三世代家族が減った今、子育てを家族だけで抱え込まないために
「三世代家族」と聞くと、どのような家庭を思い浮かべるでしょうか。
祖父母、父母、子どもが一つの家で暮らす家庭のことで、アニメでは『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』の家族が分かりやすい例です。
家の中には、子ども、親、祖父母という異なる世代がいて、それぞれが関わりながら生活しています。
厚生労働省の統計では、三世代世帯を「世帯主を中心とした直系三世代以上の世帯」と定義しています。
三世代家族は大きく減少している
日本では、三世代で暮らす家庭が長期的に減少しています。
ただし、三世代世帯の数字は、調査によって対象や分類方法が少し異なります。
古い公的資料では、1975年の「三世代世帯等」は全世帯の21.0%でした。その後、厚生労働省の国民生活基礎調査では、三世代世帯の割合が、
- 1998年 11.5%
- 2004年 9.7%
- 2010年 7.9%
- 2023年 3.8%
と低下しています。1975年について「約17%」とする資料もありますが、分類の違いがあるため、長期的には「2割前後から数%まで減少した」と捉えるのが分かりやすいでしょう。
背景には、進学や就職に伴う都市部への移動、住宅事情、家族観の変化、少子化、単独世帯や夫婦のみの世帯の増加などがあります。
親世代と子世代が離れた地域で暮らすことも珍しくなくなり、「結婚したら親と同居する」という家族の形は、以前ほど一般的ではなくなりました。
※参考(厚生労働省)2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況
地方と東京では状況が異なる
三世代同居の割合には、地域差もあります。
内閣府が2020年の国勢調査をもとに整理した資料では、北陸や東北の各県で三世代同居率が比較的高く、都市部では低い傾向が示されています。東京都は全国でも特に低い位置にあり、地方に住む親から日常的な育児支援を受けにくい家庭も多いと指摘されています。
東京では、地方から進学や就職を機に移り住み、そのまま結婚して子育てをする家庭も少なくありません。
祖父母が遠方に住んでいれば、子どもが病気になったときや、子育てに悩んだときに、すぐ頼ることは難しくなります。
同居していなくても良好な関係を築くことはできますが、日常生活の中で祖父母と自然に接する機会は、どうしても少なくなりやすいでしょう。
三世代家族のよいところ
三世代家族には、さまざまな利点があります。
両親が忙しいときに、祖父母が子どもを見守る。
子育てについて困ったときに、経験のある人へすぐ相談できる。
家事や育児を家族で分担する。
子どもが親以外の大人と日常的に関わる。
こうした環境は、保護者の精神的・身体的な負担を軽くすることがあります。
子どもにとっても、親とは違う価値観や話し方、生活経験に触れられることは大きな学びです。
昔の遊びや歌、季節の行事、料理、家族の歴史などが、祖父母から自然に伝えられることもあります。
また、親に叱られたときに祖父母が気持ちを受け止めてくれるなど、家庭の中に複数の居場所が生まれることもあります。
子どもは、さまざまな世代の人と関わることで、相手の年齢や状態に合わせた接し方を学びます。
「人にはそれぞれ違った考え方がある」と、日々の生活の中で知ることができるのです。
三世代家族にも難しさがある
もちろん、三世代家族であれば、必ず子育てがうまくいくわけではありません。
世代によって、子育てや教育への考え方が異なる場合があります。
「昔はこう育てた」
「甘やかしすぎではないか」
「今はその方法は勧められていない」
と、意見がぶつかることもあるでしょう。
生活時間、家事の分担、金銭、プライバシー、介護などをめぐって、家族の負担が増える可能性もあります。
祖父母に育児が集中したり、母親や父親が間に挟まれたりすれば、同居していること自体がストレスになる場合もあります。
大切なのは、三世代家族を理想の家族として一方的に持ち上げることではありません。
三世代家族には支え合えるよさがある一方、核家族には自分たちの方針で生活しやすいよさがあります。
どちらにも長所と課題があります。
現代の東京の家庭では得にくくなったもの
三世代家族が減ったことで、現代の家庭から失われやすくなったものがあります。
それは、単なる「育児の人手」だけではありません。
親とは違う立場から子どもを見る人。
保護者が悩んだときに話を聞く人。
子育ての経験をもとに、少し距離を置いて助言する人。
子どもの成長を、長い目で見守る人。
以前は、こうした役割を祖父母や近所の人が自然に担うことがありました。
しかし、特に東京の核家族では、子育ての判断を父親と母親だけで背負いやすくなっています。
インターネットで多くの情報を得られるようになった一方、
「情報が多すぎて、何が正しいのか分からない」
「自分の子どもには、どの方法が合うのだろう」
と、かえって迷ってしまうこともあります。
保護者が子どものことを真剣に考えているからこそ、家庭の中だけでは判断が難しくなることがあるのです。
第三者の視点が子育てを支える
そこで大切になるのが、家庭の外に相談できる相手を持つことです。
第三者は、保護者とは異なる立場から子どもを見ることができます。
家庭では気づきにくかった成長を見つけたり、心配していた行動を発達の一過程として整理したり、その子どもに合った関わり方を一緒に考えたりできます。
もちろん、専門家や教育者が祖父母の代わりになるわけではありません。
しかし、三世代家族が持っていた、
「子どもを複数の大人で見ること」
「保護者だけで悩みを抱え込まないこと」
「経験のある人へ相談すること」
という役割の一部を、現代に合った形で補うことはできます。
リコポ学習の土台プログラムができること
「リコポ学習の土台プログラム」は、単に子どもへ知識を教えるだけのサービスではありません。
担当講師が一人ひとりの発達、性格、興味、生活の様子を見ながら、その子どもに合った教育を考えます。
保護者とは違う第三者の視点から、
「今、この子にはどのような力が育っているのか」
「どのような遊びや経験が必要なのか」
「家庭では、どのように関わるとよいのか」
を一緒に考えていきます。
また、リコポでは年間を通じて相談を受け付けています。
相談内容は、文字や数字などの幼児教育だけではありません。
子どもの生活習慣、感情、友達との関係、保護者の声かけなど、日々の子育てに関する悩みもお聞きします。
子育てには、すぐに答えが出ない問題がたくさんあります。
だからこそ、「こんなことを相談してもよいのかな」と一人で悩まず、家庭の外に一緒に考える相手を持っていただきたいと思っています。
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子育てを家庭だけの問題にしない
三世代家族が減少したことは、家族のつながりがなくなったという意味ではありません。
離れて暮らしていても、祖父母と温かな関係を築いている家庭はたくさんあります。
一方で、日常的に頼れる人が近くにいない家庭が増えているのも事実です。
子育ては、父親と母親だけで完璧に行わなければならないものではありません。
家族、園、学校、地域、教育者、専門家など、さまざまな人の視点を借りながら進めてよいものです。
私たちリコポも、子どもの幼児教育を支えるだけではなく、保護者の方が子育てについて安心して話せる相談相手でありたいと考えています。
三世代家族が自然に担っていた支えをそのまま再現することはできません。
それでも、現代の家庭に合った形で、子どもを一緒に見守り、保護者と一緒に考えることはできます。
子育てを家庭だけで抱え込まないこと。
それが、家族の形が変化した今、ますます大切になっているのではないでしょうか。
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)