適応と認知・学習のメカニズム 子どもはどうやって世界を学ぶのか
子どもは、ただ教えられたことをそのまま覚えているわけではありません。
見る、聞く、触れる、感じる、気づく、考える、覚える。
こうした一つひとつの過程を通して、少しずつ世界に適応し、学びを深めていきます。
目次
- 子どもの「学ぶ」は、いきなり始まるわけではない
- 学びは小さな過程の積み重ねでできている
- 感覚とは、世界と出会う入り口
- 知覚とは、感覚に意味を持たせること
- 認知とは、分かったことを考えに変えること
- 記憶とは、経験を次に生かす力
- 適応とは、経験を使って世界と関わること
- 幼児教育で大切なのは、ステップを丁寧に見ること
子どもの「学ぶ」は、いきなり始まるわけではない
子どもが何かを学ぶとき、私たちはつい「分かった」「覚えた」「できた」という結果に目を向けがちです。
ひらがなが読めた。
数を数えられた。
色の名前を言えた。
ルールを理解できた。
言われたことを覚えていた。
もちろん、こうした姿は子どもの成長として、とても嬉しいものです。
しかし、子どもの学びは、いきなり「分かる」「覚える」から始まるわけではありません。
その前には、必ずさまざまな過程があります。
見る。
聞く。
触れる。
においを感じる。
動かしてみる。
比べてみる。
気づく。
考える。
思い出す。
もう一度やってみる。
こうした一つひとつの経験が重なって、子どもの学びは形になっていきます。
つまり「学ぶ」とは、知識を頭に入れるだけのことではありません。
子どもが世界と出会い、その意味を少しずつ理解し、自分の行動を変えていく過程です。
参考(ハーバード発達幼児センター)子どもの脳は、日々の経験によって少しずつ形づくられていきます。感覚を通した体験や、大人との関わりの積み重ねが、学びの土台になります。脳の構造
学びは小さな過程の積み重ねでできている
子どもの学びを考えるとき、次の流れで見ると分かりやすくなります。
感覚 → 知覚 → 認知 → 記憶 → 適応・学習
少し難しく見えるかもしれません。
でも、子どもの日常で考えると、とても身近なことです。
たとえば、子どもが初めて積み木で遊ぶ場面を考えてみます。
積み木を見る。
手で触る。
重さや形を感じる。
積み上げると倒れることに気づく。
どう置けば安定するか考える。
前にうまくいった方法を覚えている。
次は少し工夫して積んでみる。
この中には、感覚、知覚、認知、記憶、適応がすべて含まれています。
子どもは、遊びながら学んでいます。
そして、その学びは一つの行動だけでなく、いくつもの小さな過程から成り立っています。
※この考えは私たちが大切にしている発達のピラミッドの考えでもあります。五感で育てる知性 幼児の感覚統合はすべての学習の土台になる

感覚とは、世界と出会う入り口
まず最初にあるのが、感覚です。
感覚とは、目、耳、手、鼻、口、体の動きなどを通して、外の世界から情報を受け取ることです。
子どもは、日々たくさんの感覚を通して世界と出会っています。
明るい、暗い。
大きい音、小さい音。
あたたかい、冷たい。
かたい、やわらかい。
重い、軽い。
高い、低い。
ざらざら、つるつる。
乳幼児期の子どもにとって、この感覚経験はとても大切です。
なぜなら、子どもは言葉で説明される前に、まず体で世界を知っていくからです。
たとえば、「水は冷たい」と聞くだけでは、子どもにはまだ十分に分かりません。
実際に水に触れて、「冷たい」と感じることで、少しずつ意味が分かっていきます。
「重い」という言葉も同じです。
実際に持ってみて、手にずしっとした感覚があるから、「重い」が自分の経験になります。
感覚は、学びの入り口です。
ここが豊かであるほど、子どもはたくさんの材料をもって考えることができます。
※この感覚統合の重要さはブログのカテゴリーにまとめてあります。子どもの「学習意欲」は、まず“感覚の使い方”から
知覚とは、感覚に意味を持たせること
次に大切なのが、知覚です。
知覚とは、感覚で受け取った情報を整理して、「これは何か」「どういう状態か」と意味づけることです。
たとえば、子どもが赤い丸いものを見たとします。
最初は、目に「赤い」「丸い」という感覚情報が入ります。
それを見て、「これはりんごかもしれない」と分かるようになる。
これが知覚です。
音でも同じです。
玄関の音がする。
誰かが帰ってきたのかもしれない。
これはお母さんの足音かもしれない。
ただ音を聞いているだけではなく、そこに意味を見つけています。
知覚が育つと、子どもは周りの世界をただ感じるだけでなく、「分かる」ようになっていきます。
これは、子どもの生活の中でもよく見られます。
犬を見て「ワンワン」と分かる。
いつもの靴を見て「お外に行く」と分かる。
絵本を持ってきた大人を見て「読んでもらえる」と分かる。
保護者の表情を見て「今はちょっと困っているのかな」と感じる。
こうした知覚は、子どもが世界を理解するための大切な力です。
認知とは、分かったことを考えに変えること
感覚で情報を受け取り、知覚で意味づける。
その次にあるのが、認知です。
認知とは、見たり聞いたりしたことをもとに、考えたり、判断したり、予測したりする働きです。
たとえば、子どもが積み木を積んでいて、何度も倒れてしまったとします。
