「鬼が来るよ」はしつけになる?しつけアプリの効果と注意点
「おもちゃを片づけてくれない」
「お風呂や歯みがきを嫌がる」
「寝る時間になっても遊びをやめない」
何度声をかけても子どもが動いてくれないと、保護者も疲れてしまいます。そんなときに使われることがあるのが、「しつけアプリ」や「言い聞かせアプリ」と呼ばれるものです。
便利そうに見える一方で、「子どもを怖がらせても大丈夫?」「しつけとして効果があるの?」と不安に感じる保護者もいるでしょう。
今回は、しつけアプリの仕組みと、使用する際に気をつけたい点について考えます。
目次
- しつけアプリとは?
- なぜ子どもが言うことを聞くの?
- しつけアプリで気をつけたい4つのこと
- 怖がらせる代わりにできる声かけ
- 一度使ったからといって自分を責めないで
- しつけアプリは補助的に使おう
- まとめ
しつけアプリとは?
しつけアプリとは、スマートフォンを通してキャラクターから電話がかかってきたように見せ、子どもに行動を促すアプリです。
代表的なものには、鬼や妖怪などが登場し、
「言うことを聞かない子は誰だ」
「早くお風呂に入りなさい」
などと語りかけるものがあります。
子どもを怖がらせる内容だけでなく、妖精や動物などが歯みがきや片づけを促したり、できたことを褒めたりする機能を備えたアプリもあります。
普段とは違うキャラクターから声をかけられることで、子どもの気持ちが切り替わりやすくなるのが特徴です。
※参考 アプリには、怖がらせる機能だけでなく、入浴を促したり、できた行動を褒めたりする内容もあります。 鬼から電話
なぜ子どもが言うことを聞くの?
しつけアプリを見せると、先ほどまで嫌がっていた子どもが、急に片づけや歯みがきを始めることがあります。
ただし、ここで考えたいのは、子どもが行動した理由です。
「片づけると次に気持ちよく遊べる」と理解したのではなく、「鬼が来るのが怖いから」という理由で動いている可能性があります。
その場では行動が変わっても、生活上のルールや行動の意味を理解したとは限りません。
しつけの目的は、ただ大人の指示に従わせることではありません。子どもが少しずつ理由やルールを理解し、自分で望ましい行動を選べるように支えていくことです。
怖さによって動かす方法は即効性があるように見えますが、それだけに頼らないことが大切です。
しつけアプリで気をつけたいこと
1.怖がらせることを習慣にしない
一度使って子どもがすぐに動いてくれると、次も使いたくなるかもしれません。
しかし、片づけ、お風呂、歯みがき、寝かしつけなど、あらゆる場面で「鬼が来るよ」と伝えていると、子どもは理由ではなく、恐怖を避けるために行動するようになります。
また、同じ方法に慣れて効果が薄くなると、より怖い言葉や映像を使いたくなる可能性もあります。
しつけアプリを使うとしても、日常的な脅しの代わりにしないことが重要です。
参考 関連するブログ記事です。ワトソンのアルバート坊や実験 恐怖心の形成について
2.子どもの感じ方には個人差がある
同じ映像を見ても、笑って楽しめる子もいれば、強い恐怖を感じる子もいます。
特に幼い子どもは、映像や電話の内容を現実と区別することが難しい場合があります。「本当に鬼が来る」「自分は連れていかれる」と受け取ることもあるでしょう。
アプリを見た後に、夜眠れない、一人になることを極端に嫌がる、繰り返し鬼を心配するといった様子が見られた場合は、使用をやめる必要があります。
その際は、「怖かったね。鬼が迎えに来ることはないよ」と、子どもを安心させる言葉をかけましょう。
3.親に見捨てられるような言葉は避ける
「言うことを聞かないと鬼に渡すよ」
「悪い子だから連れていってもらうよ」
このような言葉は、鬼への恐怖だけでなく、「親に見捨てられるかもしれない」という不安につながることがあります。
子どもが守られているという安心感まで揺さぶるような言葉は、避けた方がよいでしょう。
望ましくない行動を止めることと、子どもの存在そのものを否定したり、親子の関係を脅しに使ったりすることは別です。
4.アプリに任せたまま終わらせない
アプリをきっかけに子どもが行動できた場合も、「鬼に怒られなくてよかったね」だけで終わらせないことが大切です。
「おもちゃを箱に入れられたね」
「お風呂に入る準備ができたね」
「歯をきれいにできたね」
このように、子どもができた行動を具体的に認めましょう。
さらに、「片づけると、明日またすぐに遊べるね」など、なぜその行動が必要なのかを短い言葉で伝えていきます。
怖がらせる代わりにできること
子どもが動かないときは、命令を繰り返すだけでなく、伝え方を少し変えてみましょう。
例えば、おもちゃを片づけないときには、
「片づけないと鬼が来るよ」
ではなく、
「車と積み木、どちらから片づける?」
「この箱に車を入れてくれる?」
「あと一回遊んだら、お片づけにしよう」
と伝えます。
お風呂を嫌がるときには、
「お風呂に入ったら、絵本を一冊読もう」
「アヒルのおもちゃを持っていく?」
と、次の見通しや楽しみを示す方法もあります。
「やめなさい」「早くしなさい」だけでは、子どもは何をすればよいのか分からないことがあります。してほしい行動を具体的に示し、選択肢を少なく提示すると、子どもも動きやすくなります。
ただし、道路への飛び出しや物を投げる行為など、危険が迫っている場合は、まず大人が行動を止める必要があります。理由の説明は、安全を確保し、親子ともに落ち着いてからで構いません。
使ったからといって自分を責めないで
子どもがなかなか動いてくれず、保護者が疲れ切っているときに、しつけアプリを使ったことがある家庭もあるでしょう。
一度使ったからといって、すぐに親子関係が崩れたり、保護者として失格になったりするわけではありません。
大切なのは、子どもがどのように受け止めているかを見ながら、怖がらせる方法を習慣にしないことです。
使用する場合は、恐怖で従わせる内容よりも、楽しく行動を促したり、できたことを褒めたりする内容を選ぶ方法もあります。
まとめ
しつけアプリは、キャラクターからの電話や呼びかけによって、子どもの注意を引き、行動のきっかけをつくるものです。
しかし、子どもがすぐに動いたからといって、行動の意味を理解したとは限りません。
特に、鬼や妖怪への恐怖、親に見捨てられる不安を利用して従わせる使い方には注意が必要です。
アプリは、親子の関わりを代わってもらうものではなく、必要に応じて補助的に使うものです。子どもの気持ちを受け止め、してほしい行動を具体的に伝えながら、少しずつ生活のルールを身につけられるように支えていきましょう。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)