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子どもの体力・運動能力が低下している問題について

子どもの体力・運動能力が低下している問題について

走る・跳ぶ・投げる力と「転んでも手が出ない」

子どもの体力・運動能力は、昭和50〜60年代ごろの高い水準と比べると、今も低い傾向が見られます。
問題は「足が遅い」「ボールを投げられない」だけではありません。
つまずく、転ぶ、転んでも手が出ないという、体を守る力にも関わっています。

目次

  1. 子どもの体力・運動能力はどう変化しているのか
  2. 走る・跳ぶ・投げる・筋力はどう低下しているのか
  3. 何が問題なのか
  4. なぜ、つまずいて転ぶのか
  5. なぜ、転んでも手が出ないのか
  6. 子どもに必要な力とは
  7. 家庭でできる具体的な対応法
  8. 幼児教育として何ができるか

1. 子どもの体力・運動能力はどう変化しているのか

子どもの体力・運動能力は、戦後から昭和50年代ごろまでは向上傾向にありました。
しかし、その後は長期的に見ると低下傾向が見られます。

スポーツ庁の体力・運動能力調査でも、握力・50m走・持久走・立ち幅とび・ボール投げについて、水準の高かった昭和60年ごろと比べると、多くの項目で今も低い水準にあるとされています。

また、「子どものからだの調査」は、1978年からほぼ5年ごとに行われている、保育・教育現場の先生たちの実感を集めた調査です。
この調査では、病気とまでは言えなくても、現場で「子どものからだがどこか気になる」と感じる変化が記録されています。

つまり、数字で見ても、現場の実感で見ても、
子どものからだの使い方に変化が起きていると考えられます。

令和元年度体力・運動能力調査の結果について(文部科学省・スポーツ庁)


2. 走る・跳ぶ・投げる・筋力はどう低下しているのか

子どもの体力低下は、ただ「運動量が少ない」というだけではありません。
走る、跳ぶ、投げる、支えるという基本的な動きが、日常生活の中で経験されにくくなっています。

動き起きている変化背景にあること
走る力まっすぐ走れない、すぐ疲れる、方向転換が苦手鬼ごっこ・外遊び・坂道遊びの減少
跳ぶ力ジャンプや着地が不安定段差、石、土、芝生などで遊ぶ経験の減少
投げる力ボールを遠くへ投げられない、顔に当たりやすいボール遊びの制限、投げる・受ける経験不足
筋力姿勢が崩れやすい、腕で体を支えにくいよつばい、登る、ぶら下がる遊びの減少

特に投げる動きは、腕だけでなく、足の踏み込み、腰の回転、肩、肘、手首を連動させる複雑な動きです。
投げる力が落ちるということは、単に「ボール遊びが苦手」という話ではなく、全身を連動させて動かす経験が不足しているということでもあります。

また、近年の研究でも、2019年の幼児は2007年と比べると改善傾向が見られる一方で、1985年を基準にすると、基本的動作の習得状況は依然として低い水準にあると報告されています。


3. 何が問題なのか

体力・運動能力の低下で一番心配なのは、運動が苦手になることだけではありません。

本当に問題なのは、
自分の体を思い通りに動かす力が育ちにくくなることです。

たとえば、次のような姿が見られます。

  • つまずきやすい
  • 転びやすい
  • 人や物にぶつかりやすい
  • 姿勢が崩れやすい
  • 力加減ができない
  • ボールをよけられない
  • 転んだときに手が出ない

「子どものからだの調査2020」では、保育所において、
転んで手が出ない子が41.6%、つまずいてよく転ぶ子が42.4%、力が入りすぎてちょうどよい力で動作ができない子が31.2%、動きがぎこちない子が30.4%と報告されています。

これは、かなり大きな問題です。

子どもは本来、遊びの中で小さな失敗をしながら、体の使い方を覚えていきます。
しかし、その経験が少ないと、体は成長していても、動きが未熟なままになってしまうことがあります。


4. なぜ、つまずいて転ぶのか

子どもがつまずく理由は、「不注意だから」だけではありません。

もちろん、前を見ていないこともあります。
しかし、それ以上に大きいのは、足元の変化に体が対応できていないことです。

たとえば、次のような力が関係します。


足を上げる感覚

段差や小さな障害物を越えるには、足をどのくらい上げればよいかを体で判断する必要があります。
平らな床ばかりで過ごしていると、この感覚が育ちにくくなります。


足裏で感じる力

土、砂利、芝生、坂道、階段。
こうした場所では、足裏からたくさんの情報が入ります。
足裏の感覚は、バランスを取るうえでとても大切です。


体幹で姿勢を保つ力

体の中心が安定していないと、少しつまずいただけで大きくバランスを崩します。
姿勢がぐにゃっと崩れやすい子は、歩く・走る・止まる動きも不安定になりやすいです。


とっさに姿勢を立て直す経験

鬼ごっこ、坂道遊び、ジャンプ、片足立ち、ボール遊び。
こうした遊びの中で、子どもは無意識に「危ない」「立て直そう」「踏ん張ろう」を学びます。

つまり、つまずきやすさは、
運動神経の問題というより、体を使う経験の不足として見ることが大切です。


5. なぜ、転んでも手が出ないのか

「転んでも手が出ない」という状態は、保護者にとって特に心配な姿です。

これは、単に反射神経が悪いという話ではありません。
転びそうになった瞬間に、

「倒れる」
「危ない」
「手を出す」
「顔を守る」
「腕で支える」

という一連の動きが間に合っていない状態です。

本来、子どもは小さく転ぶ経験を重ねながら、体を守る動きを覚えていきます。
ところが、今は安全への配慮が強くなり、危ない遊びを避ける場面も増えています。

もちろん、安全管理は大切です。
ただ、何でも先回りして守りすぎると、子どもは小さな失敗から体を守る方法を学ぶ機会を失ってしまいます。

防御動作は、言葉だけでは身につきません。

「転ぶときは手を出してね」と言われても、実際に転びそうになった瞬間、体が動かなければ間に合いません。
黒板に書いただけで泳げるようにならないのと同じです。体は、経験で覚えます。