「高く積むと倒れやすい」
「大きい積み木を下に置いた方がよさそう」
「そっと置くとうまくいくかもしれない」
このように、経験をもとに考える力が認知です。
認知は、勉強だけに関係するものではありません。
遊びの中にも、生活の中にも、友だちとの関わりの中にもあります。
「今これをしたら、どうなるかな」
「どうすればうまくいくかな」
「相手は嫌だったのかな」
「前はこうしたらできたな」
「こっちを選んだ方がよさそうだな」
このように、子どもは日々の生活の中でたくさん考えています。
大人から見ると、ただ遊んでいるように見える時間にも、子どもの頭の中では小さな実験会議が開かれています。議長はだいたい好奇心です。
記憶とは、経験を次に生かす力
次に大切なのが、記憶です。
記憶とは、経験したことを覚えておき、次の行動に生かす力です。
子どもは、毎日の経験を通して少しずつ記憶を積み重ねています。
前に読んだ絵本を覚えている。
昨日うまくいった遊び方を覚えている。
この道を通ると公園に着くと覚えている。
熱いものに触ると危ないと覚えている。
この言葉を言うと大人が分かってくれると覚えている。
記憶があるから、子どもは同じ経験をただ繰り返すだけでなく、次に生かすことができます。
たとえば、前に積み木が倒れた経験を覚えているから、次は置き方を変えてみます。
前に友だちが嫌がったことを覚えているから、次は少し違う関わり方をします。
前にほめられた経験を覚えているから、また挑戦してみようと思います。
記憶は、学びを積み重ねるための大切な土台です。
ただし、子どもの記憶は、大人のように整理されたものばかりではありません。
楽しかった。
怖かった。
うれしかった。
安心した。
悔しかった。
こうした感情と一緒に、経験が記憶されていきます。
だからこそ、乳幼児期には「安心して経験すること」がとても大切です。
適応とは、経験を使って世界と関わること
感覚、知覚、認知、記憶。
これらが積み重なることで、子どもは少しずつ適応していきます。
適応とは、自分の経験や理解を使って、環境や状況に合わせて行動していくことです。
たとえば、子どもは最初から集団生活のルールを分かっているわけではありません。
順番を待つ。
友だちと一緒に遊ぶ。
自分の気持ちを伝える。
危ないことを避ける。
場面に合わせて声の大きさを変える。
うまくいかないときに助けを求める。
こうした力は、経験を通して少しずつ育ちます。
つまり、適応とは「我慢できるようになること」だけではありません。
自分の気持ちを持ちながら、周りの環境や人との関係の中で、よりよく関わっていく力です。
この力は、子どもの将来にもつながります。
園生活。
学校生活。
友だち関係。
学習。
社会の中での人間関係。
子どもが世界の中で自分らしく生きていくために、適応する力はとても大切です。
幼児教育で大切なのは、ステップを丁寧に見ること
幼児教育では、「何を教えるか」だけでなく、「子どもがどの過程にいるか」を見ることが大切です。
たとえば、子どもがうまく言葉を覚えられないとき、単に「覚えさせる」だけでは十分ではありません。
そもそも音を聞き取れているのか。
言葉と物が結びついているのか。
意味を理解しているのか。
使う場面が分かっているのか。
楽しい経験として記憶されているのか。
このように、学びの過程を丁寧に見ていく必要があります。
数を学ぶときも同じです。
「1、2、3」と言えることだけが学びではありません。
実際に物を見ている。
手で触っている。
多い、少ないを感じている。
同じ数を比べている。
数えた経験を覚えている。
次の場面で使ってみる。
こうしたステップがあって、数の理解は深まっていきます。
学びは、階段のようなものです。
一段一段を踏んでいくから、子どもは安心して上に進むことができます。
途中の段を飛ばしてしまうと、表面上はできているように見えても、理解が不安定になることがあります。
だからこそ、乳幼児期の教育では、結果だけを見るのではなく、過程を見ることが大切です。
リコポ幼児教育が大切にしていること
リコポ幼児教育では、子どもの学びを「できた・できない」だけで見ないことを大切にしています。
その子が何を感じているのか。
何に気づいているのか。
どこまで分かっているのか。
何を覚えているのか。
どんな場面で力を発揮しやすいのか。
どこで不安になりやすいのか。
こうした過程を丁寧に見ながら、一人ひとりに合った関わりを考えています。
子どもは、同じ年齢でも発達のペースが違います。
興味の持ち方も違います。
得意な感覚も、苦手な感覚も違います。
言葉で理解しやすい子もいれば、体験を通して理解しやすい子もいます。
だからこそ、幼児教育には個別性が大切です。
ただ知識を教えるのではなく、子どもが世界をどう感じ、どう理解し、どう記憶し、どう行動に生かしているのかを見る。
その積み重ねが、子どもの学びを支えると考えています。
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シッター体験では何をするの?詳しい内容や流れをわかりやすくご紹介
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執筆:中山 快(株式会社リコポ 代表)