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乳児の空間の認識 赤ちゃんには世界がどう見えているのか

乳児の空間の認識 赤ちゃんには世界がどう見えているのか

赤ちゃんは、生まれた瞬間から大人と同じように世界を見ているわけではありません。
新生児の視界はぼんやりしていて、見える距離も限られています。
しかし、それは「未熟だからよくない」ということではなく、赤ちゃんが少しずつ世界を受け取るための大切な発達の過程です。

目次

  1. 赤ちゃんは世界をぼんやり見ている
  2. 視力は少しずつ発達していく
  3. 最初から多くの情報を受け取る必要はない
  4. まず大切なのは、身近な人を知ること
  5. 空間の認識は、見る・触る・動く中で育つ
  6. 赤ちゃんに多くを求めすぎなくていい
  7. リコポ幼児教育が大切にしていること
  8. まとめ:赤ちゃんは少しずつ世界を広げている

赤ちゃんは世界をぼんやり見ている

大人は、部屋の中にあるものをすぐに見分けることができます。

人の顔。
家具の位置。
おもちゃの色。
壁の模様。
窓の外の景色。
人との距離。

こうした情報を、ほとんど無意識に受け取っています。

しかし、新生児の赤ちゃんは違います。

生まれたばかりの赤ちゃんの視力はとても未熟で、周囲の世界をはっきり見ているわけではありません。視力の目安は資料によって幅がありますが、新生児ではおおよそ0.01〜0.02程度、成長とともに発達し、5歳ごろには1.0に近づくとされています。ただし、視機能全体が成人と同じ水準に成熟するのはさらに後と説明されています。

つまり、赤ちゃんにとって世界は、最初からくっきり整理されたものではありません。

ぼんやりした明るさ。
近くにある顔。
ゆっくり動くもの。
強いコントラスト。
安心できる声やぬくもり。

そうした限られた情報から、少しずつ世界を知っていきます。

参考(日本眼科医会)日本眼科医会の資料でも、赤ちゃんの視機能は生まれてから少しずつ発達し、1歳ごろ、2歳ごろ、6歳ごろと段階的に見え方が変わっていくことが示されています。子どもの視機能の発達と管理について


視力は少しずつ発達していく

赤ちゃんの視力や視野、色の認識は、成長とともに少しずつ発達していきます。

生まれたばかりの頃は、まだぼんやりとした見え方です。
生後数か月の間に、少しずつ目で追う力や、近くのものを見る力が育っていきます。
1歳、2歳と成長するにつれて、物との距離や奥行き、形の違いも分かりやすくなっていきます。

