様々な動きに反応する子ども 赤ちゃんは「動き」から世界を学ぶ
前回の記事では、赤ちゃんや幼児は大人ほど広く、正確に動くものを見ているわけではないことをお伝えしました。
今回はその続きとして、子どもが動きそのものから何を受け取っているのかを考えていきます。
子どもにとって動きは、物や人を知るための大切な情報源です。
※前回の記事です。 運動の知覚 赤ちゃんや幼児は動くものをどう見ているのか
目次
- 子どもは静止物より動くものに反応しやすい
- 動きは、世界を知るための大切な手がかり
- バイオロジカルモーションとは何か
- 光の点だけでも「人の動き」に見える
- 顔も、動きがあると認識しやすくなる
- 他者の動きは豊かな情報源
- 生き物らしい動きを見分ける力はゆっくり育つ
- 運動に触れる体験が大切
- まとめ:子どもは動きを通して世界を理解していく
子どもは静止物より動くものに反応しやすい
赤ちゃんや小さな子どもは、じっと止まっているものよりも、動くものに反応しやすいことがあります。
ゆらゆら動くモビール。
転がるボール。
手を振る大人。
動くぬいぐるみ。
走っていくきょうだい。
表情が変わる顔。
こうした動きは、子どもの注意を引きつけます。
大人から見ると、子どもが「ただ目で追っているだけ」に見えるかもしれません。
しかし、子どもは動きを通して、たくさんのことを受け取っています。
「あれは近づいている」
「あれは遠ざかっている」
「あの人はこっちを見ている」
「あの動きは楽しそう」
「これは生き物みたいに動く」
動きは、子どもにとって世界を知るための入口の一つです。
※関連記事です。赤ちゃんの顔の認識 視力が低くても、顔には敏感に反応する

動きは、世界を知るための大切な手がかり
前回の記事では、赤ちゃんや幼児は視力や視野、目の動かし方がまだ発達の途中であることをお伝えしました。
そのため、大人のようにすばやく広い範囲を見て、動くものを正確に判断できるわけではありません。
一方で、動きは子どもにとってとても重要な情報でもあります。
動いているものは、目に入りやすい。
変化があるものは、注意を向けやすい。
繰り返し動くものは、予測しやすい。
人の動きは、気持ちや意図を知る手がかりになる。
つまり、動きは子どもにとって「ただの変化」ではありません。
物の性質や、人との関係を知るための大切な情報です。
バイオロジカルモーションとは何か
ここで大切になるのが、バイオロジカルモーションという考え方です。
バイオロジカルモーションとは、人や動物など、生き物らしい動きのことです。
たとえば、人が歩く。
手を振る。
走る。
しゃがむ。
顔を向ける。
相手に近づく。
こうした動きには、単なる物の移動とは違う情報があります。
「人がこちらに来ている」
「手を伸ばしている」
「何かを取ろうとしている」
「こちらに関心を向けている」
「楽しそうに動いている」
生き物らしい動きは、相手の存在や意図を知る手がかりになります。
これは、赤ちゃんが人と関わっていくうえでも、とても大切です。
参考(PMC) 新生児を対象にした研究でも、赤ちゃんが生物らしい動きに注意を向ける可能性が示されています。動きは、赤ちゃんにとって人や生き物を知る大切な手がかりです。新生児における生物学的運動への素因
光の点だけでも「人の動き」に見える
バイオロジカルモーションを調べる有名な実験では、人の関節部分に小さな光の点をつけ、暗い中で歩く様子を見せます。
止まっていると、ただの点にしか見えません。
しかし、その点が人の歩き方に合わせて動き出すと、不思議なことに「人が歩いている」と分かるのです。
この方法は、ヨハンソンの研究で知られるポイントライト・ディスプレイと呼ばれるものです。関節につけた少数の光点だけでも、動き出すと人の動きとして知覚されることが示され、バイオロジカルモーション研究の代表的な方法になりました。
これはとても面白い点です。
人間は、形だけで人を見ているのではありません。
動き方からも、「これは人だ」「これは生き物らしい」と判断しているのです。
乳児研究でも、2日齢の新生児が生物らしい動きとそうでない動きを区別する可能性を示した研究があります。 また、5か月ごろの乳児が、人の動きを表すポイントライト刺激の変化に敏感であることを示す研究もあります。
もちろん、赤ちゃんの力は生まれた瞬間から完成しているわけではありません。
それでも、人の動きに注意を向ける土台は、かなり早い時期から育ち始めていると考えられます。
顔も、動きがあると認識しやすくなる
前回までの記事では、赤ちゃんの顔認識についてもお伝えしました。
赤ちゃんは、人の顔に敏感です。
そして顔は、止まっている情報だけではありません。
笑う。
口を動かす。
まばたきをする。
目線を向ける。
顔を近づける。
首をかしげる。
声と一緒に表情が変わる。
