言葉の発達についてー子どもの言葉は「声に出す力」から広がる
音声表出という大切な土台
子どもの言葉の発達は、「正しい言葉を話せるか」だけで見るものではありません。
「あー」「うー」という声、笑い声、まねっこ、喃語、身ぶりと一緒に出る声。
その一つひとつが、子どもが自分の気持ちを外へ出そうとしている大切なサインです。
前回は、言葉を聞き取る力である「音声知覚」についてお伝えしました。
今回はその続きとして、声を出し、まねし、少しずつ言葉にしていく力である「音声表出」について、保護者の方に分かりやすくお伝えします。
※前回の記事です。音声知覚について 子どもの言葉は「聞く力」からまず育つ
目次
- 前回のおさらい:「聞く力」から「声に出す力」へ
- 言葉の発達を支える4つの土台
- 音声表出とは何か
- 音声表出が育つと、どんな姿が見られる?
- 家庭でできる音声表出の育て方
- 「言わせる」より「出したくなる関わり」を
- 心配なときは相談してよい
前回のおさらい:「聞く力」から「声に出す力」へ
前回の記事では、子どもの言葉の発達には、まず音や声を聞き取る力が大切だとお伝えしました。
子どもは、話し始める前から大人の声を聞き、言葉のリズムや音の違いを感じ取っています。
これが音声知覚です。
今回のテーマである音声表出は、そこから一歩進んで、
子どもが自分で声を出し、まねし、気持ちや要求を外へ表そうとする力
のことです。
簡単に言えば、
| 前回 | 今回 |
|---|---|
| 音声知覚 | 音声表出 |
| 聞く力 | 声に出す力 |
| 言葉を受け取る | 言葉や声を外へ出す |
| 「分かる」土台 | 「伝える」土台 |
このような違いがあります。
ただし、ここで大切なのは、音声表出は「上手に話せること」だけではないという点です。
まだ言葉になっていない声にも、子どもの発達にとって大切な意味があります。
参考(日本言語聴覚士協会) 乳幼児健診入門ガイド
言葉の発達を支える4つの土台
子どもの言葉の発達には、次の4つの土台があります。
| 土台 | 内容 |
|---|---|
| 音声知覚 | 音や声、言葉の違いを聞き取る力 |
| 音声表出 | 声を出す、まねする、言葉にする力 |
| 対人関係 | 人と関わりたい、伝えたいと思う力 |
| 対物関係 | 物に興味を持ち、名前や意味を知る力 |
前回の音声知覚は、言葉を受け取る力でした。
今回の音声表出は、言葉や声を外へ出す力です。
子どもは、聞いた音をすぐに正確な言葉として話せるわけではありません。
最初は、泣く、笑う、声を出す、大人の声をまねする、喃語を話す。
そうした段階を通して、少しずつ言葉へ近づいていきます。
音声表出とは何か
音声表出とは、簡単に言うと、
子どもが声を出して、自分の気持ちや思いを表そうとする力
のことです。
たとえば、次のような姿も音声表出に含まれます。
「あー」「うー」と声を出す
楽しいときに声を出して笑う
大人の声をまねしようとする
「ばばば」「ままま」のような喃語を話す
欲しいものを見ながら声を出す
指さしをしながら「あっ」と言う
「まんま」「わんわん」などの言葉が出てくる
このように、音声表出は、いきなり「正しい単語を話すこと」ではありません。
むしろ、その前にある
声を出すことを楽しむ
人に向かって声を届けようとする
まねしてみようとする
という姿が、とても大切です。
大人から見ると、「まだ意味のある言葉ではない」と感じる声もあります。
しかし子どもにとっては、その声が言葉の入口です。
まだ文字になっていない下書きのようなものです。
完成原稿ではなくても、そこにはちゃんと「伝えたい気持ち」があります。
音声表出が育つと、どんな姿が見られる?