※ボディイメージは成長においてとても大事です。
 見て動く力とボディイメージ 中層発達を遊びで育てるヒミツ


6. 子どもに必要な力とは

子どもが自分の体を安全に使うためには、いくつかの力が必要です。

必要な力内容育つ遊び
バランス感覚倒れそうなときに姿勢を保つ力片足立ち、平均台、坂道歩き
体幹の安定姿勢を支える中心の力クマ歩き、雑巾がけ、トンネルくぐり
腕で支える力転んだときに手を出し、体を支える力よつばい、鉄棒、手押し車遊び
足裏の感覚地面の変化を感じて踏ん張る力裸足遊び、芝生、砂場、階段
力加減強すぎず弱すぎず動く力ボール投げ、風船キャッチ、積み木

日本学術会議も、幼児期から児童期前半に獲得する基礎的動作は、生涯を通じて運動全般の基本になると指摘しています。さらに、子どもの体力や運動能力は1985年以降低下しており、背景には運動遊びや身体活動の減少などがあるとされています。

幼児期に大切なのは、特定のスポーツを早く始めることではありません。
まずは、多様な動きを遊びの中で経験することです。

「ボディ・イメージ」とは?学びや自信を支える“身体の地図”

ボディイメージのイメージ

7. 家庭でできる具体的な対応法

保護者ができることは、特別なトレーニングではありません。
日常の中に、少しだけ「体を使う遊び」を戻してあげることです。


まずは外を歩く機会を増やす

最初におすすめしたいのは、散歩です。

ただ歩くだけでも、子どもにとっては大切な運動です。
特に、少しだけ変化のある道を歩くことが効果的です。

たとえば、

  • ゆるい坂道
  • 階段
  • 公園の芝生
  • 土の道
  • 小さな段差
  • 石畳のような道

こうした場所では、足裏、足首、膝、体幹を自然に使います。


家の中では「支える遊び」を入れる

家の中でも、体を育てる遊びはできます。

おすすめは、次のような遊びです。

  • クマ歩き
  • ワニ歩き
  • よつばい競争
  • 布団の上でごろごろ転がる
  • トンネルくぐり
  • 雑巾がけ
  • 親子で手押し車

特に、よつばい系の遊びは、肩・腕・手首で体を支える力を育てます。
これは、転んだときに手を出す力にもつながります。


ボール遊びは「投げる」だけでなく「受ける・よける」も大切

ボール遊びは、全身の連動を育てます。

最初から硬いボールを使う必要はありません。
風船、柔らかいボール、丸めた新聞紙でも十分です。

おすすめは、

  • 風船を落とさない遊び
  • 柔らかいボールを両手でキャッチ
  • 的に向かって投げる
  • 転がってきたボールを足で止める
  • 親がゆっくり投げたボールをよける

投げる、見る、受ける、よける。
この組み合わせが、体の反応を育てます。


「危ないからダメ」だけで止めない

もちろん、本当に危険なことは止める必要があります。
ただし、何でも「危ないからダメ」で止めてしまうと、子どもは危険との付き合い方を学べません。

大切なのは、危険をゼロにすることではなく、
小さな挑戦を安全に経験させることです。

たとえば、

「そこは走らない」ではなく、
「ここまでは歩こう。広いところに出たら走っていいよ」

「登っちゃダメ」ではなく、
「手をここに置いて、足はここに置こう」

というように、体の使い方を具体的に伝えるとよいです。


生活リズムも体力に関係する

体力づくりというと運動だけを考えがちですが、睡眠や食事も大切です。

寝不足の子は、姿勢が崩れやすく、集中も続きにくくなります。
朝食をしっかり食べていない子は、午前中から疲れやすくなることもあります。

子どもの体力を考えるときは、

  • よく寝る
  • 朝食を食べる
  • 外に出る
  • 体を使って遊ぶ
  • 画面時間を長くしすぎない

この基本が大切です。

派手な方法ではありません。
でも、子どもの体はこの基本の積み重ねで育ちます。


8. 幼児教育として何ができるか

幼児教育で大切なのは、ただ運動させることではありません。
その子の発達段階に合わせて、必要な動きを遊びの中に入れていくことです。

たとえば、転びやすい子には、いきなり走らせるよりも、まずは足裏の感覚や体幹を育てる遊びが必要かもしれません。

ボールが顔に当たりやすい子には、投げる練習よりも先に、見る力、距離感、受ける動き、よける動きを育てる必要があります。

姿勢が崩れやすい子には、机に向かわせる時間を増やす前に、体幹や支える力を育てた方がよい場合もあります。

つまり、幼児教育として大切なのは、
「できないことを叱る」のではなく、「なぜできないのか」を見立てることです。

リコポ幼児教育では、子どもの様子を見ながら、遊びや関わりの中で必要な力を育てていくことを大切にしています。

走る、跳ぶ、投げる、支える、よける。
これらは、単なる運動ではありません。

子どもが自分の体を知り、安心して世界に関わっていくための土台です。

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