こうした動きがあることで、赤ちゃんは「これは人の顔だ」「この人は自分に関わっている」と感じやすくなります。
写真のように止まった顔よりも、実際に動き、声を出し、表情を変える顔の方が、赤ちゃんにとっては豊かな情報になります。
だからこそ、赤ちゃんとの関わりでは、近くで顔を見せ、ゆっくり表情を返し、声をかけることが大切です。
大人の何気ない笑顔やうなずきも、赤ちゃんにとっては「人を知る教材」です。しかも無料、電池不要、持ち運び自由です。
他者の動きは豊かな情報源
子どもは、他者の動きから多くのことを学びます。
大人が手を伸ばす。
おもちゃを渡す。
笑いながら近づく。
困った顔をする。
ゆっくり抱き上げる。
危ないものを避ける。
友だちが走る。
友だちが転ぶ。
友だちが泣く。
こうした動きは、子どもにとって「人はどう動くのか」「相手は何をしようとしているのか」を知る手がかりになります。
言葉だけでなく、動きから分かることはたくさんあります。
相手が近づいてくる。
何かを取ろうとしている。
遊びに誘っている。
怒っている。
驚いている。
助けを求めている。
こうした他者の動きを読み取る力は、社会性の土台にもつながります。
生き物らしい動きを見分ける力はゆっくり育つ
生き物らしい動きを見分ける力は、子どもの成長とともにゆっくり育っていきます。
赤ちゃんは早い時期から動きに敏感ですが、最初から大人のように正確に意味を理解しているわけではありません。
動くものを見る。
目で追う。
手を伸ばす。
近づく。
まねをする。
相手の動きに反応する。
「あの人は何をしようとしているのかな」と少しずつ分かっていく。
このような経験を重ねながら、動きの意味を理解していきます。
7〜8か月ごろの乳児が、人の動きを表すバイオロジカルモーションから、人に関する情報を取り出す可能性を示した研究もあります。
つまり、赤ちゃんは動きをただ眺めているのではありません。
動きの中から、人や物の意味を少しずつ学んでいるのです。
運動に触れる体験が大切
子どもの運動知覚を育てるには、動きを見る経験だけでなく、自分の体を動かす経験も大切です。
寝返りをする。
手を伸ばす。
つかむ。
ハイハイする。
追いかける。
転がるボールを見る。
まねをする。
大人と手遊びをする。
こうした体験の中で、子どもは「見ること」と「動くこと」を結びつけていきます。
たとえば、ボールが転がるのを見て、手を伸ばす。
大人が手を振るのを見て、自分も手を動かす。
きょうだいが走るのを見て、後を追おうとする。
音楽に合わせて体を揺らす。
こうした経験は、動きへの理解を深めます。
大切なのは、特別な訓練ではありません。
安全な場所で、子どもが見て、触って、動いて、まねできる環境をつくることです。
まとめ:子どもは動きを通して世界を理解していく
子どもは、静止しているものだけでなく、動くものから多くの情報を受け取っています。
動きは、子どもの注意を引きつけます。
動きは、物の性質を知る手がかりになります。
動きは、人の存在や意図を知る情報になります。
そして、生き物らしい動きを見分ける力は、人との関わりや社会性の土台にもつながっていきます。
前回の記事では、子どもは大人ほど動くものを正確に見えていないことをお伝えしました。
今回は、その一方で、動きそのものが子どもにとって大切な学びの材料であることを見てきました。
子どもは、動くものを見て、追いかけて、まねして、自分でも動いてみながら、世界を理解していきます。
大人ができることは、子どもの視界に入る動きを豊かにしつつ、安全に探索できる環境を整えることです。
動きのある世界は、子どもにとって学びの宝庫です。
☆ご希望の方はオンライン15分何でも相談(無料)をご利用ください。
〇 無理な勧誘なし 〇 パパ・ママどちらの参加も歓迎 〇カメラOFFでもOK 〇LINE通話で実施
※お申込みは公式ライン、もしくはお問い合わせフォームから「無料面談希望」と記入してご連絡ください。
☆体験ベビーシッター【※特別価格 2,000円(税込)/1時間 交通費(実費) 最大4時間】
も募集しています。
体験後にすぐご入会いただく必要はありません。
ご兄弟・お友達での参加も可能です。その場合1人につき+500円/1時間となります。
もちろん、その場合も一人ひとりのお子様に対してのカウンセリングを行います。
体験の詳しい情報・流れはこちらへ。しっかり子どもの状態をフィードバックします。
シッター体験では何をするの?詳しい内容や流れをわかりやすくご紹介
こちらの記事をご覧いただければ、サービス内容、体験、安全、体制など分かるようになっています。
サービス・体制など全般のご案内
ご家庭に合った最適なサポート方法を、ゆっくり一緒に考えていきましょう。
執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)