子どもの「やる気」はどう育つ?
マレーの達成動機と、内発的動機づけ・外発的動機づけをやさしく解説
久しぶりの教育・発達関係の記事です。
「うちの子は、好きなことは夢中でやるのに、やってほしいことはなかなか動かない」
そんなふうに感じたことはないでしょうか。子どもの行動には、その子なりの“動機”があります。この記事では、心理学者マレーの「達成動機」と、内発的動機づけ・外発的動機づけを、乳幼児の具体例を交えながら分かりやすく整理します。マレーは達成を重要な人間の動機の一つとして位置づけ、のちの動機づけ研究にも大きな影響を与えました。
※参考:達成動機(ブリタニカ)
目次
- 子どもの「やる気」は性格だけで決まらない
- マレーの「達成動機」とは何か
- 乳幼児にもある「できるようになりたい」気持ち
- 内発的動機づけと外発的動機づけの違い
- ごほうびや褒め言葉は悪いのか
- 家庭で子どもの動機を育てる関わり方
子どもの「やる気」は性格だけで決まらない
子どもを見ていると、
「この子はやる気がある」
「この子は飽きっぽい」
と、つい性格だけで考えたくなることがあります。
しかし実際には、子どもの行動はもっと複雑です。
たとえば、
- 積み木は何度倒れてもやり直す
- 服を自分で着るのは嫌がる
- お片づけは後回しにする
- 好きな絵本は何度でも読んでほしがる
こうした違いは、単純に「やる気がある・ない」ではありません。
その活動を、子どもがどう感じているかが大きく関わっています。
「楽しいからやる」
「できるようになりたいからやる」
「褒められたいからやる」
「怒られたくないからやる」
この違いを知ると、保護者の関わり方も見えやすくなります。
マレーの「達成動機」とは何か
アメリカの心理学者ヘンリー・A・マレーは、人にはさまざまな欲求があり、その一つとして達成を重視しました。達成動機は、簡単に言えば、
「うまくやりたい」
「できるようになりたい」
「少し難しいことにも挑戦したい」
という気持ちです。達成はマレーが1930年代後半に重要な人間の動機として位置づけ、その後マクレランドらによって広く研究が進められました。
「達成」と聞くと、テストの点数や受験を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、乳幼児にとっての達成はもっと身近です。
たとえば、
- 靴を自分で履けた
- ボタンを一つ留められた
- パズルを最後まで完成できた
- 高く積み木を積めた
- スプーンで上手に食べられた
こうした場面で子どもが見せる、
「できた!」という嬉しそうな表情。
あれはまさに、達成動機が動いている姿です。
つまり、達成動機とは、「すごい結果を出したい気持ち」だけではなく、
「昨日の自分より少しできるようになりたい気持ち」でもあるのです。
乳幼児にもある「できるようになりたい」気持ち
乳幼児は、大人が思う以上に「自分でやりたい」という気持ちを持っています。
たとえば、急いでいる朝に、
親としては早く靴を履かせたい。
でも子どもは「じぶんで!」と言って時間がかかる。
この時、親からすると困る場面です。
けれど、子どもの中では
「できるようになりたい」「自分でやってみたい」
という大切な気持ちが育っています。
もちろん、毎回ゆっくり待つのは現実的に難しいでしょう。
ただ、こうした場面を単なる「わがまま」と見るのか、
「成長しようとしている姿」と見るのかで、関わり方は変わります。
たとえば、
- 時間がある日は少し待つ
- 最初だけ手伝って、最後は本人に任せる
- できた時に結果だけでなく挑戦を認める
こうした関わりは、子どもの達成動機を支えやすくします。
内発的動機づけと外発的動機づけの違い
子どもの動機を考える時によく出てくるのが、
内発的動機づけと外発的動機づけです。
自己決定理論では、内発的動機づけは「その活動自体が面白い、楽しい、やってみたいから行うこと」、外発的動機づけは「報酬、評価、叱責の回避など、活動の外にある結果のために行うこと」と整理されます。さらに外発的動機づけにも、自分なりに意味を理解して取り組む比較的自律的な形から、強くやらされている形まで幅があります。
分かりやすい違い
| 場面 | 動機の例 | どちらか |
|---|---|---|
| 絵を描くのが楽しくて続ける | 「描くこと自体が好き」 | 内発的動機づけ |