日本眼科医会の資料でも、出生直後は明るい・暗いが分かる程度で、1歳ごろに0.2、2歳で0.4、6歳ごろまでに1.0程度に発達すると説明されています。

ただし、こうした数値はあくまで目安です。
子どもの発達には個人差があります。

大切なのは、「赤ちゃんは大人と同じようには見えていない」という視点を持つことです。

たとえば、遠くからおもちゃを見せても、赤ちゃんには分かりにくいことがあります。
細かい模様や小さな表情の変化も、まだ十分に受け取れないことがあります。

だから、赤ちゃんに関わるときは、近くで、ゆっくり、分かりやすく関わることが大切です。


最初から多くの情報を受け取る必要はない

赤ちゃんの視力が未熟であることには、意味があります。

もし生まれた瞬間から、大人と同じようにすべてがくっきり見えていたらどうでしょうか。

部屋の中の家具。
壁の模様。
人の表情。
光の変化。
音の方向。
たくさんのおもちゃ。
動く人や物。

あまりにも多くの情報が一気に入ってきます。

赤ちゃんは、まだその情報を整理したり、必要なものだけを選び取ったりする力が十分に育っていません。

だからこそ、最初はぼんやりと、限られた範囲から世界を受け取ることにも意味があります。

赤ちゃんに必要なのは、たくさんの刺激を浴びることではありません。

まずは、安心できる人の顔。
聞き慣れた声。
抱っこのぬくもり。
授乳やお世話のリズム。
いつもの場所。
やさしい光や音。

こうした身近で安心できる情報を、少しずつ受け取ることが大切です。

情報は多ければ多いほどよい、というものではありません。
赤ちゃんにとっては、受け取れる量、受け取るべき時期があります。


まず大切なのは、身近な人を知ること

新生児の赤ちゃんにとって、まず大切なのは「この世界のすべてを知ること」ではありません。

最初に大切なのは、身近な人を知ることです。

抱っこしてくれる人。
声をかけてくれる人。
お世話をしてくれる人。
安心させてくれる人。

赤ちゃんは、視覚だけで養育者を理解しているわけではありません。

声。
におい。
肌の感覚。
抱っこの姿勢。
授乳のリズム。
表情。
近くにいる安心感。

こうしたさまざまな感覚を通して、「この人は自分を守ってくれる人だ」と少しずつ感じていきます。

ボシュロムの赤ちゃんの目の発達に関する解説でも、新生児の焦点距離は顔から16〜24cmほどで、これは抱っこや授乳時の保護者の顔との距離に近いと説明されています。

これは、とても大切なことです。

赤ちゃんにとって、最初の世界は遠くの景色ではありません。
目の前にいる保護者の顔や声、ぬくもりです。

世界は、まず「安心できる人」から始まります。

保育と教育

空間の認識は、見る・触る・動く中で育つ

赤ちゃんの空間の認識は、視力だけで育つわけではありません。

見る。
手を伸ばす。
触る。
口に入れる。
寝返りをする。
ハイハイをする。
近づく。
離れる。
落とす。
拾う。

こうした身体の動きと一緒に、空間の理解は育っていきます。

たとえば、赤ちゃんがおもちゃに手を伸ばす場面。

最初はうまく届かないかもしれません。
少しずれて手を出すかもしれません。
つかめても、すぐに落としてしまうかもしれません。

でも、その中で赤ちゃんは学んでいます。

「ここにある」
「手を伸ばすと届く」
「遠いと届かない」
「落とすと下にいく」
「動かすと音がする」
「近づくとよく見える」

これは、空間の認識の大切な始まりです。

乳幼児の視覚発達に関する資料でも、生後5〜6か月ごろにおもちゃに手を伸ばして握るようになり、眼と手の協応や奥行きの把握につながることが説明されています。

赤ちゃんは、ただ見ているだけではありません。
見て、触って、動いて、確かめながら、自分と世界との距離を学んでいます。


赤ちゃんに多くを求めすぎなくていい

赤ちゃんの発達を見るとき、大人はつい「もっと刺激を与えた方がいいのかな」と考えることがあります。

早くいろいろ見せた方がよいのではないか。
知育玩具をたくさん使った方がよいのではないか。
色や形を早く覚えさせた方がよいのではないか。
たくさん外に連れて行った方がよいのではないか。

もちろん、発達に合った刺激や経験は大切です。

しかし、赤ちゃんが受け取れる情報には限りがあります。

まだぼんやり見えている時期に、たくさんのものを一度に見せても、赤ちゃんがそれを十分に受け取れるとは限りません。
強すぎる刺激や多すぎる情報は、かえって疲れにつながることもあります。

大切なのは、赤ちゃんの様子を見ることです。

じっと見ている。
目で追っている。
手を伸ばしている。
顔をそむける。
眠そうにする。
泣く。
落ち着かなくなる。

こうしたサインを見ながら、「今、この子にとってちょうどよい刺激は何か」を考えることが大切です。

赤ちゃんに必要なのは、早く多くを学ばせることではありません。
安心できる環境の中で、少しずつ世界に出会っていくことです。

※いろな機能が土台になることで初めて学習や集中力につながります。五感で育てる知性 幼児の感覚統合はすべての学習の土台になる


リコポ幼児教育が大切にしていること

リコポ幼児教育では、子どもの発達段階に合った関わりを大切にしています。

赤ちゃんや小さな子どもにとって、見えている世界、感じている世界は、大人とは違います。

だからこそ、大人の感覚だけで「これくらい分かるはず」「これくらいできるはず」と決めつけないことが大切です。

今、何が見えているのか。
何に反応しているのか。
何を怖がっているのか。
何に安心しているのか。
どのくらいの刺激なら心地よいのか。

こうしたことを丁寧に見ながら関わることが、乳幼児期の教育ではとても重要です。

教育とは、早く教え込むことだけではありません。

その子が今、受け取れる世界を理解すること。
安心できる人との関わりの中で、少しずつ世界を広げること。
見て、触れて、動いて、感じる経験を大切にすること。

そこから、子どもの学びは始まっていきます。


まとめ:赤ちゃんは少しずつ世界を広げている

赤ちゃんは、生まれた瞬間から大人と同じように世界を見ているわけではありません。

新生児の世界は、ぼんやりしています。
見える距離も限られています。
色や形、奥行きの認識も、少しずつ発達していきます。

でも、それは悪いことではありません。

赤ちゃんは、まず身近な人を知ります。
安心できる声や顔、ぬくもりを感じます。
そして、見る、触る、動く経験を通して、少しずつ世界を広げていきます。

大人ができることは、赤ちゃんに多くを求めすぎることではありません。

その子が今、何を受け取れるのか。
何に安心しているのか。
何に興味を示しているのか。

そこを丁寧に見ながら、ちょうどよい関わりをしていくことです。

赤ちゃんの世界は、最初は小さく、ぼんやりしています。
けれど、その小さな世界の中で、子どもは確かに学び始めています。


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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)

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