音声表出が育ってくると、日常の中で次のような姿が見られることがあります。
・機嫌のよいときに声を出す
・大人が話しかけると声で返そうとする
・笑い声や声の調子で気持ちを表す
・「ばばば」「だだだ」などの喃語が増える
・大人の口の動きや声をまねしようとする
・欲しいものを見ながら声を出す
・身ぶりや指さしに声がついてくる
・簡単な言葉をまねして言おうとする
ここで大切なのは、「何歳なら必ずこれができる」と厳しく見すぎないことです。
子どもの発達には個人差があります。
よく声を出す子もいれば、慎重で、じっくり聞いてから少しずつ声を出す子もいます。
言葉が出る前に、身ぶりや表情でたくさん伝えている子もいます。
声の量だけで、子どもの理解や発達をすべて判断することはできません。
ただ、保護者が日常の中で、
「この子はどんなときに声を出すのかな」
「何を伝えようとしているのかな」
と見てあげることは、とても大切です。
家庭でできる音声表出の育て方
音声表出を育てるために大切なのは、子どもに無理に言葉を言わせることではありません。
子どもが「声を出してみたい」「まねしてみたい」「伝えてみたい」と感じられる関わりを増やすことです。
子どもの声に反応する
子どもが「あー」「うー」と声を出したら、大人が反応してあげることが大切です。
たとえば、
「そうだね」
「楽しいね」
「お話してくれたの?」
「見つけたね」
このように返してあげると、子どもは
声を出すと、相手が反応してくれる
という経験をします。
これは、言葉の発達にとってとても大切です。
子どもにとって最初の会話は、きれいな単語のやりとりではありません。
声を出す。
大人が返す。
また声を出す。
大人が笑顔で受け止める。
このやりとりの中で、「伝えるって楽しい」という感覚が育っていきます。
子どもの声をまねして返す
子どもが「ばばば」と言ったら、大人も「ばばば」と返してみる。
子どもが「あー」と言ったら、「あー、だね」と返してみる。
これは、子どもにとって楽しいやりとりになります。
自分の出した声を大人がまねしてくれると、子どもは
「自分の声が届いた」
「やりとりになった」
と感じやすくなります。
言葉の発達は、一方的に教えられるものではありません。
やりとりの中で育ちます。
まねっこは、まさに言葉のキャッチボールです。
まだボールがふわふわでも大丈夫です。むしろ、そのふわふわ感がかわいい時期です。
大人が少しだけ言葉を足す
子どもが「あっ」と言って車を指さしたら、大人は
「車だね」
「赤い車だね」
と返してあげます。
子どもが「まんま」と言ったら、
「まんま食べようね」
「ごはん、おいしいね」
と少し言葉を足します。
ポイントは、長く説明しすぎないことです。
子どもの出した声や言葉を受け止めて、そこに少しだけ言葉を広げて返す。
これが、子どもにとって分かりやすい言葉の学びになります。
言葉を待つ時間をつくる
大人がすべて先回りしてしまうと、子どもが声を出すきっかけが少なくなることがあります。
たとえば、子どもがコップを見ているときに、すぐに渡すのではなく、少しだけ待ってみます。
すると、子どもが「あっ」と声を出したり、手を伸ばしたりすることがあります。
そのタイミングで、
「おちゃ、ほしいね」
「どうぞ」
と声をかけます。
もちろん、わざと困らせる必要はありません。
でも、少し待つことで、子どもが自分から表す機会が生まれます。
大人の「待つ」は、子どもの「伝える」を育てる時間です。
選べる場面をつくる
子どもが声を出しやすくなるためには、選べる場面をつくるのも効果的です。
たとえば、
「りんごにする? バナナにする?」
「くるま? でんしゃ?」
「青い服? 黄色い服?」
このように、選択肢を見せながら聞くと、子どもは指さしや声で反応しやすくなります。
最初は言葉で答えなくても大丈夫です。
指さしでも、表情でも、声でも、立派な表現です。
大人が
「バナナだね」
「でんしゃがいいんだね」
と受け止めて言葉にしてあげることで、子どもは少しずつ表現の方法を学んでいきます。
歌や手遊びで声を出す楽しさを育てる
歌や手遊びは、音声表出にもとてもよい関わりです。
前回の音声知覚では、「歌や手遊びは音を聞く力を育てる」とお伝えしました。
今回の音声表出では、それに加えて、
子どもが声を出して参加しやすい
という点が大切です。
たとえば、
「いないいない……ばあ!」
「とんとんとんとん」
「ぱちぱち」
「わー!」
このような遊びは、子どもが声を出すきっかけになります。
言葉として正確でなくても、声を出して楽しむ経験が、表現する力につながっていきます。
「言わせる」より「出したくなる関わり」を
音声表出を育てるうえで、気をつけたいことがあります。
それは、無理に言わせようとしすぎないことです。
たとえば、
「ほら、言ってごらん」
「ちゃんと“ありがとう”って言いなさい」
「違うでしょ、もう一回」
「なんで言えないの?」
このような関わりが続くと、子どもによっては、声を出すことに緊張してしまうことがあります。
もちろん、あいさつや言葉を教えること自体が悪いわけではありません。
ただ、小さな子どもの時期には、まず
声を出すことは楽しい
伝えると受け止めてもらえる
という経験を大切にしたいところです。
言葉は、テストの答えのように出すものではありません。
人と関わりたい、伝えたい、分かってほしいという気持ちの中で育っていきます。
だからこそ、保護者の関わりとしては、
「言わせる」よりも、
「思わず声を出したくなる場面をつくる」
ことが大切です。
心配なときは相談してよい
言葉の発達には個人差があります。
そのため、少し言葉がゆっくりに見えても、すぐに問題と決めつける必要はありません。
ただし、保護者が強い違和感を覚えるときは、一人で抱え込まなくて大丈夫です。
たとえば、
・声を出すことがかなり少ない
・喃語がほとんど見られない状態が続く
・大人の声かけに反応がとても乏しい
・以前出ていた声や言葉が減った
・指さしや身ぶりも少なく、伝えようとする様子が少ない
・保護者として気になる状態が続いている
このような場合は、小児科、自治体の発達相談、保健センター、言語聴覚士などに相談してみてもよいでしょう。
相談することは、決して大げさなことではありません。
早めに相談することで、安心につながることもあります。
大切なのは、
「様子を見なければ」と一人で悩み続けることではなく、必要なときに頼れる場所につながること
です。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)