運動の知覚 赤ちゃんや幼児は動くものをどう見ているのか
赤ちゃんや幼児は、大人と同じように世界を見ているわけではありません。
これまでの記事では、赤ちゃんの視力、奥行きの知覚、顔の認識について見てきました。
今回は、動くものをどのように見ているのか、つまり「運動の知覚」について考えていきます。
目次
- 赤ちゃんや幼児は、大人ほど広く見えていない
- 視力だけでなく、視野も発達の途中
- 動くものを見るには、目や首の働きも必要
- サンデルスの報告から考える子どもの視野
- 「見えているはず」と思い込まないことが大切
- 安全面で大人が気をつけたいこと
- まとめ:子どもの見えている世界を想像する
赤ちゃんや幼児は、大人ほど広く見えていない
大人は、前を見ながらでも、横から近づいてくる人や物に気づくことができます。
車が近づいてくる。
自転車が横を通る。
ボールが転がってくる。
人が急に動く。
ドアが開く。
こうした動きに、私たちはかなり自然に反応しています。
しかし、赤ちゃんや幼児は違います。
子どもは、視力だけでなく、視野や目の動かし方、首や体の動きも発達の途中です。
そのため、大人が思っているほど広い範囲を見ていないことがあります。
大人から見ると「今のは見えていたはず」と思う場面でも、子どもには本当に見えていなかったり、気づくのが遅れたりすることがあります。
※赤ちゃんの「視力」についてはこちらをご覧ください。乳児の空間の認識 赤ちゃんには世界がどう見えているのか 奥行きの知覚 赤ちゃんはどうやって立体的な世界を知るのか
視力だけでなく、視野も発達の途中
赤ちゃんの視力は、生まれてから少しずつ発達していきます。
でも、見る力は視力だけではありません。
どのくらい広く見えるか。
動くものを追えるか。
周りの変化に気づけるか。
目をすばやく動かせるか。
顔や首を向けて確認できるか。
こうした力も、子どもは発達の途中にあります。
特に小さな子どもは、視野が大人より狭いとされています。
つまり、大人が自然に視界に入れているものでも、子どもには入っていないことがあるのです。
これは、日常生活でもとても大切な視点です。
たとえば、公園でボールが横から転がってきたとき。
道路で自転車が近づいてきたとき。
家の中で大人が後ろから歩いてきたとき。
子どもは、それにすぐ気づけるとは限りません。
※ 参考(HONDA)チャイルドビジョンの資料では、サンデルスの研究として、6歳児の平均水平視野は90度程度、垂直視野は70度程度と紹介されています。子どもは大人よりも狭い視界の中で、周囲の動きを見ていると考える必要があります。チャイルドビジョン
動くものを見るには、目や首の働きも必要
動くものを見るには、ただ視力があるだけでは不十分です。
動いているものに気づく。
目で追う。
必要なら首を向ける。
体の向きを変える。
近づいているのか、遠ざかっているのかを判断する。
危ないかどうかを考える。
こうした過程が必要です。
赤ちゃんの場合は、眼球の動きもまだ未熟です。
動くものをなめらかに追う力も、大人と同じではありません。
さらに、首がまだしっかりすわっていない時期には、自分で顔の向きを自由に変えることも難しくなります。
つまり、見ている範囲が限られているだけでなく、「見たい方向にすぐ目や首を向ける」ことも難しいのです。
大人にとっては簡単なことでも、赤ちゃんや幼児にとっては、目、首、体、注意を合わせて使う必要があります。

サンデルスの報告から考える子どもの視野
子どもの視野については、スウェーデンの児童心理学者サンデルスの報告がよく紹介されます。
それによると、6歳くらいの子どもの視野は、大人よりかなり狭いとされています。
大人の視野を広い窓だとすると、子どもの視野はそれより小さな窓から世界を見ているようなものです。
特に交通安全の場面では、この違いはとても重要です。
大人から見れば、車や自転車が横から近づいていることはすぐ分かります。
しかし、子どもは視野が狭いため、横から来るものに気づきにくいことがあります。
また、顔がそちらを向いているからといって、必ずしも正確に見えているとは限りません。
「見ているように見える」ことと、
