子どもの言葉は「聞く力」からまず育つ
音声知覚という大切な土台
子どもの言葉の発達は、「いつ話し始めるか」だけでは見えません。
実は、話す前から子どもは大人の声を聞き、音の違いを感じ、言葉の世界に少しずつ入っていきます。
今回は、言葉の発達を支える土台のひとつである「音声知覚」について、保護者の方に分かりやすくお伝えします。
目次
- 言葉の発達は「話すこと」だけではない
- 言葉を育てる4つの土台
- 音声知覚とは何か
- 音声知覚が育つと、どんな姿が見られる?
- 家庭でできる音声知覚の育て方
- 無理に教え込まなくて大丈夫
- 心配なときは相談してよい
言葉の発達は「話すこと」だけではない
子育てをしていると、言葉の発達について不安になることがあります。
「まだ単語が少ない気がする」
「周りの子より話すのが遅いかもしれない」
「こちらの言っていることが伝わっているのかな」
このような不安は、多くの保護者が一度は感じるものです。
ただ、子どもの言葉は、ある日突然「話す力」だけで伸びるわけではありません。
話す前の段階で、子どもはたくさんの音や声を聞き、少しずつ言葉の準備をしています。
つまり、言葉の発達を見るときには、
「どれだけ話せるか」だけでなく、「どのように聞いているか」
も大切な視点になります。
言葉を育てる4つの土台
子どもの言葉の発達には、いくつかの大切な土台があります。
| 土台 | 内容 |
|---|---|
| 音声知覚 | 音や声、言葉の違いを聞き取る力 |
| 音声表出 | 声を出す、まねする、言葉にする力 |
| 対人関係 | 人と関わりたい、伝えたいと思う力 |
| 対物関係 | 物に興味を持ち、名前や意味を知る力 |
今回は、この中の音声知覚について見ていきます。
音声知覚は、簡単に言えば、
「言葉を聞き取るための土台」です。
これは、ただ耳が聞こえるという意味だけではありません。
聞こえてきた音の中から、人の声に気づき、言葉の違いを感じ取り、少しずつ意味と結びつけていく力です。
音声知覚とは何か
音声知覚とは、
音や声の違いを聞き分け、それを言葉として受け取る力
のことです。
たとえば、子どもは日常の中で、次のようなことを少しずつ感じ取っています。
「これはママの声だ」
「名前を呼ばれた」
「いつもの優しい声だ」
「“わんわん”と“にゃんにゃん”は違う音だ」
「“まんま”は食べることと関係がありそうだ」
このような小さな気づきが、言葉の発達につながっていきます。
大人から見ると、子どもがまだ話していない時期は、「言葉が出ていない」と感じるかもしれません。
しかし実際には、子どもは周囲の声を聞きながら、言葉の材料をたくさん集めています。
まるで、料理をする前に材料をそろえているようなものです。
まだ完成した料理は見えなくても、台所ではしっかり準備が進んでいる。
言葉の発達も、それに少し似ています。
音声知覚が育つと、どんな姿が見られる?
音声知覚が育ってくると、日常の中で次のような姿が見られることがあります。
・名前を呼ばれると振り向く
・「おいで」と言うと近づいてくる
・「バイバイ」と聞くと手を振る
・大人の声の調子に反応する
・歌や手遊びのリズムを楽しむ
・動物の鳴き声や効果音に反応する
・よく聞く言葉に表情や動きで反応する
大切なのは、これらを「できる・できない」のチェック表のように見ることではありません。
子どもの発達には個人差があります。
同じ月齢でも、よく声に反応する子もいれば、物への興味が強く、集中して遊んでいると声が届きにくい子もいます。
そのため、ひとつの反応だけを見て不安になりすぎる必要はありません。
大切なのは、日々の生活の中で、子どもがどのように音や声に気づいているかを、やさしく見守ることです。
参考(J-STAGE)音声言語医学
家庭でできる音声知覚の育て方
音声知覚を育てるために、特別な教材をたくさん用意する必要はありません。
一番大切なのは、日常生活の中で、子どもが言葉を受け取りやすい関わりを増やしていくことです。
ゆっくり、短く、分かりやすく話す
小さな子どもには、長い説明よりも、短く分かりやすい言葉の方が届きやすくなります。
たとえば、
「ごはん、食べようね」
「くつ、はこうね」
「おふろ、入ろうね」
「ねんね、しようね」
このように、場面に合った言葉を、ゆっくり伝えてあげます。
難しい言葉をたくさん使うよりも、毎日の生活に合った言葉をくり返すことが大切です。
子どもの顔を見て話す
遠くから声をかけるよりも、子どもの近くで、顔を見ながら話す方が伝わりやすくなります。
子どもは声だけでなく、表情や口の動き、身ぶりも一緒に見ています。
「音」だけでなく、「顔」「表情」「動き」も合わせて受け取ることで、言葉の理解が深まりやすくなります。
特に小さな子には、言葉だけで伝えるよりも、実物や動作と一緒に伝えると分かりやすくなります。
