描いているか」
3.なぜ胴体が描かれないの?
頭足人に胴体が描かれない理由については、さまざまな考え方があります。
幼い子どもにとって、顔は人を見分けたり、気持ちを読み取ったりするうえで、とても印象に残りやすい部分です。また、手や足は動いたり物に触れたりするため、子どもが意識しやすい部分でもあります。
一方で、胴体は顔や手足ほど特徴を捉えにくく、知っていても絵の中にうまく配置できないことがあります。
そのため、「胴体を知らないから描かない」と単純に決めつけることはできません。体についての理解だけでなく、描く技術や紙の上に形を配置する力など、さまざまな要素が関係しています。
4.頭足人からわかること
頭足人から見えてくるのは、子どもが自分なりの方法で、人の特徴を捉えようとしている姿です。
目や口、手や足など、自分が大切だと感じた部分を選び、限られた描画技術を使って一人の人物を表しています。
やがて経験を重ねると、胴体や指、髪の毛、服などが加わり、表情や動きも描かれるようになります。
ただし、一枚の絵だけで子どもの知能や発達状態を判断することはできません。絵の描き方には、経験や興味、その日の気分、描くことへの慣れなども影響します。
大人の形に直させるよりも、
「これは誰を描いたの?」
「何をしているところかな?」
と尋ね、子どもが絵に込めた物語を聞いてみましょう。
5.まとめ
頭足人は、顔を表す丸から直接手足が伸びた、幼児期に見られる人物表現です。
一見すると不思議な絵ですが、そこには、子どもが人の特徴を捉え、自分の力で表そうとする大切な成長が表れています。
上手に描かせることを急ぐのではなく、その時期にしか見られない子どもならではの表現として、温かく見守っていきたいですね。