赤ちゃんは新しいものが好き?注意を向ける力と学びの始まり
赤ちゃんは、毎日の生活の中でたくさんのものを見たり聞いたりしながら成長しています。その中でも、初めて見るものや少し変わったものに、じっと注意を向けることがあります。これは単なる好奇心ではなく、世界を知り、環境に適応していくための大切な学びの姿です。今回は、赤ちゃんが「新しいもの」に注意を向ける力について見ていきます。
※前回の記事です。子どもは何に注目している?赤ちゃんの選択的注意と情報を選び取る力
目次
- 赤ちゃんは「新しいもの」に注意を向ける
- 新しいものを見ることは、学びの材料になる
- Richards 1997年の実験
- 家庭でできる関わり方
- まとめ
1. 赤ちゃんは「新しいもの」に注意を向ける
赤ちゃんは、見慣れたものだけでなく、新しいものにもよく注意を向けます。
いつもと違うおもちゃ、初めて見る形、聞き慣れない音、少し変わった動き。
こうした新しい刺激に対して、赤ちゃんはじっと見たり、目で追ったりすることがあります。
これは単に「珍しいから面白い」というだけではありません。
赤ちゃんが周囲の世界を知ろうとしている、大切な学びの姿でもあります。
2. 新しいものを見ることは、学びの材料になる
赤ちゃんにとって、世界はまだ知らないことだらけです。
そのため、新しいものに注意を向けることは、環境に適応していくためにとても大切です。
「これは何だろう」
「前に見たものと違うのかな」
「動くのかな、音が出るのかな」
赤ちゃんは言葉で考えているわけではありませんが、見る・聞く・触れる経験を通して、少しずつ情報を蓄えていきます。
新しいものに気づく力は、赤ちゃんにとって有利な力です。
なぜなら、変化に気づけることは、安全や学びにつながるからです。
ただし、新しい刺激が多すぎると、赤ちゃんは疲れてしまいます。
大切なのは「少し新しい」「安心できる中で新しい」というバランスです。

3. ジョン・E・リチャーズ 1997年の実験
ジョン・E・リチャーズの1997年の研究では、生後3〜6カ月頃の赤ちゃんを対象に、短い時間だけ視覚刺激を見せたとき、赤ちゃんがその後どのように反応するかが調べられました。
実験では、赤ちゃんに図形などの視覚刺激を短時間見せます。
その後、すでに見たものと、新しいものを並べて見せ、どちらをより長く見るかを調べました。
このような方法では、赤ちゃんが「見たことがあるもの」と「新しいもの」を区別しているかを考える手がかりになります。
研究では、赤ちゃんの注意の状態や、最初に刺激を見た時間によって、その後の反応が変わることが示されました。
特に、ある程度しっかり見たあとには、新しい刺激の方に注意を向けやすくなる傾向が見られました。
つまり赤ちゃんは、一瞬のような短い経験の中でも、ただ見て終わりではありません。
見たものを手がかりにしながら、「さっきと違うもの」に気づこうとしているのです。
4. 家庭でできる関わり方
赤ちゃんに新しい刺激を与えるとき、特別な教材を用意する必要はありません。
いつものおもちゃを少し違う位置に置く。
布の手触りを変えてみる。
ゆっくり動かして見せる。
音の鳴るおもちゃを一つだけ出す。
絵本の中の新しい絵を一緒に見る。
これだけでも、赤ちゃんにとっては十分な新しい経験になります。
ポイントは、赤ちゃんの反応を見ることです。
じっと見ているなら、少し待つ。
目をそらしたら、休ませる。
笑ったり手を伸ばしたりしたら、言葉を添える。
「これ、初めて見たね」
「丸いね」
「ゆっくり動いているね」
「気になるね」
このように、赤ちゃんが注意を向けているものに大人が寄り添うことで、赤ちゃんの学びはより豊かになります。
5. まとめ
赤ちゃんは、新しいものに注意を向けやすい存在です。
それは、世界を知り、環境に適応していくための大切な力です。
新しいものを見ることで、赤ちゃんは「前に見たもの」と「今見ているもの」の違いに気づき、少しずつ情報を蓄えていきます。
ただし、新しい刺激は多ければよいわけではありません。
赤ちゃんにとって大切なのは、安心できる環境の中で、少しずつ新しい経験をすることです。
保護者の方は、赤ちゃんが何に注意を向けているのかを見守りながら、やさしく言葉を添えてあげてください。
赤ちゃんの「じっと見る」は、学びの始まりです。
その小さなまなざしの先で、子どもは世界を一つずつ理解していきます。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)