子どもの手足の成長とは?ボディイメージの関係も
把握反射から積み木をつかむまでの発達とボディイメージの関係
赤ちゃんは、生まれたときから物を「つかめる」わけではありません。
手の発達は、反射から始まり、何度も失敗を繰り返しながら少しずつ精密な動きへと変化していきます。
そしてその背景には、「自分の体を理解する力(ボディイメージ)」の発達が深く関わっています。
■ 目次
- ハルバーソンの理論とは
- 把握反射から「つかむ」までの発達(週齢付き)
- ボディイメージとの関係
- 幼児教育・シッターの関わり方
■ ハルバーソンの理論とは
アーノルド・ハルバーソンは、赤ちゃんの手の発達を「成熟」ではなく「経験の積み重ね」として捉えました。
彼は20世紀前半の発達研究において、赤ちゃんが積み木をつかめるようになるまでの過程を詳細に観察し、
つかむ動きは最初から完成されているのではなく、試行錯誤の中で洗練されていくことを明らかにしました。
もともとは運動発達や知覚の関係に関心を持ち、特に「手と目の協応(視覚と運動の連携)」の研究で知られています。
現在でも、乳児の操作行動の理解において基礎となる理論です。
■ 把握反射から「つかむ」までの発達(週齢の目安)
ここからは、実際にどのように「つかむ」が発達していくのかを、週齢の目安とともに見ていきます。
まず、生まれてすぐの段階では「つかむ」というより「握ってしまう」状態です。
把握反射(0〜8週頃)
手に触れると強く握る反射が見られます。
ただしこれは自分の意思ではなく、物を操作することもできません。
やがて、赤ちゃんは「見たものに手を伸ばす」ようになります。
手を伸ばす(8〜16週頃)
おもちゃに向かって手を出すようになりますが、距離感が分からず空振りも多い時期です。
視覚と手の動きがまだうまく連動していません。
ここから「偶然」だった成功が、少しずつ「意図した動き」に変わっていきます。
手のひらでつかむ(16〜28週頃)
物に触れると、手のひら全体で包み込むようにしてつかみます。
まだ大まかな動きですが、「狙ってつかむ」という意思がはっきりしてきます。
さらに発達が進むと、「持ち方を変える」という調整が見られます。
指を使い始める(28〜40週頃)
親指と他の指の役割が分かれ、物の大きさや形に応じて持ち方を変えるようになります。
このあたりから、積み木のような物も扱いやすくなります。
そして、最も象徴的な変化が「つまむ」動きです。
ピンセットグリップ(40週以降)
親指と人差し指で小さなものをつまめるようになります。
これにより、細かい操作が可能になり、食事や遊びの幅が一気に広がります。
参考:生後2年目の手の操作運動の発達(サイエンスダイレクト)
■ ボディイメージとの関係
ここがとても重要なポイントです。
手の発達は、単に筋力や器用さの問題ではありません。
その背景には、「自分の体をどう認識しているか」という力が関わっています。
これは心理学でいうところの
ボディイメージです。
赤ちゃんは最初、自分の手を「自分のもの」として十分に理解していません。
だからこそ、思ったところに手が届かないし、力の入れ方も分かりません。
しかし、
- 触れる
- 失敗する
- もう一度試す
この繰り返しの中で、
「ここに手がある」
「このくらい動かせば届く」
という感覚が少しずつ育っていきます。
つまり、つかむ力の発達 = ボディイメージの発達です。
ボディイメージの発達は運動神経や、姿勢などだけではなく、集中力や感覚統合の発達にも関連してきます。
見て動く力とボディイメージ 中層発達を遊びで育てるヒミツ

■ 幼児教育との関係
この発達を理解すると、関わり方も大きく変わります。
大切なのは、「上手にやらせること」ではありません。
むしろ、
- 少し届かない距離に置く
- さまざまな大きさ・形のものを用意する
- 失敗しても止めない
こうした環境をつくることが重要です。
子どもは、教えられて上手になるのではなく、
試行錯誤の中で“自分の体の使い方”を学んでいきます。
※関連記事です。
「ボディ・イメージ」とは?学びや自信を支える“身体の地図”
今日のおさらいQ&A3問
Q1. 赤ちゃんがうまく物をつかめないのは発達の遅れですか?
いいえ、多くの場合は正常な発達の過程です。つかむ動きは最初からできるものではなく、試行錯誤の中で徐々に精度が上がっていきます。
Q2. 手の発達を促すために親ができることは何ですか?
特別な訓練は必要ありません。手を伸ばしたくなる距離に物を置いたり、さまざまな形や大きさのおもちゃに触れられる環境を用意することが効果的です。
Q3. ボディイメージの発達はなぜ重要なのですか?
自分の体の位置や動かし方を理解する力は、手の操作だけでなく、歩く・書く・食べるといったあらゆる動作の基盤になります。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)