「くつ、はこうね」と言いながら靴を見せる。
「おちゃ、飲もうね」と言いながらコップを見せる。
「バイバイ」と言いながら手を振る。
こうした小さな積み重ねが、音と意味をつなげる練習になります。
同じ言葉をくり返す
子どもは、一度聞いただけで言葉を覚えるわけではありません。
何度も同じ場面で同じ言葉を聞くことで、少しずつ意味を理解していきます。
毎日の生活には、言葉をくり返すチャンスがたくさんあります。
食事の前には「いただきます」
外に出るときは「くつ、はこうね」
寝る前には「おやすみ」
おもちゃを渡すときは「どうぞ」
こうしたくり返しは、子どもにとって安心できる学びになります。
大人からすると「また同じ言葉」と思うかもしれません。
でも子どもにとっては、そのくり返しこそが大切です。
言葉の発達において、くり返しはかなりの名脇役です。主役を食わないのに、いないと困ります。
歌や手遊びを取り入れる
歌や手遊びは、音声知覚を育てるうえでとてもよい関わりです。
歌には、言葉のリズムや音のくり返しがあります。
子どもは意味をすべて理解していなくても、音の響きやテンポを楽しみながら、言葉に親しんでいきます。
たとえば、
「とんとんとん」
「ぐるぐる」
「ぴょんぴょん」
「ぱちぱち」
このような音の響きは、小さな子どもにとって楽しく、受け取りやすいものです。
手遊びは、声・リズム・動きが一緒になるため、子どもが言葉を感じ取りやすくなります。
絵本を読む
絵本も、音声知覚を育てる大切な時間になります。
まだ内容をしっかり理解できなくても、保護者の声を聞き、絵を見て、同じ言葉を何度も聞くことで、言葉への親しみが育ちます。
小さな子には、ストーリーが長いものよりも、音の響きが楽しい絵本や、くり返しのある絵本がおすすめです。
「じゃあじゃあ」
「ぶーぶー」
「ころころ」
「ぴょーん」
このような言葉は、音としても楽しく、子どもの耳に残りやすい言葉です。
絵本を読むときも、上手に読もうとしなくて大丈夫です。
大切なのは、保護者の声で、子どもと一緒に楽しむことです。
※絵本の読み聞かせについての記事です。『しろいうさぎとくろいうさぎ』から考える絵本教育とシッター活用
無理に教え込まなくて大丈夫
音声知覚を育てるというと、
「何か特別な訓練をしなければいけないのかな」
と感じる方もいるかもしれません。
でも、家庭で大切なのは、無理に教え込むことではありません。
カードを見せて何度も言わせる。
言葉を言えるまで練習させる。
間違えたらすぐ直す。
こうした関わりは、子どもによっては負担になることがあります。
それよりも大切なのは、日常の中で、自然に言葉を聞く機会を増やすことです。
「おいしいね」
「赤い車だね」
「ワンワンいたね」
「寒いね、上着を着ようね」
このような声かけは、子どもにとって大切な言葉の経験です。
言葉は、テストのように覚えるものではありません。
安心できる人との関わりの中で、少しずつ育っていくものです。
心配なときは相談してよい
言葉の発達には個人差があります。
そのため、少し言葉が遅いように感じても、すぐに大きな問題と決めつける必要はありません。
ただし、保護者が強い違和感を覚えるときは、一人で抱え込まなくて大丈夫です。
たとえば、
・大きな音への反応がかなり少ない
・名前を呼んでもほとんど反応しない
・声や喃語が少ない状態が続いている
・以前できていた反応や言葉が減った
・保護者として気になる状態が続いている
このような場合は、小児科、自治体の発達相談、保健センター、言語聴覚士などに相談してみてもよいでしょう。
相談することは、決して大げさなことではありません。
早めに相談することで、安心につながることもあります。
大切なのは、
「様子を見なければいけない」と一人で抱え込むことではなく、必要なときに頼れる場所につながること
です。
※私たちにも頼れるアドバイザーゆうき先生がいます!言語聴覚士とは?ことばの専門家「ゆうき先生」について

まとめ
子どもの言葉の発達は、「話し始めたかどうか」だけでは見えません。
話す前から、子どもは大人の声を聞き、音の違いを感じ、言葉の意味を少しずつ受け取っています。
その最初の土台となるのが、音声知覚です。
音声知覚を育てるために、特別なことをたくさんする必要はありません。
ゆっくり話す。
顔を見て話す。
同じ言葉をくり返す。
歌や手遊びを楽しむ。
絵本を読む。
生活の中で、言葉と体験をつなげる。
こうした毎日の関わりが、子どもの「聞く力」を育てていきます。
言葉は、子どもが一人で覚えていくものではありません。
安心できる人の声を聞き、やりとりを楽しむ中で、少しずつ育っていきます。
次回は、言葉の発達を支えるもう一つの土台である、
「音声表出」=声を出す・まねる・言葉にする力
についてお伝えします。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)