「本当に認識できている」ことは、同じではありません。
ここを大人が理解しておくことは、とても大切です。
「見えているはず」と思い込まないことが大切
子どもの行動を見ると、大人はついこう思ってしまうことがあります。
「今のは見えていたでしょ」
「どうして気づかなかったの?」
「ちゃんと前を見ていたのに」
「危ないって分かるはずなのに」
しかし、子どもは大人ほど広く、速く、正確に動きを捉えられるわけではありません。
特に乳幼児期は、見る力、注意を向ける力、体を動かす力、危険を判断する力がまだ育っている途中です。
動くものが近づいてきても、すぐに気づけない。
気づいても、どう動けばよいか分からない。
見えていても、危険だと判断できない。
一つのものに集中していて、周りが見えなくなる。
こうしたことは珍しくありません。
子どもが危ない行動をしたとき、単に「不注意」と決めつけるのではなく、
「まだ見え方や気づき方が発達の途中なのかもしれない」
と考えることが大切です。
安全面で大人が気をつけたいこと
子どもの運動の知覚が発達途中であることを考えると、大人の見守りはとても重要です。
特に気をつけたいのは、次のような場面です。
道路を歩くとき。
駐車場を通るとき。
自転車や車が近くを通る場所。
公園でボール遊びをしているとき。
人が多い場所。
家の中で階段や段差がある場所。
ドアの開け閉めがある場所。
こうした場所では、大人が「子どもも見えているはず」と考えすぎないことが大切です。
子どもには、横から来るものが見えていないかもしれません。
動きの速いものに反応できないかもしれません。
危ないと分かる前に、体が動いてしまうかもしれません。
だからこそ、
手をつなぐ。
大人が先に周囲を確認する。
「止まる」「見る」「待つ」を繰り返し伝える。
子どもの目の高さで見えている世界を想像する。
危ない場所では、言葉だけでなく体で止める。
こうした関わりが大切になります。
子どもの安全は、子ども本人の注意力だけに任せるものではありません。
大人が環境を整え、見守り、必要な場面で守ることが必要です。
まとめ:子どもの見えている世界を想像する
赤ちゃんや幼児は、大人と同じように世界を見ているわけではありません。
視力は発達の途中です。
視野も大人より狭い時期があります。
動くものを目で追う力も、すぐに反応する力も、危険を判断する力も、少しずつ育っていきます。
だからこそ、大人が「見えているはず」と思い込まないことが大切です。
子どもは、大人よりもはるかに限られた見え方の中で世界を受け取っています。
その中で、少しずつ動くものに気づき、目で追い、体を動かし、危険を学んでいきます。
大人にできることは、子どもを責めることではありません。
子どもの見えている世界を想像し、安全に経験できる環境を整えることです。
赤ちゃんや幼児の世界は、まだ発達の途中です。
だからこそ、大人のまなざしと見守りが必要なのです。
☆ご希望の方はオンライン15分何でも相談(無料)をご利用ください。
〇 無理な勧誘なし 〇 パパ・ママどちらの参加も歓迎 〇カメラOFFでもOK 〇LINE通話で実施
※お申込みは公式ライン、もしくはお問い合わせフォームから「無料面談希望」と記入してご連絡ください。
☆体験ベビーシッター【※特別価格 2,000円(税込)/1時間 交通費(実費) 最大4時間】
も募集しています。
体験後にすぐご入会いただく必要はありません。
ご兄弟・お友達での参加も可能です。その場合1人につき+500円/1時間となります。
もちろん、その場合も一人ひとりのお子様に対してのカウンセリングを行います。
体験の詳しい情報・流れはこちらへ。しっかり子どもの状態をフィードバックします。
シッター体験では何をするの?詳しい内容や流れをわかりやすくご紹介
こちらの記事をご覧いただければ、サービス内容、体験、安全、体制など分かるようになっています。
サービス・体制など全般のご案内
ご家庭に合った最適なサポート方法を、ゆっくり一緒に考えていきましょう。
執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)