| シールがもらえるから片づける | 「ごほうびがほしい」 | 外発的動機づけ |
| ママが喜ぶから手伝う | 「褒めてもらいたい」 | 外発的動機づけ |
| パズルができるようになりたくて繰り返す | 「もっと上手になりたい」 | 内発的動機づけに近い |
| 園で先生に言われたからやる | 「言われたからやる」 | 外発的動機づけ |
ここで大事なのは、
外発的動機づけがすべて悪いわけではない
という点です。
子どもは社会の中で育ちます。
園でも家庭でも、「今はこれをしようね」と促されることはあります。
それ自体は自然なことです。
問題になりやすいのは、
外からの評価やごほうびだけが中心になり、
子ども自身の「やってみたい」が見えにくくなる時です。
自己決定理論では、報酬や圧力が強くコントロール的に働くと、活動そのものへの興味が弱まることがあるとされています。
ごほうびや褒め言葉は悪いのか
ここは、多くの保護者が気になるところだと思います。
結論から言えば、
ごほうびや褒め言葉を使うこと自体が悪いわけではありません。
たとえば、幼い子にとっては、
- 行動のきっかけを作る
- 分かりやすく区切りをつける
- 成功体験を感じやすくする
という意味で役立つこともあります。
ただし、気をつけたいのは使い方です。
たとえば、
- 毎回ごほうびがないと動かない
- 「すごいね」ばかりで中身を見ていない
- 他の子との比較で褒める
- 結果だけを強く評価する
こうした関わりが続くと、子どもは
「楽しいからやる」よりも
「褒められるためにやる」
「怒られないためにやる」
に寄りやすくなります。
褒めるなら、
結果だけでなく過程を見て伝えるのがおすすめです。
たとえば、
- 「最後までやってみたね」
- 「さっきより上手にできたね」
- 「自分で考えてやってみたね」
こうした言葉は、子どもの中の
「できるようになっている」感覚
を育てやすくします。
※関連記事です。
「子どもの努力をほめる」その一言が未来を変える
家庭で子どもの動機を育てる関わり方
自己決定理論では、人がより自律的に動きやすくなる土台として、自律性、有能感、関係性の3つが重視されます。これは、子どもが「自分で選べる感じ」「できそうだと思える感じ」「安心して関われる感じ」を持てるかどうか、と言い換えると分かりやすいです。
家庭で生かすなら、次のような関わりが考えられます。
1. 小さく選ばせる
「今やる?」ではなく、
「今やる?ご飯の後にやる?」
のように、少し選べる形にすると、子どもは受け身になりにくくなります。
2. 目標を高くしすぎない
難しすぎる課題は、やる気を失いやすいです。
「少し頑張れば届く」くらいがちょうどよい場面も多いです。
3. 結果だけでなく、工夫や挑戦を見る
「100点だったね」だけでなく、
「何回もやり直したね」
「自分で考えたね」
という声かけは、達成の中身を深くします。
4. 失敗を責めすぎない
失敗した時に強く責められると、子どもは
「やらない方が安全」
と感じやすくなります。
挑戦の土台には、安心感が必要です。
5. 子どもの“好き”を大事にする
電車、虫、色、歌、ブロック。
何でもかまいません。
子どもが夢中になれるものは、内発的動機づけの入り口になります。
※以前書いた関連記事です。
【子どものやる気を引き出す方法】「動機づけ」の正体と育て方

保護者が知っておきたいこと
子どものやる気を育てるうえで、保護者が知っておくとよいのは、
すぐに自分から動く子だけが“良い状態”とは限らない
ということです。
慎重な子もいます。
失敗が怖い子もいます。
やりたい気持ちはあっても、最初の一歩が出にくい子もいます。
だからこそ大切なのは、
「やる気があるかないか」を判定することではなく、
何がその子の動機を支えていて、何がしぼませているのかを見ることです。
- 難しすぎないか
- 急かしすぎていないか
- 比較されすぎていないか
- “できた”を感じられているか
- その子の好きや得意が生かされているか
こうした視点があるだけで、日々の関わりはかなり変わります。
※別の角度から子どもの動機について書いています。
なかなか始めない子どもに「やればできる!」を育てる方法
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)